働くお父さんの昔話入門: 生きることの真実を語る
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2002年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532164294
作品紹介・あらすじ
わらしべ長者、寝太郎etc.-したたかに、たくましく生きる知恵を伝える昔話。その驚くべき「語りの法則」、隠されたメッセージ、民族の記憶を説き明かす。
感想・レビュー・書評
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昔話と言えば小沢俊夫さん。
小沢俊夫さんと言えば昔話。
それはもう児童書コーナーでは、たくさんたくさん拝見するお名前。
その小沢さんが、この著書の中では「昔話をお父さんに読んで欲しい」と繰り返し語られる。
そして、世界の様々なタイプのお話も掲載されている。
ダイジェスト版ではなく、時代に迎合して可愛く作り直してもいない。そこが着眼点だ。
「父は打ち 母は抱きて悲しむを 同じ心と子や思うらん」・・だったかな?
↑ これは本書の中には登場しないが、私の記憶の中にある古人の歌。
この「抱きて悲しむ母」が昔話にクレームをつけるようになって久しい。
全体としてはわずかな数であっても、その少数者のクレームのために古来からの伝統が書き換えられてしまう。
そこで、お父さんの出番、というわけだ。
いやぁ、でももったいないなぁ。お母さんも読んでほしいし、子どもも読んで欲しい。
あっさりと終わる「殺してしまいました」だの「死んでしまいました」だのの記述の意味が、この一冊で本当に良く分かる。
そう言えば、「三匹のこぶた」を始めて聞いたとき、「おおかみは逃げていきました」というラストが底知れないほど怖かったもの。
逃げたということは、まだその辺に潜んでいるのだし、復讐に来たらもっと怖いだろうなと、外にも遊びに行けなかった。
子供心を知らない大人は、よけいなことをするものであるよ。
世のお父さんたち、良い絵本を読んでやってくださいね。
良い絵本というのは、道徳的に良いということではなく、昔話が本来持っている法則を、きちんと実現している本のことだそうです。
その法則が何かは、本書に載っておりまする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NDC分類 388
「わらしべ長者、寝太郎etc.―したたかに、たくましく生きる知恵を伝える昔話。その驚くべき「語りの法則」、隠されたメッセージ、民族の記憶を説き明かす。」
目次
序章 昔話の魅力―大人も子供も、一度聞いたら忘れない
第1章 昔話の「法則」―『いばら姫』より
第2章 昔話は「真実」を語る
第3章 昔話は「成長」を語る
第4章 昔話は「残酷」を語る
第5章 子供は生の声で物語を聞きたがっている
終章 昔話のメッセージ
著者等紹介
小沢俊夫[オザワトシオ]
現在、昔ばなし大学/昔ばなし研究所主宰、筑波大学名誉教授。1930年中国長春生まれ。東北大学ドイツ文学科卒。東北薬科大学、日本女子大学、独マールブルク大学客員教授、筑波大学副学長、白百合女子大学教授を歴任。国際口承文芸学会副会長、日本口承文芸学会会長もつとめる。92年から全国各地で「昔ばなし大学」開講、98年から「昔ばなし研究所」を主宰 -
昔話を用いて子育てとは何かを説いている本。
父親になった時、もう一度読みたい一冊。 -
昔話を使用した、一種の自己啓発本と捉えました。昔は良かった的フィルターがかなり気になったり、主観が強くて首を傾げてしまう個所も多かったのですが、採録のお話はどれも面白く、純粋に著者様の再話された昔話集を読みたくなりました。
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語りの大切さを改めて感じることができた。
学校でも、決して、放送などではなく、生の声で直接伝える事が肝心なのである。
そして、時に、物語の中の残酷性を問われる事もあるが、これも、成長過程に必要な事と思われる。逆に、避けて通る方が、よっぽど危険なのである。
まずは、痛みを知った方が良いのであろう。
物語の中のメッセージは、生きることの真実なのである。 -
昔話をたくさん知ろうと思った