- Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532171414
作品紹介・あらすじ
待望の最新作は冬に贈る怪談語り、変わり百物語。
鬼は人から真実を引き出す。人は罪を犯すものだから。不思議な話に心がふるえ、身が浄められる。
江戸の洒落者たちに人気の袋物屋、神田の三島屋は“お嬢さん"のおちかが一度に一人の語り手を招き入れての変わり百物語も評判だ。訪れる客は、村でただ一人お化けを見たという百姓の娘に、夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋、山陰の小藩の元江戸家老、心の時を十四歳で止めた老婆。亡者、憑き神、家の守り神、とあの世やあやかしの者を通して、せつない話、こわい話、悲しい話を語りだす。
「もう、胸を塞ぐものはない」それぞれの客の身の処し方に感じ入る、聞き手のおちかの身にもやがて心ゆれる出来事が……
第一話 迷いの旅籠
第二話 食客ひだる神
第三話 三鬼
第四話 おくらさま
感想・レビュー・書評
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565ページ
1800円
9月15日〜9月20日
黒白の間に来た13歳のおつぎは、自分の村で起きた不思議な旅籠について語る。あの絵師が来なければ、あんなことにはならなかったのに…と。だるま屋の主人は、夏しか商いをしない理由を語る。ひだる神と共に商いを大きくしてきたことを。お武家さまが語ったのは、ある村に現れる鬼のこと。そして、三島屋には次男の 富次郎が戻り、深考塾の若先生・青野利一郎が故郷に帰ることになった。貸本屋の瓢箪古堂の勘一と出会い、お近のご縁がつながる。
どの話もおもしろくて、人の世は何とも不思議なものだと感じさせられた。死者を蘇らせるための旅籠を作った絵師の話。ひだる神がお店を繁盛させすぎて太ってしまい、家が傾く話。洞ケ森村での悲しい鬼の話。生き霊のお梅さんが語る 美仙屋のおくらさまの話。三島屋には富次郎も帰ってきて、おちかの心も少しずつ晴れてきたように感じる。今後はおちかと勘一の行く末も気になるところ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
⚫︎迷いの旅籠
名主の屋敷から追い出されたご隠居達が幽霊
絵描きが灯籠に絵を描く
⚫︎食客ひだる神
腹を減らす神に取り憑かれた、それは福の神。
⚫︎三鬼
藩の家老が山番士に。村で命が終わりそうな人が出ると鬼が命を取りに来る。
⚫︎おくらさま
災難から守ってくれるおくらさま。ある日、火事にあうが綺麗な娘と引き換えに助かる。 -
面白かった。百まで続くんだろうか。
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迷いの旅龍
食客ひだる神
まで読んだ
宮部みゆきって凄い!
怖い内容が面白く書いてある -
四つの中篇ながら、それぞれを一冊の本にしても良いほど中身の濃いものでした。
特に最後の「おくらさま」は、おちかの今後を良い方向に導いてくれるに違いない、悲しいながらも温かい内容で、とても良かったです。 -
新旧でたらめな順で読んでいる三島屋変調百物語シリーズだが、これは要となる物語。タイトルは第三話の『三鬼』となっているものの、第四話な「おくらさま』が肝でしょう。いずれおちかに代わり富次郎が聞き手となる経緯が知れる。なるほど、彼は左様な事情で三島屋に帰ってきたのね。そして、おちかを射止めた勘一くん、ここで登場したわけか。飄々とすっとぼけているやで頼りになる、憎めぬキャラだ。おちかの失恋といっていい利一郎との別れをしかと見守り、さりげなく励ましてたのか。「生身の人の語りは生きものだけに時にはあたる」言うねぇ。
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歳のせいか読んでる時は楽しいけど、後々思い出せない…
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「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の4篇。
『宮部みゆきの江戸怪談散歩』の中で──
「三鬼」の「三」を「山」にするか迷っていたんです。山が舞台の話ですから「山鬼」でもいいんですが、私としては東西の村ではない、三番目のあの世に近いところからくるものの話なので「三鬼」でもいいな、と決めかねていたんです。 その話を刊行後の打ち上げのときにカバーの插画も描いてくださった北村さんに話したら、「絶対に『三』がいいに決まってる。山の鬼じゃないですよ」って」
あの世でも、この世のでもない、もう一つの世界。
人の心の中に棲む鬼が
あの世とこの世のあわいに現れるということかな。
それぞれに面白く読んだ4篇だった。 -
あまりに暑く寝苦しい夜が続くので怪談話でも読もうかと図書館で借りてきました。最高!没頭!
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どの話も引き込まれる珠玉の作品集。浮世を離れて楽しいひとときが味わえる。百物語の語りが実現するのが楽しみ。