遊牧民から見た世界史 増補版

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532195991

作品紹介・あらすじ

遊牧民の視点から眺めると世界史が違って見えてくる。スキタイ、匈奴から、テュルク、ウイグル、キタイ、モンゴル帝国まで、膨大な原典史料をもとに草原の民の視点から人類史を描き直す。ロングセラー文庫の増補版。

感想・レビュー・書評

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    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「シュトヘル」と言うマンガをボチボチ読んでいる。「元」が興った頃の話なので、一緒に読んでみようかな、、、
      「シュトヘル」と言うマンガをボチボチ読んでいる。「元」が興った頃の話なので、一緒に読んでみようかな、、、
      2013/04/09
  • 多くの人が現行の教育制度の中で植えこまれた従来の世界史観(p53「世界は、ここ100から150年、近代西欧型文明を至上のものとする価値観のなかで、生きてきた」)を揺さぶる良書。「明朝皇帝は、中国史上とびぬけた独裁専制君主であった」(p64)「恵帝はどうしようもない阿呆であった」(p231)など、決してニュートラルとはいえない書き方で読み手は注意すべき。だが、読み手の先入観を突き崩すために不快なほど強くいい、極端なぐらい遊牧民の側から世界史を描写しているはず。また、「歴史は謎を解くのか」というコラム(p350-)では壮絶な歴史研究の実態がわかる。書かれなかった歴史の側、今までは歴史のネガだった側から世界史を眺め直す。すると、たとえば、中国王朝は、ほとんど遊牧民の「虎の威」を借りていた(p158)が、文字での記録では圧倒したので後世には蛮族のように描写され、それが今日のイメージにつながっているといわれて、とりあえずスッキリする。おそらくその大半が移動生活という性質上、記録を残すという傾向がうまれにくかったのだろうか。そういう遊牧民の形成した国家のハイブリッドさを捉え直し、「民族」や「国民国家」という概念、枠組みに疑問符を投げかける。わたしたちは、「大きなカンちがい」(p457)をしてきたのである。

  • 地図帳を広げながら拝読。中国からモンゴル、中央アジア、ヨーロッパって案外近い。匈奴、突厥、ウイグル、モンゴル、、、緩やかな連合、ネットワーク。排他性のないイデオロギーなしの多様性。モンゴルは経済政策あっての世界帝国。著者のいう先入観なしのあるがままの歴史。この地域はこれからも新しい事実が発見されるでしょうから楽しみです。

  • 「遊牧民の視点から眺めると世界史が違って見えてくる。スキタイ、匈奴から、テュルク、ウイグル、キタイ、モンゴル帝国まで、膨大な原典史料をもとに草原の民の視点から人類史を描き直す。ロングセラー文庫の増補版。」

    「著者は、京都大学でモンゴル研究に取り組み、従来の定説を次々とくつがえす刺激的な議論を展開する気鋭の学者です。世界史の教科書に必ず載っている事項について、オゴタイ・ハンは存在しなかった、マルコ・ポーロは実在したか疑わしい、等新説を発表している。ー思い込みと伝説に彩られたモンゴル帝国の歴史を、新しい視点でズバズバと斬っていく杉山説は、読んでいるだけで楽しく、次から次へと新しい発見があります。みなさんもぜひそんな快感を味わってみてください。杉山さんの他の本もおすすめの力作。」(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)

    目次
    1 民族も国境もこえて
    2 中央ユーラシアの構図
    3 遊牧国家の原型を追って
    4 草原と中華をつらぬく変動の波
    5 世界を動かすテュルク・モンゴル族
    6 モンゴルの戦争と平和
    7 近現代史の枠組みを問う

    著者等紹介
    杉山正明[スギヤママサアキ]
    昭和27(1952)年静岡県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、京都女子大学専任講師、助教授を経て、京都大学大学院文学研究科教授。主要研究テーマはモンゴル時代史。日本におけるモンゴル史研究の第一人者。95年『クビライの挑戦』でサントリー学芸賞、03年司馬遼太郎賞、06年紫綬褒章、07年『モンゴル帝国と大元ウルス』で日本学士院賞受賞

  • 2021.11―読了

  • 【文章】
    読み辛い
    【ハマり】
     ★★★・・
    【気付き】
     ★★★★・

    本書を滞りなく理解しながら読み進めていくためには、学校で習う世界史には出てこないような、アジアの歴史的知識が必要。

    ・万里の長城の"城"は、日本でいうところの城ではなく、土から成った壁という意味
    ・大陸の歴史において、「民族」や「国家」の区切りはとても曖昧。ある集団に対して何かを語るとき、「民族」や「国家」という概念を当てはめるのは不適切な事がある
    ・ある集団に対する歴史的な残酷さを語るのは、直接被害を受けた人々ではなく、被害を受けたと考えられている人々の子孫。そのため、残酷さを語るストーリーの中に捏造が混じる場合がある
    ・現代教えられている世界史は、西欧を中心としたものに偏り過ぎている

  • 【読書】漸く読了。夏休みの4日かかったけど読みごたえのある一冊でしたな。所謂、歴史の教科書の空白な部分であるユーラシア中央部のモンゴルまでの時代史がよく分かって面白かった。まあこういう交易を媒介するところがないと三蔵法師もインドに行けんわな。ただ史書があるとないじゃ後世の評価が雲泥の差だなとはよく分かった。

  • SM3a

  • モンゴル帝国の拡大というか、遊牧民というものが以外に社会的な事に驚いたな。
    ちょっと歴史を知っていれば、モンゴルが教科書で習うような暴虐な存在ではない事は知っていたけど、昔からずっとそうだとは思わなかったよ。
    それに中国王朝と密接に関係していた事も面白かった。

  • クビライの治世の秘密は、ダイバーシティ登用と、経済圏の創出

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著者プロフィール

京都大学大学院文学研究科教授
1952年 静岡県生まれ。
1979年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、
    京都大学人文科学研究所助手。
1992年 京都女子大学専任講師を経て同助教授。
1996年 京都大学文学部助教授・同教授を経て現職。
主な著訳書
『大モンゴルの世界――陸と海の巨大帝国』(角川書店、1992年)
『クビライの挑戦――モンゴル海上帝国への道』(朝日新聞社、1995年)
『モンゴル帝国の興亡』上・下(講談社、1996年)
『遊牧民から見た世界史――民族も国境もこえて』(日本経済新聞社、1997年、日経ビジネス人文庫、2003年)など。

「2004年 『モンゴル帝国と大元ウルス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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