国家戦略の本質: 世界を変えたリーダーの知略

制作 : 戸部 良一 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532199692

作品紹介・あらすじ

本書は、11月刊の『知略の本質』で最終巻となった「失敗の本質」シリーズ第3作の待望の文庫化です。
リーダーシップ不在が嘆かれる日本。国家レベルでは経済低迷のてこ入れ、世界秩序の大混乱、企業レベルでもネタに尽きることはありません。
だが、漫然とリーダーシップの不在を嘆き、真のリーダーの登場を期待するだけでは、何の展望も見えてきません。我々が指導者に求めるものは何なのかを明らかにしなくてはならないのです。
すぐれたリーダーの特質として人柄、人間的魅力、牽引力、構想力など様々なものがあげられますが、こうした資質や能力に負けず劣らず重要なのが、事業部門長や現場指揮官に必要とされる戦略構想力を超えた、国そのものを動かす大戦略の視点です。それが本書の国家戦略にあたります。

国家戦略は上記の資質や能力を包摂し、それに何かをプラスした能力とも言えます。冷戦、経済成長によって危機が露呈しなかった日本ではさして意識されませんでしたが、国際秩序が不安定化し、低成長経済が常態化している21世紀日本には不可欠な能力です。
本書は、2014年に刊行された『国家経営の本質』を改題し、文庫化するもの。国家を動かす大戦略とは何か、どうあるべきか、を分析します。
本書は、1980年代を福祉国家経済の限界、共産主義国家の限界などが露呈した歴史の大きなうねりが生まれた大転換期と位置づけます。その危機に直面し、リーダーシップを発揮した、サッチャー、レーガン、中曽根、ゴルバチョフ、コール、鄧小平の6人を事例として取り上げ、彼らがどのように歴史のうねりを始動させ、うねりに乗って歴史を動かし、そのうねりに翻弄されたのかを、経営学・政治学・歴史学・軍事学の知見にもとづいて解明します。
中国の台頭、朝鮮半島情勢の不安定化によって経済中心でやってきた日本は、安全保障の転換を迫られています。今こそ必読の書です。

感想・レビュー・書評

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  • 権力の「悪魔性」を自覚しながら善用し、「共通善」を実現する「戦略」を物語る。
    失敗の本質シリーズに脈々と流れるテーマですね。
    言うは易しですが、かくありたい。

  • 客観公正な内容として書かれていて読みやすい。同時代に各国を率いたリーダーが何を考え、どう行動したのかは、個々の評伝を読んだだけでは分からないと思う。この本は相互の繋がりも理解し易く、時代全体の雰囲気も掴みやすい。

  • 世界の過去のリーダーの戦略策定と実行にあたって留意したこと、その評価

  • 20世紀に国家の首脳を務めた人物の実績から、国家主導者としてのリーダーシップに共通項を見出そうとする。リーダーシップ論としては勿論、当時を生きていない、記憶に無い世代には歴史の勉強にもなる。内容の濃い一冊。

  • 私にとって『失敗の本質』は、最も影響を受けた書籍であり、それに繋がるその他の本質本も読み続け、今回、本書を読んだ。私自身が備えたいリーダーシップ論とは、スケール始め合うべきものではないが、ここに出てくるリーダー達の成功、失敗事例に対する分析は改めて気づかされるところも多い。私のような小ちゃい人間の生き様にも生かして行きたいと思った。

  • 政治家の伝記もどきによくある、ぐだぐだノンフィクション(人となりを伝えるとして、新聞記者系がよく書いているのだったか・・)とは、はっきり一線を画した本だ。1980年代以降の世界の代表的政治家が、どういう資質とプリンシプルの持ち主であって、どういう時代背景の下で、どういう判断を下してどういう成果をあげ(そして失敗したか)を、整然と並べて読ませてくれる。最後の総括の2つの章は、政治学が倫理学や哲学と地続きだといわんばかりに、ややペダンティックだが、我々一般読者の知的虚栄心も満足させてくれるスグレモノかもしれない。

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