若者たちのニューノーマル: Z世代、コロナ禍を生きる
- 日経BP日本経済新聞出版本部 (2020年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532264499
作品紹介・あらすじ
ごく普通の会社員・渡辺正太(51)。2020夏のコロナ禍 において、 見た目だけが若者に変身するという、 「ありえない」 事態に襲われた。
本書は、なんとか20代前半のコロナ禍の「ニューノーマル」に適応しようと、悪戦苦闘する彼の姿を通し、イマドキの若者の消費や働き方、SNS事情、恋愛・結婚や家族関係のリアルを、ストーリー方式で読み解く、「若者生活・体感型」マーケティング本 。
「イマドキの若者」とするのは、現10代後半~20代半ばの「Z世代」。物語の途中に、『なんとなくクリスタル』風にトレンド用語の詳細な解説を挿入、若者たちの実像が浮かび上がる。
感想・レビュー・書評
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牛窪恵さんは昨夜も「ホンマでっか?!」に出演されていたようですが、そういった活動はいわば副業で、本業はマーケティング会社の経営、そして立教大学院で「消費者行動論」の授業、研究。
また、実は若い頃日大芸術学部で脚本を勉強されていたそう。
そんな彼女の二つの専門をいかして書かれたのがこの本。
49歳の男性がコロナ禍(昨年の夏)の21歳と入れ替わってしまうフィクション。
たしかに49歳のまま、そのメンバーに加わっても本音はみせてもらえないでしょうから、牛窪さん自身「古典的な設定に迷いがあった」そうですが、とても良い企画だと思いました。
ただ、何人かの中高年女性の若いオトコ好きっぷりがちょっと気持ち悪く感じられることもあり。
そう思うと主な登場人物たちも、それぞれの特徴をちょっとデフォルメしている可能性も。
だって、アンケートを円グラフにしてみても、100%一色ということはなく、世の中いろいろな人がいますものね。
だから「Z世代ありのまま」ではなく、「こういう特徴のある人がいるよ」ぐらいで受け止めた方がいいかな。
と、そのように冷静に読んでみても、この世代のトレンドがたくさんわかったのが、とても楽しかったです。
こういう小説にしてもらったおかげで、すんなり理解できました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子どもたちがどんな事を考えているのかを理解する一助になれば、と思って読んだ
結果的には、Z世代特有の考え方を新鮮に学ぶことができた
前半の父と息子の入れ替わりの物語は、後半のマーケティング解説を読む際にイメージとして分かり易くなる為にあるのだと思うので、読んでおくといいと思う
本書には筆者の推測が多く、サンプルとなった若者の階層にも偏りがあるのでは?と思うので、同じテーマの他の本も読むつもり -
今の若者の事を知りたくて読みました。
他とは違う味付けも 臨場感、疑似体験と思えば面白いです。 -
ゆとり世代(1987~1995生まれ)の後は「Z世代」(1996~生まれ)と呼ぶらしい。アメリカで冷戦期のX世代・冷戦崩壊~ネット時代をY世代に続くのでZ世代と呼ぶというのが語源らしい。ということはZ世代は現在の25歳くらいから下の世代ということになり、二・三年前からZ世代社会人が登場していると考えてよい。
著者の牛窪さんはNHK「所さん! 大変ですよ」などでもお見かけする、マーケティング・ライター。帯に「物語とキーワードで読み解く withコロナの消費潮流」とあるのだが、どうしてどうしてZ世代の世代論を超えてアフター・コロナの時代に向けた希望も感じさせてくれる。コロナ、コロナでげんなりする日々に明るい光を見た思い。
本の仕立ては、前半がフィクションで49歳の父親と21歳の息子が入れ替わる(「転校生」や「君の名は。」でおなじみ手法)という設定で、49歳の父親がZ世代になってみてその生態を自分ごととして体験する。父親世代とZ世代の両方の目線で世の中を見るという疑似体験なのだがこれがなかなかわかりやすい。
Z世代と切っても切り離せないのがスマホ・ネイティブであり、SNSネイティブであるということ。ネットやスマホが物心ついたときからある。たぶん、中年以降にそれらに触れた自分たちとは違うメンタリティを持っているんだろうけど想像することもできないな・・・と思っていた。ところが、このフィクションでわたしもZ世代の末っ子の彼の感覚を疑似体験でた。
本書の後半は前半のフィクションにできたキーワードをデータやグラフを使って丁寧に解説してくれる。「エモい」「チルる」という話し言葉だけでなく「スタディ・サプリ」や「フェス」といった用語もよくわかった。
それらをふまえて、問題提起されているのはいわゆる就職活動、つまり日本型の就活がはらむ数々の問題点。社会の変容で一括大量採用の終身雇用という制度が行き詰っているの確かにそうで、その最前線にいるのがZ世代なのだ。その行き詰まり感を大いに増幅しているのがコロナ禍。自分の目指してきた職業の先行きが一気に不透明化しつつあるのに、一括大量採用に乗り遅れてはいけないというダブル・バインドはかなりきついことは想像に難くない。
「おわりに」がコロナ禍とのからみで秀逸なので引用する
―――「いま社会で求められていることは、まさにZ世代が、コロナ前から求めてきたことだ!」それが、コロナ禍の20年3月、若者たちの取材を始めて、真っ先に感じたことでした。
サステナブルな視点で地元や自然、地球環境に配慮する。富よりも「人間らしい生き方」を追い求め、自分や家族、周りの友人・知人の健康と幸せを願う。あるいは、経過より結果を意識しながら生き、働く。業務や健康管理を数値で「見える化」し、中長期的なコスパを実現しようとする。動画やSNS、オンラインを効率的に使いこなし、いつでもどこでも誰とでも、既存の枠を超えてグローバルにつながれる環境を創りあげる・・・・・。
私たち上の世代も含めて、おそらくほとんどの人が「いつか、そうした社会を実現すべきだ」と、頭のどこかで感じていたはずです。
また、コロナ禍ですっかり一般化した、テレワークや副業解禁、人材シェアリング、ジョブ型雇用なども、以前から「本腰を入れて、取り組まないと」と、繰り返し求めれてきたことでした。(中略)にもかかわらず、私も含め大人たちは「まだもう少し、先のこと」だと思っていました。
Z世代が、これほど身近で「もう時代は変わったんです」「僕たちが人間らしい生き方を標榜するのは、決して『小さくまとまっているから』でも、『欲がなさすぎるから』でもないんですよ」と、ニューノーマルな価値観を発信し続けていたにもかかわらず、です。(引用終わり)―――
コロナによる緊急事態が終わったら、まるで何もなかったかのようにもとの社会にはもどるのだろうか、それともコロナであぶりだされた旧社会の矛盾が大きく解消される方向に動くのだろうか。経済界は通勤や転勤や出張などの莫大な経費が「大いなる無駄」だったことに気づいているだろう、テレワークはコロナ後もなくなることはないだろう。我々中高年者もZ世代とともに新世代のニューノーマルを模索すべき、いやそうせざるを得ないのだ。 -
世代の異なる人を理解するヒントになった。
広い価値観、視野をもつ機会になった。 -
真面目な調子の本。まとめをよめばいいかな。
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人によって前半の物語の評価がわかれる
私には物語があまりピンとこなかったので、小説風に書かれている部分の大半は読み飛ばした。
コラムと後半部分の「マーケティング解説」だけをざっくり読んだ。
「ゆるいつながり」や、最近の若者関連のマーケティング用語を理解する一助となる書籍。 -
Z世代の思考と行動様式が小説風に書かれていてすごく読みやすかった。ストーリー的にツッコミ所は色々あるが、ストーリー構成いついては本の趣旨と違うので無視するべき。
日頃断片的に見聞きしている情報が一冊にまとめられていてよい。
前に同様の書籍を読んだので理解も深まった。