- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532280109
作品紹介・あらすじ
皇帝堅(文帝)が興した隋は陳を滅ぼし、ついに中国統一を成し遂げた。帝国の実権を狙う楊広(煬帝)にとって、最大の邪魔者は放蕩な皇太子である兄、楊勇。謀略の限りを尽くして、兄を廃そうと企む楊広は…。隋帝国の興亡史は、いよいよ破滅的ラストへ向かう。第1回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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(※写真は塚本靑史さんの小説『煬帝』ですが、このレビューは靑史さんの新刊『肖てはるかなれ』短歌研究社、2017年のものです!)
ライターもて紫陽花の屍【し】に火を放つ一度も死んだことなききみら
塚本邦雄
父、塚本邦雄。昭和30年代に最盛期を迎えた前衛短歌運動の代表的な歌人であり、小説や評論など、著書も多岐にわたり、「塚本邦雄全集」全15巻及び別巻がある。
息子、塚本靑史【せいし】。イラストレーターとして活躍後、歴史小説作家となり、中国を題材とした「項羽」「煬帝【ようだい】」などが人気を博し、ファンとともに中国旅行も楽しんでいるという。
その塚本靑史が、幼少時からつねに傍にいた父親像そのままを記したエッセー集「肖【に】てはるかなれ」が刊行になった。短歌雑誌に長期連載されたもので、タイトルは、塚本邦雄の著名な歌「ほほゑみに肖てはるかなれ霜月の火事のなかなるピアノ一臺」からとられている。
掲出歌の下の句は、戦中を生き延びた塚本邦雄ならではの感慨だろうが、この歌が、ある著名作家の小説のワンシーンに転用(和歌でいう本歌取り)されていたという秘話が、とくに興味深かった。
その作家とは、三島由紀夫。もちろん塚本邦雄と交友があり、互いにサイン入りの著書を贈り合っていた仲である。その三島の「午後の曳航【えいこう】」第一部に、タバコを吸おうとした男性のライターを、女性が奪い、「枯れた花房をそれで焼きつづけた」という場面がある。男性の名字は「塚崎」。「死」も、この小説のキーワードであった。
三島由紀夫は1970年に没。塚本邦雄は2005年に没。両者の作品の影響関係を、いろいろと探ってみたくなる。
(2017年7月2日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全2巻
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煬帝。中国史上最悪の暴君。
行っていることは、中国史上最高の賢君と言われる李世民と変わらないのだが。
なにが大きな違いなのか。
小説ながら、その半生を知ることができる。
しかしながら、小説として波がなく平坦な文章構成。
やや退屈だった。