脳科学がビジネスを変える: ニューロイノベーションへの挑戦

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318659

作品紹介・あらすじ

農業革命、産業革命、IT革命。そして今、脳科学研究が新たな革命を導きつつある。グーグル、マイクロソフト、IBM、ディズニー、ユニリーバ、フィリップスなど、積極的に研究開発に取り組む米欧企業群。日本企業の後れは致命的なダメージとならないか?脳科学の産業応用に通暁した著者が描くニューロイノベーションの最前線。

感想・レビュー・書評

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  • 脳科学については元々興味があったが、それがどのような「行動経済学」にどのように影響しているかだとか、ブランドやマーケティングに
    どのように影響しているか等、非常に興味深い内容だった。

    勿論『人事管理』についても触れており、この内容については目新しいものがあったわけではないが改めておさえておく/認識しておく
    べきだと感じた。
    ***************************************************************************************
    ・日米欧では文化が違う。人、何よりも脳が違う。
    それを無視して表面なことを真似する。成功している企業をベンチマークして、欠けている能力を強化しようとする。
    結局うまくいかず、ボロボロになり、元に戻す。その間に競争力までも失う。
    日本人は不安傾向が強く出るセロトニンが多い。自分を守る行動に出るのは当然。

    ・人事制度上、何をグローバル化で共通にし、何をローカライズするか。
    言語は文化と密接に関連しており、言語によって思考そのものも変わる。
    何が失われるかも考えることが必要。

    ・組織は手段であり、目的ではない筈が、時を経てその意味を忘れ、故に組織の維持拡大が目的化してしまう。
    これは不安回避方向性が働いている結果。

    ・95%の無意識判断。5%程しかアンケートには現れない。プレゼンや提案もやり方を変える必要があるが、従業員サーベイなんかも
    同じことが言える。

    ・ダイバーシティで重要なことは数や比率ではなく、男女の違い、脳のつくりの違いをいかに活かすか。
    女性がいるチームは確かにグループIQが高い。個人能力の合計...といったことを超越する。
    ***************************************************************************************
    (その他メモ)
    ・自動車他社(ヒュンダイ、ダイムラー)は脳波測定もマーケティングに入れている。
    ・人間の資格、聴覚などの感覚器官には同時に1100万子の情報が入ってくるが、その中で意識して扱っている情報は多くても40個ほど
    無意識に脳は情報を処理する- 生存に必要
    ・認知活動の95%は無意識に行われており、意識しているのはわずか5%である。
    ニューロマーケティング、ニューロエコノミクスはこの95%の無意識の領域に焦点をあてる。
    ・無意識での認知活動は0.5秒:意識するおおむね0.5秒前には脳は意思決定を行い、命令を出している。
    ・共感覚:数字や曜日に色が付いて見える現象 200人に1人- 脳の中で、無関係に思える者どうしを結び付ける能力。
    ・会社名称、ロゴデザイン、商品名と商品デザインの関係の重要性
    ・認知バイアスが意思決定に影響を及ぼす 経済学に心理学、脳科学を持ち込み、経済学の枠組みを変える。
    ・①人は何かを変える時よりも何かを失う時の方に強く反応する(損失回避性)。
    ②人は負の選択をするときには、リスクを追求する傾向があり、正の選択をするときはリスクを回避する傾向にある。
    人は不確実性のある状況においては、決して合理的な選択をするとは限らない。

    ・代表的なヒューリスティック3つ
    ①利用可能性ヒューリスティック (availability heuristic):脳が検索容易な事柄や事項を優先して評価して判断・意思決定する
     ex. 身近にある成功事例を見て、その裏側にある会社の違いを無視して、他社の真似をする場合。
    ②代表性ヒューリスティック (representative heuristic):特定のカテゴリーに典型的と考えられる事柄や事項を過大評価して、判断意思決定すること。
     ex. 海外ベンチマークして、文化の違い、市場に違い、国民性の違いもジャンが得ず、その指標を重視してしまう場合。
    ③固有性ヒューリスティックまたは係留と調整 (anchoring and adjustment):最初に示された情報を基準に、その中に含まれ特徴を重視し、その後の
    意思決定がその結果に引っ張られる。 そのため、いつまでたっても解決策が得られない。
     ex. 売上を上げないと成長しない----->利益を増やして成長することを忘れ、売上増加に向けた施策に囚われてしまう。
        人は知らず知らずのうちに勝手に何かを基準にして、またはある物事にフォーカスして枠組みを作ってしまう。

  • タイトル倒れの本

  • 興味ある分野だけど、なんかむずい

  • 脳科学 活用企業・研究機関

    海外
    ・IBM
    ・マイクロソフト
    ・グーグル
    画像認識
    ・3M
    ・ディズニー
    映画、広告評価
    ・ユニリーバ
    味覚
    ・フィリップス
    ・P&G
    ・フォルクスワーゲン
    ・ロレアル
    肌を刺激してるときの脳反応→敏感肌特有の神経メカニズム

    国内
    応用脳科学コンソーシアム(CAN)


    脳をものさしに製品開発
    ペリパーソナルスペース:無意識に使いこなせる道具によって届く範囲の空間。道具による拡張性がある。脳にとっては手も足も箸もスマホも目的遂行のためのツール。iPhone


    無意識の意思決定by脳
    スピードは速いが認知バイアスの影響などから正確性・客観性に欠ける。
    意識上に上がった意思決定
    時間はかかるが、客観性は高く合理的。


    情動:
    身体内外の変化→感覚器官→脳が判断→身体に変化の生ずる情報を出力→身体的変化(無意識)
    その変化が意識に表れた状態が、感覚

    今後活発になるのは、快情動の研究。
    マーケティングへの応用:
    曲の好み、デザインの好感度、医療分野(依存症)、眼鏡の見え方


    アンケート・インタビュー
    課題:回答者の主観、定量化が困難、本音と建前、無意識なことは回答不能、設問による結果の歪み、記憶による結果の歪み

    無意識を探る手法
    ①行動観察調査(エスノグラフィー)
    顧客の行動を観察、その結果を定性的に評価
    課題:観察者・解析者の主観
    ②心理物理実験(サイコフィジクス)
    ある外的環境変化に対する人間の行動から推測される心理現象を反応時間など定量的なもので評価
    ③心理物理実験+生理計測
    反応を計測器で計測
    課題:反応の理由付けは心理学的な知見がもとになる。いくつかの要因がある場合、影響を特定するのが困難。
    ④心理物理実験+生理計測+脳計測
    いくつかの要因がある場合、脳の反応を確認することで、原因を追求できる。


    脳計測装置
    ・脳波系(EEG)
    メリット: 安価、時間分解能に優れる
    デメリット:空間分析能低い=脳のどの部位が大きく活動しているか特定困難
    ・fMRI
    もっともポピュラー
    メリット:空間分析能高い
    デメリット:高価、時間分析脳低い、装置が大きい
    ・NRIS
    脳の血流の変化を計測、価格は脳波系とfMRIの中間
    メリット:空間分析能高い、装置が小さい
    デメリット:表面の反応の計測

  • 農業革命、産業革命、IT革命。そして今、脳科学研究が新たな革命を導きつつある。グーグル、マイクロソフト、IBM、ディズニー、ユニリーバ、フィリップスなど、積極的に研究開発に取り組む米欧企業群。日本企業の後れは致命的なダメージとならないか?脳科学の産業応用に通暁した著者が描くニューロイノベーションの最前線。

  • 応用脳科学とは脳に関する様々な研究成果や知見を産業に応用することを目的とした科学であり、 特にマーケティングに脳科学を活かすニューロマーケティングが注目されている。人が無意識のうちに意思決定していることが多く、それは本人も気づいていない。それを脳科学の知見で明らかにしようというもの。これからはこんな時代になるんだろうか。

  • 蛇を見た時、怖いから飛び退くわけではなく、無意識のうちに飛び退いてから怖い、と思う。
    意識する0.5秒前に脳は意思決定を行い行動の命令をしている。

    脳には、認知バイアスがある。
    プロスペクト理論(カーネマン)=小さくても確実な利益を好み、損をする場面ではリスクを負う。
    利用可能性ヒューリスティック=脳が想起しやすい事項を優先する
    代表制ヒューリスティック=典型的な事柄で評価しやすい
    固着性ヒューリスティック=最初の情報を重視し、その後の意思決定がその結果に引っ張られる。
    認知バイアスは、快不快という情動にも関係していて、本人は意識できないことが問題。

    東海光学は遠近レンズの開発で、脳計測の評価を導入した。

    人の情動を決める脳内物質
    セロトニン=多い人は楽観的。日本人は少なめ
    ドーパミン=行動の動機付け。不足すると意欲が少なくなる
    オキシトシン=人を信頼しやすくなる。利他的行動を促す。

    アメとムチ。ビスマルクは、社会主義者を鎮圧しつつ、社会保障制度を創設して貧困層を助けた。
    日本人のセロトニンが少ない体質を考えると、信賞必罰の人事制度よりも安定した制度のほうが適している。

    スピーチの最初にジョークを入れる。可笑しくなくても笑う。
    うれしいから笑うのか、笑うからうれしいのか。

    うつ病は女性に多い。セロトニンの活性化に違いがある。

    マーケティングの理想は販売を不要にすること。
    チョイスブラインドネス=自分の選んだものに肩入れする。
    パブロフ型、習慣型、ゴール思考型の思考に支配されている。

  • 最新の脳科学の各種知見をもとに、ビジネスへの展開事例、現状について考察・紹介した良書。

    脳科学のビジネスへの活用事例、有名な理論、考え方、
    また日本の持つ課題と今後など網羅的に整理されて記載されている。
    <メモ>
    カーネマン提唱12の認知バイアス

    チームに女性がいる方がグループIQが高くなる。

  • 主に欧米で進んでいるニューロマーケティング。その基は脳科学の進歩であり、心理学を含めて、米国の企業ではマーケティングを始め多くの部門においてこの分野を学んだ社員が採用されているという。わかりやすいので、ざっくりとこの分野に触れたい人にはいいかもしれない。個人的には楽しく読めた。

  • 脳科学の奥深さを感じる一冊!

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著者プロフィール

NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター長、ニューロイノベーションユニット長、研究理事・エグゼクティブコンサルタント。早稲田大学理工学部 電気工学科卒業 。プリンストン大学大学院 電気工学・コンピュータサイエンス(MSE)修了。1978年より電機メーカーにて新製品企画、開発設計、国内外マーケティングに従事。1991年よりシンクタンクにて環境分野を中心に、新規事業化支援、事業化コンソーシアム運営等、数多くのプロジェクトを実施。1997年4月より現職。専門分野は、ニューロコンサルティング、新規事業化支援、マーケティング戦略、環境分野全般、地域経営、コミュニティネットワーク、地域情報化。脳科学、ライフサイエンス、地域経営、環境などの分野でマネジメントや新事業に関するコンサルティングを中心に活動。2001年より横浜国立大学大学院 環境情報学府 非常勤講師。2004年より同客員教授(「環境コミュニケーション」担当)。2017年より大阪大学招聘教授。著書は、『脳科学がビジネスを変える』(2013年)『ビジネスに活かす脳科学』(2015年)ともに日本経済新聞出版社。論文・講演多数。

「2018年 『思考と行動が早くなる仕事脳の使い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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