シャープ崩壊: 名門企業を壊したのは誰か
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2016年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532320560
感想・レビュー・書評
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ブックオフで買って積んでた本。読み始めたら一気に読めました。ちょうどシャープが液晶で席巻していた時代も、その後の凋落も見ていたため、裏側でこんなことがあったのか…と思いながら読みました。一時期はマンUのユニフォームのメインスポンサーはってたはずなのに…結局は、読み間違いということなんだと思いますが、そこには、人事抗争、保身、メンツなどからくる焦りがあったのかと。しかし、日本企業はなかなか世界レベルに到達するのは難しいと感じた本ですね
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経済誌かなんかの書評で読んで知ってから積読。
2016年にシャープが鴻海に買収された直前まで、シャープの転落の様子を日経の番記者が描く。
大叔父がシャープの電器屋だったし、仕事でも多少絡んだこともあるので、比較的好きな家電メーカーではあったシャープ。でも、書かれている内容はまるで日曜劇場のドラマに出てくるようなドロドロ話。こりゃダメだな。
途中出てくるJDIや東芝が今でも迷走しているのを見ると、鴻海に買われてよかったんだろうなと思う。確かに日本人としては微妙な気もするけど、海外で仕事をしている身からすると、資本の国籍で今更選り好みしてもって気もするし。 -
創業者が去り、創業期を知るメンバーが去り、生え抜きのサラリーマン経営者達がトップに着き、自らの虚栄心を目的とした近視眼的な施策を続けた結果、崩壊した。ありふれた事柄だが、これが大きな規模で起こったというのが本書を読んだ印象だ。
持論だが、世間で最盛期と思われる施策は衰退を招くものが多いと思う。
「液晶のシャープ」しか知らない世代であるし、それ故に「強いシャープ」のイメージが強く、当時の凋落に際しては「まさか…」としか思えなかったが、少しだけ謎が解けたように思う(本書の内容が正しいかは分からないが)。
積読本だったが一気に読んでしまった。 -
人事抗争をメインに書かれていますが、やはり巨額の投資が本質と思います。一度狂った歯車を修正することの難しさを、ひしひしと感じました。
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今更ながら読了。
権力争いというところを基盤に敷いているが、
むしろ途中で自浄作用が働かなかった点に問題がある気もする。
まぁ投資の失敗は命取りだよなぁと、しみじみ。 -
「東芝の悲劇」と同様、会社にとって経営トップの誤りがいかに酷い影響を与えるかがよくわかる。
自身が育てた液晶事業が生んだ「AQUOS」のヒットで、念願の企業ブランドを手に入れた片山社長が、その液晶事業への過剰投資で会社を傾ける原因を作ったのは皮肉である。
創業者と二代目社長の「社員を大切にし」「身の丈に合った」経営が続いていたら、ここまでの失敗はなかったのかもしれないが、かといって大規模な投資と迅速な判断が要求されるバクチのような家電・半導体業界の経営環境でそれが許されたかどうかはわからない(少なくともマスゴミの受けは悪そうだ)。
凋落の原因には、南鮮の技術窃盗、鳩山の円高放置といった環境もあるが、少し業績が良くなると調子に乗って、取引先や下請けに尊大な態度を取ったという社風も無視できないだろう。
経営理念の「言葉」は伝えることができても、理念そのものは伝えられないという指摘が面白かった。
他山の石として慢心の怖さを肝に銘じておきたい。 -
2017/ 2/16非常にわかりやすく緊迫感のある描写。歴代社長の人災みたいなところがある。東芝然り。★5
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シャープ関連のニュースを見る時、どうしてこのような状況になったかの背景がわかる。池井戸潤の小説のよう。
これが悪いとネチネチと愚痴を言うこと、粗探しをして怒ることは日本企業得意だけど、じゃあどうすれば成果が上がるの?効率良くなるの?という部分、施策を考える部分は本当に下手くそだ。現実を見ないで根性論に持っていきがち・・・それでは企業は良くならないでしょって思う。
シャープの経営に関しては、液晶事業に大型投資をしてしまったこと、工場を日本国内に作り垂直統合してしまったことが、最大の敗因であり、言い換えるとそこが取り返しのつかない失敗だったのだろうな。。。と。
ビジネスだからこそ、大きくするという考えは必須だと思うけど、今の世の中国内にのみフォーカスを当てて、日本しか見てないと、海外で大きな変化(ここでは中国、韓国との価格競争)に対応できない、つまり競り勝てないと終わりなんだなってことが良く分かる。
失敗としては、良い事例として評価されるだろう。 -
日経お得意の内実ドキュメンタリー記事をまとめて書籍化したもの。
いつもながら、よくもまあ実際その場にいたかのようなしたり顔の文章を書けるもんだ、と半ば感心、半ば呆れてしまうが。
今年(2016年)2月くらいまでの時点での出版なので、ちょうどホンハイの出資を受けて傘下に入るか、産業再生機構の支援を受けて実質国有化されるかの決断を迫られているタイミングで本は終わっている。
その後すったもんだの挙句、ようやく先日ホンハイからの株式代金払込みも完了して新経営体制がスタートしたのは衆知の通り。
副題に「名門企業を壊したのは誰か」とあるが、シャープが傾いた原因として、液晶事業への過剰投資とそれに続く経営陣の内紛、権力闘争に求めている。
近年の歴代社長のうち、町田氏、片山氏については、有能だが権力欲にとらわれた人物として描かれ、それに続く奥田氏、高橋氏は経営者の器ではないと言わんばかりの散々な書かれ方。
経営者の悪口に終始しているが、それで済ませてしまってよいのだろうか。
最後の方に、シャープの「元首脳」のこんなセリフが出てくる。
『シャープ社内の誰か優秀な人が突然出てきて、再生のシナリオを描いていくようなことにならないと、士気は下がるばかり』
こんな他人頼み、無い物ねだりの見解を吐いてしまうような人物しかいないようなら、そりゃダメだわな。
だいたい、この規模の会社で同族経営でもないのに、前社長の娘婿の兄や娘婿が社長を継いできている事実にちょっと引いてしまうし、固い財務体質や「目のつけどころがシャープでしょ」の革新性はあったとしても、結局は昭和の古い企業体質を引きずっていた印象をぬぐいきれない。
突き放した言い方になってしまうが、どのみちこうなるべき運命の会社だったのではと感じてしまう。