佐和教授はじめての経済講義

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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本棚登録 : 64
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532353278

作品紹介・あらすじ

環境やエネルギー、食料問題といった「いまどきのトピック」を題材に経済学をやさしく解説。初心者でも経済学のツボがわかる14のレッスン。

感想・レビュー・書評

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  • 特に優れているところはないと感じる。
    経済学として体系的な順序立てはなく、一応、の経済学のあらましを横断後に、日米などの経済イベントについて触れている。
    著者は、アメリカ礼賛、特に教育制度や金融の監視制度についてアメリカ礼賛、日本ダメだしの方針である。
    日本の金融監視が甘々なのは同感で、日本は不正や違法に甘いという点は同感。大企業が大規模な不正をしても執行猶予で済んでしまう。

    教育制度は、日本はアメリカの制度の部分部分だけもってくるのでおかしなことになっているという。そこは理解できる。アメリカ的なゆとり教育を日本にもってくるのであれば、大学入学システムも変更しなければならないし、大学の4年間でひたすら勉強させるシステムにしなければならない。けれども、そういう変更はしていない。おかしいのである。
    アメリカの大学の主専攻、副専攻システム、専攻を比較的自由に変更できるシステム。その上で、職業的訓練の意味を持つ専門大学院への進学を礼賛する著者。このあたりは人それぞれの範疇。
    著者が言い過ぎと感じるのは、アートも数学も同じように専攻できる教育システムだからiPodができるのだ。と。芸術と学術が4年間の大学教養部で同じように専攻できるから、そういう人間がソフトウェア分野を引っ張っていけるのだ、と語っているところ。この人は、プログラミングやらソフトウェアを偏狭までに神格化している。

    必要ない規正、どうでもいい規正、必要な規正、の段。必要な規正について語っている章で前述の日本の金融業界のことを例に挙げるならわかるが、いきなり、自動車と歩行者の事故を持ち出す。
    信号がない車道をいきなり渡ってきた歩行者と自動車の事故。自動車の修理費用について、日本では自動車が負担。フランスでは、歩行者が負担。フランスでは信号無視して渡る自由があるがその結果は自分で引き受けなければならない自己責任があるからだ、と
    よくわからない話を持ち出し、日本批判。

    日本ほど嘘に寛容な国はない。と結論づけている章で、日米の出生届の違いを持ち出しているが、比較対象が同一なものではなく、その話からどのあたりが日本は嘘に寛容なのからない。「嘘に寛容な国」と結論づけているが、その直前では「このように届け出の多さ厳格さがあるのは、人間は嘘をつくものだからと考えているからではないか」と言っている。はっきりいってよくわからない論理展開。

    アメリカは「基本、人間は嘘をつかないと考えている国なのだ」というアメリカ崇拝筆者の個人的換装はともかく
    アメリカは書類とか許可やら届け出やらそういう入り口は緩い。ただ、それが嘘だとわかったら厳しく処罰する。ばっさり処分する。
    日本は届け出やら許可やら入り口はめんどくさい。厳しい。その後、嘘だとわかったときの処罰はどちらかというとそこまで厳しくない。
    という傾向があるのはわかる。

  • 経済初心者向けに書いていてわかりやすかった

  • 科学から環境問題まで、今まで起こった出来事やこれからの起こることについて、経済の面から解りやすく解説されている。
    重要なキーワードは赤字になっていたり、別枠で図示されていたりと、読みやすくなる工夫もされている。
    経済学の入門書として、役にたつと思う。

  • これはいい!

    適したタイトルは、「今とこれからが分かる経済講義」って感じかな?出版から1年がたっていないだけに、内容が新鮮。

    これまで何冊か経済入門的な本を読んできたが、この本を読んで、社会科学としての経済学の威力とその位置付け、現実の経済事象がそうだったのか!と納得することしきりだった。

    あえて数式はあまり用いられてなかったが、理系の私としては数式&コンピューター・プログラムOKなので、是非、突っ込んだ勉強もしたいと思わせてくれた。

    その上で学んだこと。
    ・アメリカでは経済学が制度化されている(教科書化、専門化、職業化、有用性の社会的認知)
    ・ミルトン・フリードマンの説によると、経済の定性的な予測は可能だが、定量的な予測は不可能に近い。※ってことは、選挙のマニフェストでGDP成長率○%って書いている政党はうさんくさいというわけ。
    ・格差の原因は、市場主義改革のせいではなく、日本的雇用慣習が1991年以降の長期停滞に適応した結果。
    ・消費税がうまく導入できている背景に、年商3000万円以下の事業者は納税の必要が無く、その分、得をしている。また、年商2億円以下の事業者の場合、付加価値(=売上高-経費)を売上高の2割と見なして課税するという制度設計がある。これは諸外国から見ると不透明のそしりを免れない。
    ・執行猶予は健康上の理由のために、懲役刑に服することが出来ない人のための制度なのに、有期懲役刑の執行猶予率は60.5%、有期禁固刑のそれは93.6%(2005年)。
    ・郵政民営化は「巨像を野に放つ」に等しい。
    ・現代先進国で乗数効果は1.1倍程度。
    ・酒やタバコの課税は、罰則的な意味ではなく、安定した収入が得られるから。
    ・先進諸国に比べ、日本の課税最低限は高すぎる、という指摘は、購買力平価で円換算すれば妥当な線であり、的外れ。
    ・宮崎義一京大名誉教授は、早くから平成不況を在庫調整で片のつく単純不況ではなく、不良債権の調整をも必要とする「複合不況」であると正鵠を得た指摘をしていた。この主張を政府がいち早く取り入れておけば、50兆円の公的資金投入は5兆円で済んだ。
    ・ポスト工業化社会は、ソフトウェア産業(金融・情報・通信・医療・法務・シンクタンク・コンサルタントなど)が経済の中心に躍り出ること。
    ・アメリカの教育制度が理想。小中高とゆとり教育を徹底してやり、大学で知識の詰め込みをやり、大学院で職業人を養成する。

  • 経済学の見本市、みたいな。いろんな分野を浅く広く見られる。
    意志決定の仕組みの話に興味が沸いた。
    筆者の個人的な考えもちりばめられてる。

  • 経済について非常にわかりやすく書いてあり、
    何度も読み返したくなるような良著。

    わかりやすい表現ではあるがギッシリ書いてあるため、すぐには読み終わらないのでだいたい7~8時間は必要。

    資格試験対策の一般知識や、政治経済分野の参考書としても使えると思う。

  • 「経済講義」と題にある通り、経済学のごく初歩的な事柄を知るための入門書としても使える本ではあるが、個人的には本筋から離れた「余談」の方を興味深く読んだ。語り口がやわらかく、親しみやすい本だ。

  • 分かりやすいトーンで、経済成長の経緯が書かれている。高校生の入門書的な。
    最後のほうが、環境問題に集中していたのは、著者の関心分野なのかな?

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著者プロフィール

滋賀大学前学長。京都大学名誉教授。専攻は計量経済学、エネルギー・環境経済学。
『経済学とは何だろうか』(岩波書店)、『佐和教授はじめての経済講義』(日本経済新聞社)、『レモンをお金に変える法』(翻訳、河出書房)など、著書多数。

「2020年 『12歳の少女が見つけたお金のしくみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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