- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532354268
作品紹介・あらすじ
漁業者の乱獲、流通業者の買いたたき、消費者の魚離れという悪循環が、良質の魚が手に入りにくい状況を作り出している。その構造を解き明かし、安心して持続的に魚を食べる方策を考える。
感想・レビュー・書評
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水産行政に携わってきた著者が長年温めてきた日本水産業の様々な問題点を他国との比較などを参考に解決策を示している。この本は2009年頃のものだが、15年程経過した現在はどう変化してきているのだろう?TAC魚種も増え、IQにも順次取りかかっている?ようだが、まだまだ魚が増えて持続的に漁獲出来るレベルにきていないのではないか?
メディアでこの手の話しをみかけることもあまりない? 国民の共有財産である水産物の未来に期待していーのか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
水産行政に携わってきた著者が、漁業や行政の現状をもとに、日本の水産業の危機を訴える本。
・マグロを筆頭に、世界の魚種のほとんどが乱獲ないしはそれに近い状態
・日本もTACとITQを導入し、水産資源を管理すべき
・消費者は、魚に関心をもっともち、まじめに漁獲されている魚を選んでほしい
マグロは正直それほど興味はないのだが、アジとイワシとサンマは好物なので困る。寿司や刺身の楽しみが減ってしまう。
2010年の本なので、10年たった今、どうなっているのかと水産庁のページを見てみた。TAC導入された魚種は7種のみで、いまだオリンピック方式の総量規制のみ。ただし、改正漁業法が2018年に公布、2020年12月に施行され、IQが導入されるとのこと。遅!と思う一方で、ものすごく抵抗がありそうな分野で地道に法施行にむけて動いていた人たちがいたんだなあとも思う。 -
筆者の他の本(「これから食えなくなる魚」)をすでに読んでいたので、目新しい話は特になかった。
国民一人ひとりが国の公共事業(不必要な湾岸工事)や漁業にもっと関心と問題意識を持つことには同感だ。 -
著者の言いたいことがあっちこっちに飛びすぎて、言いたいことの言いっ放しに終わっている。
本書の内容の大事なところは前半にあって要は漁業方式をITQにしようということ。
主張自体は共感できる同意できることばかり。
日本の漁業が昔のままで何ら進歩していないということがわかる。
かなりの部分が失政と魚業者自体の無能無知無策からきている。
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苛烈な物言いは痛快だし正論だと思うが、ちょい文章が硬質で読みづらい。あと構成ももうちょっとやりようがあったような。
まあ内容を読むに、漁業の未来は暗澹たるもんですわ。ほんと、いろんな人が警告してるけど、なんで軌道修正できないんだろうねえ。
特に土用のウナギのときの狂乱ぶりとか、頭おかしいとしか考えられん。 -
少なからず水産に携わる身として、目から鱗のことが多く無知を恥じた。
日本の水産業が今岐路に立たされているというのは、漁獲される魚体サイズや量などから肌で感じるところだ。このまま日本はどうなるのだろうか?どうしたら良くなるのだろうか?と非力な一個人でも強く心配している。
ただ、環境問題も含めてよく引き合いに出されるのが欧米的な思考や対策だが、参考すべきだと思う一方で全てを鵜呑みにするのには抵抗がある。
著者も言うようように地域に即した形で個々に解決策を講じていけば良いと思う。
「壊すことから始める」「失って初めて気づく」という言葉もあるが、そうなる前に変えなければ、いや変えていければと思う。とはいっても個人であれやこれや考えても限界がある。日本を良くする大きなうねりがおこればよいが・・・。まずは、その一端を担えるようにしなければ。 -
著者は『これから食えなくなる魚』と同じく、政策研究大学院大学教授、小松正之氏。
前述書同様、日本の漁業問題全般について触れられています。
従来までのオリンピック方式※1ではなく、ITQ方式※2の導入を推す主張、漁協の閉鎖性を批判する主張などは大変分かりやすかったです。
この本を読むと、日本の漁業界が、環境問題、後継者問題、漁協の閉鎖性、資源管理の杜撰さ、捕鯨問題など、いかに多くの問題を抱えているかを認識させられます。
※1 各漁業者が漁をし、漁獲量を管理者に報告。報告された漁獲量を積み上げていき、漁獲可能量に達したら、そこで漁はストップ。漁獲可能量が設定されていない場合はそのまま漁は継続し続ける。
※2 漁業者の過去の実勢に基づき、個人ごとに漁獲量を決定し配分する。個人間の漁獲量は有償または無償で他人への譲渡が可能。