- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532357832
作品紹介・あらすじ
この流れは、もう止められない!
地政学の第一人者が未来を読む!
ドナルド・トランプの登場、ブレグジットは始まりに過ぎなかった。
グローバリゼーションとその恩恵を受ける一部のエリートたちへの憤り。
移民に加え、デジタルとAIに仕事を奪われる中間層の不安。
開発独裁への回帰を望む新興国と、未成熟な政治体制に怒る途上国の市民
──怒りは、世界各地で渦巻いている。
米国や欧州で、中国、ロシア、トルコ、イラン、ブラジル、サウジアラビア……
イアン・ブレマーは格差がさらに広がり、深刻な対立が次々に起こると予測する。
いつ、どこで、どのようなシナリオで起こるのか。地政学の第一人者が、丹念に読み解く。
感想・レビュー・書評
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今となっては当たり前のことが書いてあるだけのようにしか思えないのだが、本書が刊行された5年前の時点では「未来予想図」としての価値があり、その予想が的中したと言えるということになるのだろうか。
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地政学リスクや政治リスクの分析で知られるコンサルティング会社ユーラシアグループを率いるイアン・ブレマーの最新作である本書は「Us VS Them」という原著タイトル通り、自分たちのグループと他者のグループに壁を作り、現状の問題が全て他者に由来するとの被害妄想から他者を攻撃するポピュリズムの危険性と将来性をまとめた一冊である。
King Crimsonを率いるロバート・フリップ翁が記した「21世紀の精神異常者」は20世紀においてはその特異なアルバムアートで表現された架空の存在で済んでいたが、2018年の現代に生きる我々はその男がアルバムアートを抜け出して、ホワイトハウスに住んでいることを知ってしまっている。その住人であり希代のポピュリストたるドナルド・トラソプが得意とする対立の構造は、アメリカのみならず昨今の先進国に共通して見られる事象であろう。
本書が優れる点は、そうした対立の構造が先進国のみならず、新興国も含めてグローバル全体で浸透しつつあるという悲劇的なパースペクティブを明確なファクトと共に示す点にある。そうした誤ったポピュリズムを打破し、健全な民主主義社会を取り戻すためのキーとなるのが、国民・市民が国家に対して期待する役割を更新する社会契約の書き換えである。例えば、デジタルテクノロジーの破壊的発展により雇用すら危ぶまれるという危機に対しては、我々が国家に対する期待を「新たな教育システムを国民に対して提供する」として書き換え、抜本的な教育システムの見直しを現状の税金の使途を抜本的に見直しつつ、実行することが求められる。
結局のところ、社会契約の更新とは、ポピュリズムの中にあっても政府が果たすべき役割を再定義し、それを実行する権力基盤を既存の政治システムの中で構築する、というごくごく当たり前の民主主義システムの実行に他ならない。しかし、当たり前の民主主義システムが徐々に喪失されつつある今、それはそれで難しいことであるのも事実であるが。 -
対立の世紀とは、「わたしたち」対「彼ら」という「分断」で、それに気づくことが肝要。
分断があるほうが統治しやすい。
二項対立の考え方になっていないか意識する。
ファクトフルネスと一緒に読むといい。事実を見る。
御厨さんの解説で、今は工業化と情報化の狭間というのが印象に残った。 -
2018年の書でありCOVIDや2020年米国大統領選挙前の筆者の見立てを辿ることができた。若干左傾的記述あるも US vs THEM という視点は今後の世の中の動きを見ていく上で新たなツールを得た所感。
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簡単にグローバリズムの背景や影響についてまとめられていて読みやすかったと思う
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2020/7/1読了。現代は、工業化の時代の最終盤とデジタル化の時代の幕開け期との併存期であることを前提としつつ、その両者の相互関係をどうマネージしていくか。その中で、起こりかねない社会の分断と対立構造をどう乗り越えて行くのか。取り上げられた12ヵ国の現状と課題を取り上げて見ていくが
決して明るいばかりではない未来に鬱屈感を覚えた。しかし、いつ、どこで、どのようなシナリオが描かれて行くのか目を逸らしてはいけないと、改めて痛感した。 -
ようやく読んだ。
もっと早く読んでいれば、周りへの関わり方がまた違っていたかもしれない。 -
トランプ大統領のの出現、ブレグジット、ポピュリストの台頭、グローバル化の反動が露わになってきている。企業は儲かっても、中間層には何の恩恵もなく、世界中に不満が渦巻いている。
その解決策は明確には示されておらず、落ちるところまで堕ちないと駄目ということが言いたいのか?
何とかトランプの再選を阻止すること、そこから始めないとこの流れは変えられない。 -
元上司が心酔していてコンサルティングを受けた縁もあって一読。
原題の「us vs them」のusには合衆国の含意もあるんだろうと思って読んだが、そういうわけでもないのかな。(読み落としかもしれない。)
「俺たち 対 やつら」の対立構造で世界を捉えるやり方は人類のDNAに組み込まれたもの、という進化論的文化人類学者(ジャン ジャレド
ダイアモンド氏とか)の考えを信じているので、これを相克するのは簡単ではなさそうです。