クリエイティブ都市経済論―地域活性化の条件

  • 日本評論社
3.83
  • (5)
  • (0)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 140
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535556188

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • クリエイティブ都市について、筆者による多くの書籍が出版されているが、この本はその中では筆者の主張の背景となる分析の内容を比較的詳しく説明した本であり、いわば「理論編」と言ってよいのではないかと思う。

    そのため、丁寧に読んでいくことで、「クリエイティブ都市」や「クリエイティブ・クラス」に対するありがちな誤解を避け、より正確に筆者の主張を理解することができる本である。

    クリエイティブ都市を作るということは、本来は、すでに高学歴・高所得の人を如何に集めるかという政策ではなく、すべての人がクリエイティビティを持っているという前提に立ったうえで、如何にそのクリエイティビティを発揮できる都市環境を用意するのかということに主眼を置いた政策であるということは、改めて認識をし直すことができた。

    とはいえ、やはり分析の対象として浮かび上がってくるクリエイティブ・クラスは、高い学歴を持ち、知識集約型の産業に従事する層であり、それらの人々の能力を発揮させる環境づくりだけでなく、教育政策を通じた人間開発の施策がそもそも必要ではないかと感じる面もあった。

    もう1点、印象に残ったのは、ソーシャル・キャピタルとクリエイティブ・キャピタルを区別し、クリエイティブ都市に寄与するのは後者であるとしている点である。

    社会的紐帯の中でも、旧来よりある地縁型のネットワークは、逆にクリエイティブ・クラスにとっては多様性を抑制するような効果があるということだろう。

    全ての都市がクリエイティブ都市になる必要性はなく、地縁型のコミュニティを社会的なセーフティネットとして機能させながら持続していく地域があってもよいが、クリエイティブ都市の形成に当たっては、このようなネットワークとは区別をされて考えられなければならないということは頭に入れておくべきポイントだと思う。

    中盤からは、統計データも参照しつつ、才能、技術、寛容という「3つのT」がどのような因果関係に基づきクリエイティブ都市を作っているのか、詳しく説明されており、参考になった。

    才能の集積とハイテクの集積はそれぞれ独立の要素ではあるが、それらが両方整うことでクリエイティブ都市としての機能が発揮されてくる、というように、複数の施策を組み合わせた総合的施策が求められており、本書での分析を丁寧に読み解くことで、その政策の見取り図が見えてくると思う。

    最後に、市場に任せるだけではなく、クリエイティブ経済の外部性を十分に取り込みながら、その外部性を緩和していくための介入施策も必要という、本書の最終章で説明されている点にも、都市経済学者としての筆者の視野の広さが感じられた。この点でも印象に残る本だった。

  • 寛容の時代

    基本的に能力のある人がより活躍できる世の中を目指すというか、それが全体を押し上げる要因にはなると思うけど、

    順応できない人には辛いだろうな…


    とか考えてる時点で順応できる可能性なし!

    下に下に合わせていくよりは上に上に引き上げていく方がそれゃいいんだけど、
    いつまでも頑張りつづけないといけないというのもまたなんとも。

    それは別に今も同じか。


    やりたいことがある人がやりたいことをやれると言うのはすばらしいこと。

  • より数値的な面が多くて、わかりにくい印象を受けた。切り口は新しいものの、研究までであり、どうアクションするか?次の一歩は一個人として、落とし込むのが、難しい内容であった。

  • 比較的研究手法などに重点がおかれている

全5件中 1 - 5件を表示

リチャード・フロリダの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×