社会的選択理論への招待 : 投票と多数決の科学

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  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535557543

感想・レビュー・書評

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  • 投票などの社会的選択方法の背景にある理論について、初学者にもわかりやすく説明してくれている

  • 1650円購入2020-03-08

  • 多数決の問題から始まり、集団の意思決定方法について書かれた本。多くの人は小学生あたりから多数決の理不尽さを体験してきたと思うが、その理由が感覚ではなく証明されていくのが面白い。

    この本は教科書的な本である。タイトルに「招待」と書いてあるだけあって、社会選択理論を知らない者でもわかるレベルで書かれている。しかし、専門用語が次から次と現われ、式を読みとく必要が頻繁に起きるので、スキマ時間に読むのには向かない。時間をとってじっくりと学ぶつもりで読むべき本。

  •  多数の人々の異なる意見をどう集約すればよいか。民主主義の歴史と同程度に古いこの問いは、フランス革命前夜のパリ王立科学アカデミーで、はじめて科学的な分析の俎上に載せられた。議論の焦点は多数決だ。まずボルダが多数決は「票の割れ」に弱いことを端的に示し、代替案として今日ボルダルールと呼ばれるルールを考案した。次いでコンドルセが、ルソーの一般 意志を念頭に置きつつ、多数決の確率論的な分析を行った。こうして始まる社会的選択理論は、約150年後の20世紀半ば、ブラックの中位投票者定理とアローの不可能性定理により劇的な新展開を迎える。本書はそうした歴史を辿りながら、当該分野の本質的内容を平明に解説していく。民主主義の理想に対し、社会的選択理論はどのような実装を与えられるか。可能性の境界に私たちは迫る。
    https://www.nippyo.co.jp/shop/book/6371.html

    【目次】
    はじめに [i-ii]
    目次 [iii-iv]

    序章 本書の案内 001
    1 構成 001
    2 特徴 003
    3 補足 003

    第1章 問題の出発点 005
    1.1 ボルダルールを巡って 005
      1.1.1 ボルダルールの提案 005
      1.1.2 ボルダ勝者と過半数有権者 010
      1.1.3 ボルダルールの戦略的操作 014
    1.2 コンドルセの考察を巡って 015
      1.2.1 コンドルセ 015
      1.2.2 二択問題における多数決の優位性 023
      1.2.3 ペア比較とそれへの批判 026
      1.2.4 コンドルセの最期とその後 028

    第2章 正しい選択への確率的接近 031
    2.1 陪審定理 031
    2.2 開票後に多数派の判断が正しい確率 038
    2.3 最尤法による「真の順序付け」の探求 040

    第3章 ボルダルールの優越性 047
    3.1 ボルダルールと他のルール 047
    3.2 満場一致までの近さ 051
    3.3 ペア比較における平均得票率の最大化 054
    3.4 ペア全敗者を選ばない唯一のスコアリングルール 056

    第4章 政治と選択 061
    4.1 単峰的順序とペア全勝者の存在 061
    4.2 実証政治理論と中位投票者定理 066
    4.3 メカニズムデザインと中位ルール 067
    4.4 ボルダルールについての補足 072
    4.5 オストロゴルスキーとアンスコムのパラドックス 073
    4.6 64パーセント多数決と改憲 075
    4.7 ギバート・サタスウェイト定理 079

    第5章 ペア比較の追求 087
    5.1 アローの博士論文 087
    5.2 設定 089
    5.3 アローの不可能性定理 091
    5.4 アローの不可能性定理の証明 096
    5.5 満場一致性を用いない不可能性定理 102
    5.6 単峰性のもとでの可能性定理 103

    第6章 社会厚生 109
    6.1 社会厚生基準 109
    6.2 アローの不可能性定理ふたたび 119
    6.3 自由主義のパラドックス 121

    第7章 投票と人民主権 125

    おわりに(2013年9月11日 坂井豊貴) [133-134]
    参考文献 [135-142]
    索引 [143-145]

  • 投票とは、数字のマジック遊びである。社会的選択理論を知ってしまうと、勝つための投票の仕組みが分かってしまい、それはもはやゲームと何ら変わりない。しかし知ることによって、どういう決め方がいいのか、を使い分けられるようになるので、それはそれでいいことでもある。

  • 多数決が民主主義における最も適切な社会的意思決定方法とは限らない。本書ではこの事を、社会的選択理論という経済学の一派である学問領域の視点から、平易にしかし説得的に指摘している。本書では、多数決以外にも、より合理的な社会的意思決定方法について紹介しており、非常に興味深い内容となっている。是非社会科学を専攻する方全てにお薦めしたい一冊である。

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2017年 『大人のための社会科 未来を語るために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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