- Amazon.co.jp ・マンガ (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784537136531
作品紹介・あらすじ
誰もがみんな、“あちら側”に墜ちる可能性がある。
覚醒剤、大麻、MDMA…一度薬物の餌食になった人間は、決して引き返せない道を往く。
あらゆる薬物犯罪を、追って暴いて捕まえる二匹の猟犬。
彼等の職業は麻薬取締官、通称「マトリ」。
草壁と冴貴、二人の捜査を通じて現代社会の深き闇を抉り出す!衝撃の薬物犯罪ドキュメントが登場!!
感想・レビュー・書評
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『漫画ゴラク』連載中の、麻薬取締官(マトリ)たちの活躍を描いたマンガ。作者の鈴木マサカズは、『無頼侍』などの作品で知られている。
マトリを主人公にしたマンガといえば、笠原倫の『リスク――エンドレス・ドラッグ・ウォーズ』という傑作がすでにある。
本作は『リスク』とはタイプが異なるが、これはこれですごく面白い。
『リスク』は泥臭いB級劇画で、ド派手なアクション描写も満載、現実離れしたブッ飛んだキャラが次々と登場してきた。
それに対して本作は、登場する薬物に手を出す人々が「普通の人」ばかりである。
普通の主婦・サラリーマンなどが、ふとしたきっかけでヤクをやって地獄を見るさまが、すこぶるリアルに、むしろ淡々としたタッチで描かれている。
『闇金ウシジマくん』的な、いかにもな「裏社会の住人」はほとんど出てこないのだ。
その意味で、おどろおどろしい骸骨が描かれたコミックスのカバーは、内容と合っていないと感じた。
主人公の麻薬取締官が、暴力を用いることも辞さない型破りなタイプで、上役から睨まれている……というキャラ設定はありきたりで興醒め。
そういう「劇画的」要素を排した、地味でリアルなマトリを描けばよかったのに(まあ、それでは人気が出ないと踏んだのだろう)。
主人公のキャラ設定は難アリだが、捜査のプロセスや、被疑者一人ひとりが薬物にのめり込んでくプロセスなどは、リアルで秀逸だ。
たとえば、普通の独身中年男性が初めてドラッグを買う場面で、売人に「消費税とかかかります?」と思わず聞いてしまうところなど、とぼけたユーモアがなかなか。
また、薬物中毒経験者が集う「自助会」にヤクの売人がまぎれこんでいる、というあたりの展開も、ゾッとするほどリアルだ。
おそらく、現実にもそういうことは少なくないのだろう。元ジャンキーはほんの一押しで再び薬物に手を出しやすいはずで、「見込み顧客」揃いなわけだから……。
良作。今後もコミックスを買い続けることにする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
毎日がクソだとクスリをやりたくもなる。実際に道を踏み外した人達の末路を描く。お袋さんのおかげで転落を免れた話は救いがある。
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作者の描く「目」の描写に釘付けになる。何の変哲もない、写実的な手法に近い「目」なんだが、目一つに登場人物の心情が吐露されている。