冬物語 (白水Uブックス (35))

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070352

感想・レビュー・書評

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  • 演劇に片足を突っ込んでいるならばシェイクスピアを読まなくては!と、焦って色々手に取るも、積読状態で「後でね〜」だったうちの1冊。戯曲を音読してわかったのは、小田島雄志さんの訳がとても読みやすいということ。これだけベラベラ喋り倒す登場人物たちの言葉がイメージとして頭に入ってきた。まだ他の訳と比較していないので、機会があったら読んでみたい。
    さてお話。シチリア王が妻に、王の親友でボヘミア王の逗留を長引かせるよう誘えと命じておきながら、親友と妻の仲を疑った挙句、妻も子どもも追放し親友も失ったあとで実は誤解だったことがわかるという無体な王が出てくる。この展開がまあ早い。早すぎ。雷にでも打たれてイカれてしまったのではないかと思うほどの早さで疑い、荒れ狂い、反省する。どうした王様。もっと落ち着けば助かった命はたくさんあったろうに。(不義密通の末の子だと王に誤解され)追放された生まれたばかりの娘は羊飼いが育て、パーディタという名をつけられて美しく成長。やがて彼女は、実の父であるシチリア王が疑った親友・ボヘミア王の息子、フロイゼルと出会い、恋に落ちるのであった。様々な登場人物がそれぞれの仕事を成し、最後はまさかのどんでん返し。シェイクスピアってこういうとんでも展開も辞さず観客の溜飲を下げてくれる作家だったんだ。それにしても可哀想なのはなんといっても母を心配するあまり死んでしまったシチリアの王子マミリアスと、シチリア王の忠臣で熊に食われたアンティゴナスだ。あんまりだ。

  • 古本屋で衝動買い。一日で一気に読んだ。嫉妬をテーマにしたお芝居なのだが、シェークスピアによる同じようなテーマの悲劇である「オセロー」などと違って、特に何の理由もなくいきなり嫉妬に狂うところなどは、かえって実際にありそうで怖いなと思わせるものがある。すっきりとしたハッピーエンドなのも読んでいて心地よかった。一度、舞台で観てみたいものである。

  • ハッピイエンドの物語。

  • S932.5-ハク-35 300008943

  • 悲劇でもあり喜劇でもある。

  • ナイスです!
    シチリア王が愛する妃が浮気した男の子を宿しているのではないとの妄想を抱いて、悲劇を招く前半と、その16年後の奇跡の大団円。

    しかし、王妃を裁判にかけたりするので、エリザベス時代じゃないよなぁ?とドキドキしながら読んだ。
    巻末の解説で1611年の作らしいとわかって一安心(出典小説はエリザベス時代らしいけど…)。

    15年ぶりくらいに読んだので、ラスト以外ほとんど忘れてた。
    クライマックス前まで読んでから、「子供のためのシェイクスピアカンパニー」の演劇を見た。
    脚本・演出の山崎氏の解釈と、アフタートークのおかげでさらに深くこの作品が楽しめました。

    ロマンス劇だけど、ちょっとした感動もある。
    やっぱシェイクスピアは面白い!

    解説読んで思ったこと。
    故郷に帰ったシェイクスピアを成長した娘たちがアーダコーダといいながら世話をしてくれたのがポーリーナに反映しているとかないのかな?と空想すると面白い。

    (H23.7 自)

  • 原題: The Winter's Tale

  • ロワール地方などを舞台とした作品です。

  • 前半の悲劇的で深い情念を感じさせる雰囲気と、後半の陽気で喜劇的なシチュエーションの対比。リオンティーズの転向があまりにも唐突な印象ではあるけれど、お約束も含めて楽しい作品でした。

    余談ですが、ロメールの同名映画『冬物語』にはこの作品の演劇のシーンが出てきます。

  • 悲喜劇。現実的なものと象徴的なものの融合といわれるが、そこが好きになりきれない理由でもある。。「冬物語」とは、冬の炉端で語られるお伽話を指す。シェークスピアがわざと非現実的にしたことは容易に読みとれるが、しかしと思う。ロマンス劇全体に「時」というテーマが与えられてると思う。なお、批評家の評価は「テンペスト」同様に高い。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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