コレクター 下 (白水Uブックス 61)

  • 白水社
3.85
  • (7)
  • (8)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070611

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 確かこの読了後、「テンペスト」を読み返したはず。
    とんだプロスペローもあったもんだ。
    ストックホルム症候群なんて、クソ喰らえだわ。

  • なるほど。そうきたか。
    こうして真の変態コレクターが誕生したわけだ。

    変態もどきが病気の愛する人を助けたくても助けられない八方塞がりの状況で、都合のいい言い訳をあれこれと考えているのがアホらしかった。

    頭で考えてばかりで行動しないのはダメだな。
    最初はあんな大胆なことができたのに…

  •  あっという間に読んでしまった。映画にもなった有名な小説だけど私は読んでなかった。映画を見ていたら読めなかったかもしれない。
     誘拐して監禁する男と被害者の女の子。ふたりの視点でに語られる。
     私は読んでいて愕然し、不安になった。同じ出来事も人が違えば立場が違えばまるで印象は変わるということを改めて思い知った。記憶する場面だって全然違うし捉え方だって違う。読んでいて犯人と被害者はまるでそっくりじゃないか、と思った。男は他人とうまく付き合えない内向的な人間で、女は自分の美しさに自信を持った社交的な人間。ふたりは真逆の立場にあるけれど、私には鏡に映ったひとりの人間のように思えた。
     私は人と関わる時、相手のことが気になってしまう質だから、今相手はどう思っているのだろう?と気にしてばかりいて自分の意思(楽しいとかそういう感情)がなくなってしまう。だから人と関わると後悔ばかりしてしまう。どうしてあんな風に振る舞ったのだろう、とか、どうしてあんなことを言ったのだろう、とか、後から後から湧き出て来て、最終的には人と関わったことを後悔してしまう。ひとりでいればこんな思いはしなくて済んだのに、と。だからどちらかというと私は犯罪者である男の気持ちを理解できてしまう。人とうまく付き合えないという点で。犯人の視点で書かれた章は読んでいても不快じゃない。ところが被害者である女の子の視点になると不快な気分になってしまう。憤慨に近い感情まで起こった。もしかしたらどこか女の子が自分に似ているところがあったのかもしれない(絵を描いているということ以外の部分でも)。自分の嫌いなところが重なっていたのかもしれない。似ていると嫌いになったりするものだから。
     もちろん誘拐して監禁するのは良くないことだが、男にとってはそれが普通の人の友人関係や恋愛関係の道程と同じなのだ。だから単なるサスペンスものとは違って、共感できたり考えさせられたりする。この話はファウルズが書かなければうまくいかなかったと思う。訳者の言葉を借りれば「男は広島・アウシュビッツ以後の暴力世界の代表者であり女は新しい非暴力主義の代表者であり、時に二人の役割は入れ替り、交差する」そういう物の見方でこの内容を描かなければつまらない作品になってしまっただろうと思う。
     万人におススメできる読みやすい本だけど、私は『魔術師』の方が好き。

  • どこまでも深読みを許す構造。難しいのは、これを読んでさあどうするかという段階。さらりと忘れるか、心に留めて何かに反映させるか。

  • (『コレクター(上)』から続き)読んでいるうちに、だんだん、だんだん、背筋が寒くなってくる。でも目が離せない。外国文学は理由あってあまり読まないのだけど、本当にすごい文章に出会えた気がした。

全7件中 1 - 7件を表示

ジョン・ファウルズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×