- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560070826
感想・レビュー・書評
-
ウトウトしながら見る悪夢のような本。
読後感はかなり満腹状態なのと、なんとも言えない思いにどっぷり浸かれる。
マンディアルグの短編集はオチのキレが良いけど、この本も同じ。
最初の「考古学者」なんて、いつの間にか場面が変わり不思議な錯覚を覚える。
「赤いパン」なんてカフカっぽくて好き。
決して急かさない、じっくり読むことが許されるのもマンディアルグ作品の良いところだけど「」重視の方は辛いかと思う。
それでも脳内再生を特に余儀とされる本書はゆっくりペースながらも、その描写力の技量と共に楽しめた。
読後感はかなり満たされた気持ちになる本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お気に入りは「小さな戦士」「赤いパン」の2作。どちらもなんていうか、「南くんの恋人」的な(笑)ファンタスティックさとグロテスクさが同居していて(「小さな戦士」はタイトル通り小さな美女戦士をみつけた男の話、「赤いパン」のほうは、主人公の男のほうが虱サイズに小さくなっちゃう)、短いながら(むしろ短いがゆえに)インパクトがありました。
「生首」はちょっと怖かったなあ。そもそも仮装舞踏会に「おんどり」のコスプレで行こうという発想をする時点で、主人公はかなりエキセントリックな女性だけれど(苦笑)、その彼女をしても、その後の人生を棒に振るような生き方を選ばせてしまう恐怖体験。
「考古学者」はちょっと長めなので最初は読み難かったですが、後半のシュールさは圧巻でした。
※収録作品
「考古学者」「小さな戦士」「赤いパン」「女子学生」「断崖のオペラ」「生首」 -
不思議で重々しい短編集。
じっくりゆっくり読むのがいい。 -
初めは読みにくかった。
私は詩とフランス文学が苦手だからかも知れない。句点が遠い先にあり、長く続く言葉たちに飲み込まれて物語がまるで頭に入って来ないのである。
しかし、コツのようなものが分かってくると、独特の文体が案外悪くないと思えてくる。物語(内容)を読むのではなく、言葉や文章の幻想的な表現によって生み出される美しさだけを読めばいい。
とはいえ、フランスの貴族らしいその独特の文体は、私はやっぱり苦手だ。 -
『考古学者』、『小さな戦士』、『赤いパン』、『女子学生』、『断崖のオペラ』、『生首』の6編からなる幻想短編集。どの作品も、マンディアルグの作品はそうだが、色彩が絢爛豪華。「狼の太陽」とは古語で「月」の意だとか。
-
好:「断崖のオペラ」「生首」