燠火: マンディアルグ短編集 (白水Uブックス 84)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070840

感想・レビュー・書評

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  • 訳者の生田耕作さんが言うように、本短篇集からマンディアルグの「凌辱」的なテーマが前面的に見え始めます。そのため、『仔羊の血』や『満潮』なんかが好きだったわたしにはぐっさぐさ刺さります(笑)。最初の『燠火』から、もうグッと惹き込まれるものがありますよね。なかんずくマンディアルグもお気に入りの『ダイヤモンド』や『幼児性』のすごさと言ったら…! まさしくダイヤモンドのような、輝かしくも冷たい嵩美的な短篇たちでした。

    マンディアルグの作品に出てくる、悲劇に呑まれ、凌辱される少女たちは、苦痛に悶えながらも、どこかそれを望んでいるようにも見える。儀式的な凌辱とも言えるその静謐さ、崇高さ。有無を言わさぬ彼女たちの顛末は、生あたたかいようで冷たく、人形のように私たちを突き放す。「わたしに入ってこないで」と。それは凌辱される彼女たちの、つよいつよい意志。…私はそんな少女たちに惹かれます。

    いつもは特に好きな短篇をメモするのですが、本短篇集に関しては全部とても好きなので割愛します。

  • 不安な、それでいて忘れがたく寝起きと共に思い出す夢のような、不思議な質量を持った作品群。
    女を蹂躙する話、という印象。
    それでいてそれほど嫌悪感も抱かずに読了した。性の描写がありながら愛の描写がなく、いかにも幻想に過ぎなかったからかもしれない。
    ダイアモンドに女が閉じ込められる話は鮮烈な印象を残した。醜悪を描くからこそ輝きも際立つのだな

  • ※収録作品
    「燠火」「ロドギューヌ」「石の女」「曇った鏡」「裸婦と棺桶」「ダイヤモンド」「幼児性」

  • 幻想と、性的な美の世界。

    しっとりとした怖さ、硬い美しさ。

    だから救いとか癒しとかはありません。

    暗がりはときに優しいけれど。

  • 三島由紀夫も愛読していたと聞いて。
    耽美的で少しエログロ?
    混んでる電車内で読むのは多少躊躇われる。
    字は大きくて読みやすい。

    読了。
    ダイヤモンドが秀逸。

  • 『燠火』、『ロドギューヌ』、『石の女』、『曇った鏡』、『裸婦と棺桶』、『ダイアモンド』、『幼児性』の7編を収録した短編集。『ダイアモンド』は読み始めの時は乱歩の『鏡地獄』を思い浮かべた(似て非なる物語だったが)。この短編集は「珠玉の」という言葉がとてもふさわしいと思える作品群。

  • フランス前衛作家。
    痛みと暴力の世界。喪失のトラウマに苛まれる。

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