- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560070840
感想・レビュー・書評
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訳者の生田耕作さんが言うように、本短篇集からマンディアルグの「凌辱」的なテーマが前面的に見え始めます。そのため、『仔羊の血』や『満潮』なんかが好きだったわたしにはぐっさぐさ刺さります(笑)。最初の『燠火』から、もうグッと惹き込まれるものがありますよね。なかんずくマンディアルグもお気に入りの『ダイヤモンド』や『幼児性』のすごさと言ったら…! まさしくダイヤモンドのような、輝かしくも冷たい嵩美的な短篇たちでした。
マンディアルグの作品に出てくる、悲劇に呑まれ、凌辱される少女たちは、苦痛に悶えながらも、どこかそれを望んでいるようにも見える。儀式的な凌辱とも言えるその静謐さ、崇高さ。有無を言わさぬ彼女たちの顛末は、生あたたかいようで冷たく、人形のように私たちを突き放す。「わたしに入ってこないで」と。それは凌辱される彼女たちの、つよいつよい意志。…私はそんな少女たちに惹かれます。
いつもは特に好きな短篇をメモするのですが、本短篇集に関しては全部とても好きなので割愛します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不安な、それでいて忘れがたく寝起きと共に思い出す夢のような、不思議な質量を持った作品群。
女を蹂躙する話、という印象。
それでいてそれほど嫌悪感も抱かずに読了した。性の描写がありながら愛の描写がなく、いかにも幻想に過ぎなかったからかもしれない。
ダイアモンドに女が閉じ込められる話は鮮烈な印象を残した。醜悪を描くからこそ輝きも際立つのだな -
※収録作品
「燠火」「ロドギューヌ」「石の女」「曇った鏡」「裸婦と棺桶」「ダイヤモンド」「幼児性」 -
幻想と、性的な美の世界。
しっとりとした怖さ、硬い美しさ。
だから救いとか癒しとかはありません。
暗がりはときに優しいけれど。 -
三島由紀夫も愛読していたと聞いて。
耽美的で少しエログロ?
混んでる電車内で読むのは多少躊躇われる。
字は大きくて読みやすい。
↓
読了。
ダイヤモンドが秀逸。 -
『燠火』、『ロドギューヌ』、『石の女』、『曇った鏡』、『裸婦と棺桶』、『ダイアモンド』、『幼児性』の7編を収録した短編集。『ダイアモンド』は読み始めの時は乱歩の『鏡地獄』を思い浮かべた(似て非なる物語だったが)。この短編集は「珠玉の」という言葉がとてもふさわしいと思える作品群。
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フランス前衛作家。
痛みと暴力の世界。喪失のトラウマに苛まれる。