オレンジだけが果物じゃない (白水Uブックス176)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071762

作品紹介・あらすじ

狂信的なキリスト教徒の母から特殊な英才教育を受けて育ったジャネットは、幼くして説教壇に立つようになる。しかし、初めて恋を知った彼女には、恐るべき"受難"が待っていた…。奇想とアイロニーに満ちた半自伝的小説。ウィットブレッド賞最優秀処女作賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 以前に読んだとき、あまりに面白くてしばらく他の本を読むことが出来ませんでした。ジャネットは不幸なひとではなかったと思う。養母は圧倒的なパワーの持ち主だけど、ジャネットを愛してるし。この本はめちゃくちゃ面白いです。客観的に人生を見つめる周りも見つめるジャネットの姿勢が好き。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ジャネットの姿勢が好き」
      クラクラするくらい素敵ですよね。どの作品も好きなんですが、私は「灯台守の話」が一番です!
      「ジャネットの姿勢が好き」
      クラクラするくらい素敵ですよね。どの作品も好きなんですが、私は「灯台守の話」が一番です!
      2012/12/05
  • パワー系母(狂信的なキリスト教信者)と英才教育を施されて育った娘(のちにレズビアンだと自覚)の物語。
    母のキャラクターをオレンジで喩えたりしながら母への愛憎を表現しつつ、自分の哀しみを独特な寓話の挿入で切実に描きつつも、暗すぎたりじめじめしすぎたりせず、皮肉とユーモアが効いている。

  • 10年ほど前に初めて読んだときには結構衝撃を受けた気がする。
    作者の自伝的小説。
    キリスト教の信仰に極端なまでに熱心な母親。主人公はそういう家庭に育ったため、幼い頃は周りから奇異な目で見られ、疎外される。成長して自分も母親と同じ信仰の道を歩み始めるが、自分がゲイであることに気づき、教会からも母からも責められるようになる、、、
    時間が経って再読すると、落ち着いて読めるようになっていた。

  • 実話から脱皮してはばたく想像力


     幼い頃、世界は彼女を通して知らされた。もしも彼女が通してくれなければ阻まれて見えないものがたくさんあった。かつては体も大きくて力も強く、私なんて髪の毛つかまれて、床をずるずる引きずられたこともあったな~★ それが母親。生かすも殺すもあの人次第のグレートな存在です。
     近所のスーパーでよく見かける、どこにでもいるような奥様方も、ひとたび家に帰れば絶対的な支配者なのかもしれませんね……?

     こうなったら面白がるしかありません。さあ、娘に猛威をふるい巻き込みなぎ倒す毒親ぶり、とくとご覧あれ! 嵐のような母親が登場する小説、と言えば『オレンジだけが果物じゃない』です……★

     熱心なキリスト教徒の夫婦に引きとられて、伝道師になることを前提に育てられたジャネット。会の人たちでも「やりすぎ」と言うほど、狂信的な母の影響下で成長。ゆえに、自分こそが異端と名指しされるようになってしまったのでした。
     ママ曰く「選ばれしものは孤独なんだよ」
     ジャネットもこう考えました。「みんな、母の考え方が理解できないのだ。わたしだって理解できなかったけれど、母のことは大好きだった」
     しかし、母の支配力が及ばなくなる日が訪れ、親子愛に引き裂かれつつも自立していく娘が存外たくましいストーリーです☆

     ユニークポイントは、ジャネットの心が悲鳴を上げる時、章がアーサー王伝説などの寓話に入れ代わるところ。少女の傷口から流される血はファンタジーの世界で表されるため、苦悩が直接的に描かれない趣向なのです。

     半自伝的作品だそうですが、この著者は単なる実話の焼き直しには興味なさそうです。そこから脱皮して想像力をはばたかせる☆ 出来事の最中に埋もれてしまわず、自身の生い立ちすら俯瞰しているのです。難しい母娘の関係も、絶妙の距離感を保って綴られています。デビュー作だそうですが、すでに「作家」してるなと思いました。

    (2007-07-16 単行本読後のレビュー)

  • 私の読む技量が至ってないだけで、ただただこの小説がすごいということだけはわかる...
    5年後とか10年後読み直した時に更なる感動を味わいたい、その一心です。

    あと、外国の和訳本は読みづらいけど、いつも あとがきでこの本がいかにすごいかみたいなの説明されたらすごく納得しちゃうし、あとがきの文章表現、熱のこもり具合が好きだから、それも楽しみの1つですな☺️

  • 本の途中で出てきたタイトルがそういう意味か、、!ってなった

  • 面白かったな~。海外小説久しぶり。
    1985年の作品。ユーモアと皮肉にあふれている一方で、自伝的作品ということもあり後半は切実さが増す。
    「物語」についての引用は旧約聖書からだそうだ。
    ほかの作品も読んでみたい。

  • 【ジェンダー問題】様々な切り口でジェンダー問題を描く小説を紹介!~名作ゴン攻めあいうえお~
    https://youtu.be/wSrWo_-JGWI

  • 狂信的なキリスト教徒の養母、オレンジ、同性愛、自立。
    イギリスの作家ジャネット・ウィンターソンの半自伝的作品。
    メインのストーリーの合間にアーサー王物語みたいなものや昔話のような不思議な物語が配置されている。これが強烈な個性を持つ母親との生活や、彼女にとってはまったくワケノワカラナイ「外の世界」との折り合いをつけるために必要なものなのかな。
    『さくらんぼの性は』の著者。

  • “でもすべての闇が光を必要としているわけではない、そう自分に言い聞かせている。”(p.280)

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著者プロフィール

1959年、イギリス生まれ。福音伝道主義クリスチャンの家庭に養女として迎えられたが、女性との恋愛関係を理由に10代で家を出る。1985年に半自伝的小説『オレンジだけが果物じゃない』で作家デビュー。

「2022年 『フランキスシュタイン ある愛の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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