神は死んだ (エクス・リブリス)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560090275

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    信仰がない世界で何が起きるのか。拠り所をなくした道徳はなんの意味を持つのか。灰色の世界が広がる。これからは自分たちの足で歩く。

  • 神の死後日常が、世界が、かわっていく様が描かれているが、独特な設定を把握するのに時間がかかってしまった。多分、自分の信仰心が薄いためだろう。今までとは違うディストピア小説、という気がした。

  • 作品自体は非常に好み。幻想的な想像力にた依らず、現地で生活していて感じる不穏さ、不透明さ、薄気味悪さ、そういうのの原動は何なのか、と問い詰めた所にこの本の存在があるようで、生きた聖書のような。
    こういう作品を書いてしまえる作者のバックグラウンドが知りたいと思うも、後書きにはなーんも書いてなく、調べてもなーんも出てこなくて。てっきりイスラム系と思って読み進めたが。世の中の新興宗教ってなんで「宗教」って名乗っているの?人を選別するアイテムとして存在するのが宗教?そんなの争いの元って誰でもわかるよね?

  • 文学

  • 神様が本当に死んでしまった世界という誰も思いつかなかった設定。

  •  9編からなる連作短編集。
     ここで言う神とはメタファーとしてのそれではなく、人間の女性の肉体を間借りして、難民キャンプを訪れたら殺されてしまった、ということなので「本当の神さま」がいなくなってしまったことになる。
    「救済のヘルメットと精霊の剣」と「退却」の2編以外には、直接的な内容の繋がりはないが、どの短編も神が死んだことにより引き起こされる悲劇や騒乱を描いている。
     ただ読んでいて思ったのは、ここに描かれている世界は決して神がいなくなったことにより出現した世界ではないな、ということ。
     神が存在しようが不在であろうが、ここに描かれている世界は間違いなく「人間が存在している世界」なのだ。
     それらは、とても印象深い世界であり、とても悲しい世界であり、とても滑稽な世界であり、とても残酷な世界であり、それらは神の有無に関わらず、人間の営みに伴って築き上げられた世界に違いない。
     読んでいてそう思わずにはいられなかった。
     本書は、ユーモラスでもなければ、SFやファンタジーでもないし、ましてや宗教絡みの作品でもない。
     非常に現実的な内容の作品だと思う。
     読み応え充分であり、心の奥深くを鷲掴みにされるような気持にさせられる。

  • 「神は死んだ」ニーチェの言葉が、いま発せられたものだったら。
    神は冒頭でディンカ族の女として現れる。神が、人の形をとって現生する、という設定から、神話の混ざったSF色の物語かと思いきや、パウエル氏が出てきて、なんだこれは、と解明欲求から読み進めていくうちに、ふしぎに物語に引き込まれていく。
    圧倒的に時代は現在なのに、人々は神が死んだと宣告に右往左往する。
    どの短編も、人の死、戦闘、悪意憎悪がデフォルト世界であり、そのなかで人は不条理を受け入れつつそれでもかすかに愛の記憶を覚えていたりする。
    「神を食べた犬へのインタビュー」などは、カフカを思い出したりした。

  • 神が死ぬことになる第一話。不謹慎ですが笑えます。これほどみすぼらしく情けない創造主ってどうなのよ、という感じです。しかし、その人がどうして神だとわかったのか、種明かしは、その遺体(の肉)を食べたために知能を持ってしまった犬へのインタビューで明かされますが、うーん、それほどの力を持つ神がどうしていとも簡単に死んでしまったのか、そして、そもそもなんで人の姿で地球に現われたりしたのか。

  • また面白い若い作家発見。安心の藤田光訳。
    冒頭、神は死ぬ。ニーチェ的に概念的にではなく、実体として。ここから物語は始まる。神なき世界では徐々に秩序は歪み、人々は混乱し、荒廃していく。新たな世界観を構築していく様子に1984を想起した。シリアスなようでいて、時には殺しあう少年たちの、時には神の肉を食べて神性を帯びて喋るようになった犬の口を借りる自在な軽やかさがある。
    作家は無神論に近いらしいが、アメリカ自体はfanaticなところがある国だから、この斬新な発想が生まれる土台となったのだろう。また、衝撃を持って読まれたのだろう。
    とはいえ、暴力、狂信、戦争、無益なイデオロギー等描かれる社会批判は、優れた小説が常にそうであるように普遍的だ。

  • [ 内容 ]
    「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす「ねじれ」の諸相に、斬新な語りとポップな感性で切り込む。
    全米で話題騒然の新人による、異色の9篇を収めた連作短篇集。
    “ニューヨーク公立図書館若獅子賞”受賞作品。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

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著者プロフィール

アメリカの作家。著書に「Everything Matters!」など。

「2013年 『神は死んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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