死神の報復(上):レーガンとゴルバチョフの軍拡競争

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560092576

作品紹介・あらすじ

ピュリツァー賞受賞、傑作ノンフィクション!
 1970代後半、ソ連は西側に大きな脅威となる「大陸間弾道ミサイル」を開発、80年に実戦配備した。83年、米はこれに対抗し、レーガン大統領が「スター・ウォーズ計画」を提唱した。
 レーガンは反共主義者であったが、ソ連指導者たちに私信を送り続けていた。ソ連が先制攻撃を仕掛けてきたら、従来の核抑止理論は役に立たない段階に至っていると考え、「核の全廃」しか道はないという理想を抱いていた。一方ゴルバチョフも、新時代の到来を内外に訴えた。レーガンとの首脳会談では意見が合わなかったが、核戦争に勝者がないという一点で、利害の一致を見た。
 ソ連崩壊後、焦眉の急は、旧ソ連に眠る核・生物兵器など「冷戦の置き土産」だった。頭脳や原材料・機材の流出を阻止すべく、米ではある「秘密作戦」が進行していた……。
 「核兵器のない世界」は実現できるのか? 冷戦の「負の遺産」を清算できるのか? 20世紀の冷戦における軍拡競争、核・生物兵器をめぐる諸事件を、米ソ・国際政治の動向から、人物の心理や言動まで精細に描く。作家は『ワシントン・ポスト』紙でレーガン/ブッシュ両政権を担当、モスクワ支局長を務めた記者。

感想・レビュー・書評

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  • 冷戦時代のレーガンとゴルバチョフ、2人のリーダーの思惑と葛藤が感じられる。誰しもが普通に考える戦争反対、核兵器廃絶は普通の人が考えるよりはるかに困難である。その葛藤を抱えた大国のリーダーが発する「核戦争に勝利者はなく、ゆえに決して戦ってはならないのです」という言葉を噛み締めながら下巻に進みたい。

  • これ原題が『The Dead Hand』,すなわちソ連の指導者が全員一撃目で蒸発したとしても確実に核で報復するシステムのことなんだけど,アンドロポフ翁らの猜疑心ほんと無限な感じで,誤解による全面核戦争の可能性はほんと無視できなかったのがひしひしと感じられてすごい…。
    ゴルバチョフ氏ももう89。去年の暮れに朝日新聞がインタビューしてたようだ。
    https://www.asahi.com/sp/articles/ASMDJ5DGBMDJPLZU005.html?ref=amp_login
    同郷でかわいがられてたアンドロポフ翁から後継者に指名されたのに,実際はチェルネンコ翁が後を継ぐ。でも翁はもうヨボヨボでこんなのに核攻撃の意思決定を任せるの危険すぎる…。
    ゴルバチョフ偉大なのに徹子の部屋を始め日本の民放番組にもたくさん出てたり,ゴルビーの愛称でゲーム化されたり,めっちゃフレンドリーで親しみやすいイメージなの凄くない?

  • 生まれる前の米ソ冷戦時代の背景。些細な認識違いが核戦争一歩手前の状態まで追い込んでいる。国のリーダーの責任は思った以上に大きい。

  • [禁断の忘れ物]レーガン・ゴルバチョフ時代の米ソ間の軍拡・軍縮の歴史を克明に綴るとともに,ソ連の崩壊によって各地に「忘れられた」核・科学・生物兵器のその後を追った作品。著者は,本作でピューリッツァー賞を受賞したデイヴィッド・E・ホフマン。訳者は,『倒壊する巨塔』等のノンフィクションを翻訳している平賀秀明。原題は,『The Dead Hand』。


    全編を通して絶賛の一言に尽きるのですが,特にソ連崩壊後のエピソードには胸を打たれるものがあります。一種のユーフォリアに満ち溢れていた時代に,その次の危機を視野に入れながら人知れず汗を流していた人々に心からの敬意を払いたくなりました。そして,ソ連崩壊後の兵器管理におけるナン議員の慧眼ぶりには心から感服。

    〜ナンはかつて言ったことがある。軍備管理とは「うっかり触れると暴発するような引き金から,両超大国の指を離しておく」ようなものでなければならないと。〜

    2017年は本書と共に幸先の良い読書スタートを切りました☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものになります。

  • ピュリツァー受賞作品! レーガン、ゴルバチョフの思惑と動向、科学者の修羅場と苦悩、核・生物兵器開発の恐怖を描く警世の書。

  • 東2法経図・開架 319.5A/H81s/1/K

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