ポーランドの人

  • 白水社
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本棚登録 : 82
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560093467

作品紹介・あらすじ

ショパン弾きの老ピアニストが旅先で出会ったベアトリスに一目惚れ、駆け落ちしようと迫るが…。究極の「男と女」を描くクッツェー最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 表装に惹かれて手に取ると、全体的に緑の表に対して裏は黒。緑は部屋の色で少し奇妙な黄色混じりのカーテンと片隅に腰掛けている人、裏は黒い紙に書かれた手書きの五線譜。

    タイトルのポーランドと楽譜で、おや…これはショパンかと期待して読んだ。

    年老いたピアニストと既婚女性の大人の恋愛?はっきり言うと不倫なんだろうが
    読んでいてそうならないでくれ、そう願っていたがプラトニックではなくなっていく。
    老人の残したモノについてが展開されていく後半。
    なんとなく宗教的でなんとなくブルーな感じ。

    ワルシャワという土地の持つ歴史も垣間見れ、訳者のあとがきもとても良かった。

  • エスペランサの部屋: 翻訳作業備忘録:J・M・クッツェーの最新作『ポーランドの人』
    https://esperanzasroom.blogspot.com/2023/04/jm.html

    ポーランドの人 - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/book/b625006.html

  • 軽く、流れる音楽のようなタッチで、スルリと読めてしまった。熟年セレブの恋愛ストーリーかというテイで、たまに、ええーそれはちょっとどうなのよ?!と思ったりもするのだけれど、ベアトリスがたどり着く地点が普通の恋愛ストーリーとはちょっと違うと思う。

    好きなシーンは101ページです。

  • 枯れてゆくという美意識はないのか
    このヨーロッパ人たちはと思った

    ポーランドの有名だったピアニストの老人とスペインでのコンサートでアテンドをしたスペイン人

    ポーランドの人はスペイン人女性ベアトリスをベアトリーチェとして愛し執着する

    ベアトリスは完全に無視をするほどの気概はないし最後はポーランドの人からの膨大な愛の詩を持つ
    それはトロフィー

  • 「時々確かめたくなることがあるものなんですよ、女って。自分がまだ魅力的だって証拠が欲しくなる」
    「その証拠、僕はあげてない?」
    「あら、もらってますよ。でも少し足りないかな。」

    ポーランド人ピアニストお爺ちゃんに惚れられてしまったスペイン人既婚子持ち女性のお話。

    クッツェーは『恥辱』を読んでとても面白かったので2作品目。

    内容に関しては上記の引用が核だと思っている。
    構成に関しては短いセクション毎に数字が振られていて、これが場面展開を表しているとかなんとか。
    本作品の中で言語が主題の一つになっていて、詩は母語でしか書けないヴィトルトが使う英語
    翻訳機では訳すことのできない詩の翻訳をプロに頼む
    他にもたくさん。
    そもそも本の出版に関しても地球の南で最初に出版されることのシンボリズムが大切というスタンスなのが良いと思った。

  • 本作はクッツェーの第一言語である英語で書かれた作品だが、英語文化の覇権性に抗うクッツェーは、まず昨年7月にカスティーリャ語版を刊行し、今年3月にオランダ語版を刊行、5月にドイツ語版、カタルーニャ語版、日本語版(本書)が刊行される。そのあと、7月に英語版が刊行される予定。(解説より)

  • 70代のポーランドのピアニストと40代の銀行家の妻、バルセロナでのコンサートの後の食事会で二人は出会う。ダンテのベアトリーチェのようにくだんの女ベアトリスに一目惚れした老ピアニストの恋。一途な想いとそれを受け取るベアトリスの感情の記録。たんたんとした抑制の効いた文章で感情の流れゆく様が興味深かった。

  • 難しい文章と思いきや自然とハマっていってすぐ読めた

    女と男の真髄ってわかる気がする。

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著者プロフィール

1940年、ケープタウン生まれ。ケープタウン大学で文学と数学の学位を取得して渡英、65年に奨学金を得てテキサス大学オースティン校へ、ベケットの文体研究で博士号取得。68年からニューヨーク州立大学で教壇に立つが、永住ビザがおりず、71年に南アフリカに帰国。以後ケープタウン大学を拠点に米国の大学でも教えながら執筆。初の小説『ダスクランズ』を皮切りに、南アフリカや、ヨーロッパと植民地の歴史を遡及し、意表をつく、寓意性に富む作品を発表して南アのCNA賞、仏のフェミナ賞ほか、世界の文学賞を多数受賞。83年『マイケル・K』、99年『恥辱』で英国のブッカー賞を史上初のダブル受賞。03年にノーベル文学賞受賞。02年から南オーストラリアのアデレード郊外に住み、14年から「南の文学」を提唱し、南部アフリカ、オーストラリア、ラテンアメリカ諸国をつなぐ新たな文学活動を展開する。
著書『サマータイム、青年時代、少年時代——辺境からの三つの〈自伝〉』、『スペインの家——三つの物語』、『少年時代の写真』、『鉄の時代』、『モラルの話』、『夷狄を待ちながら』、『イエスの幼子時代』、『イエスの学校時代』など。

「2023年 『ポーランドの人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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