- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560094754
作品紹介・あらすじ
危機の思想家、アーレントがリアルに受け止められる時代に……ウクライナからみた戦争、権威主義では括れない全体主義の全貌を描く。
感想・レビュー・書評
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ハンナ・アーレントとウクライナ戦争 重田園江さん(明治大学教授)|じんぶん堂
https://book.asahi.com/jinbun/article/14781358
真理の語り手 - 白水社
https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b614313.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソ連も反ユダヤ主義だったのか
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真理と真実の扱い方がフーコーとアレントでは違うのではないか?
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何を前提にして愛国を語っているのか
侵略戦争や虐殺を無かったことにする人たちは満州に取り残された人たちやシベリア抑留で死んだ人たちのことは無かったことにするの?
歴史哲学の前で歴史は目的に絡めとられ人命は矮小化する
自分に都合の良い捉え方をしたがるという傾向に留意し続けなければいけない
芸術をもとに省察する
スターリンは秘密警察出身だった
善について考えるよりも悪について考えることの方が容易なのでは
死や痛みは不幸せ
国や主義の前に1人の人間が説明のしようもない暴力に晒されているという事実から考えなければいけない
暴力の歴史を好都合に解釈しないこと
ホモ・エコノミクスの時代とはいえ多様な幸福の形があるのに比べて不幸は歴史上の不幸と比べて違いがない
真理の語り手と秘密警察
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戦後しばらくは、バビ・ヤールで虐殺があったこと自体、公式に認められることはなかった。もちろんその犠牲の巨大さはキーウで口伝えで知れ渡っていた。そのため追悼の記念館や記念碑の計画は1945年から存在したが、ソ連政府に認められることはなかった。結局バビ・ヤールの地に初めて建てられたのは、スターリンの死後23年を経た1976年の「ナチスの占領者によって銃殺されたソ連市民と捕虜のための記念碑」であった。つまりこの時にはまだバビ・ヤールの虐殺の主なターゲットがユダヤ人だったことは伏せられていた。P107
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東2法経図・6F開架:319.3A/O63s//K
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アーレントを通じて、ウクライナ情勢を読む、というのは、わたしがここのところ考えていたことと一緒。
アーレント解釈という点で、なにか新しい視点があったかというとそうでもない。アーレントは著者の専門分野ではなくて、どちらかというと、アーレント的な問だてを意識したところでのウクライナ情勢の分析というほうに力点は置かれているのかな?
ウクライナ情勢は、ウクライナな映画作家セルゲイ・ロズニツァの作品と重ね合わせながらなされており、単なる状況分析ではないリアリティを獲得していると思う。
それにしても、20世紀前半の戦争と革命、全体主義の暗い時代を生きたアーレントがリアリティがでてくるのは不幸な時代という著者のぼやき?はほんとそうだなと思った。
今や、時代遅れの全体主義理解で、現実はもっと違う形での支配構造になっていると思っていたオーウェルの「1984」がなんとリアリティをもってしまう現在。
こんなあからさまな権力行使が現在でもありうるんだという衝撃がある。