歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品

著者 :
  • 白水社
4.42
  • (6)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 96
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560097762

作品紹介・あらすじ

歴史が男の学問とされていた時代に、ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を記した、皇女の生涯をたどり作品を分析する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 歴史学の慰め 井上浩一著: 日本経済新聞
    https://www.nikkei.com/article/DGXKZO64018550Y0A910C2MY5000

    新刊情報:井上浩一『歴史学の慰め アンナ・コムネナの生涯と作品』(2020/07/13予定) | ビザンティン帝国同好会
    http://www.byzantine-club-jp.org/wp/%E6%96%B0%E5%88%8A%E6%83%85%E5%A0%B1%EF%BC%9A%E4%BA%95%E4%B8%8A%E6%B5%A9%E4%B8%80%E3%80%8E%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%85%B0%E3%82%81-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A0/

    歴史学の慰め - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/book/b512635.html

  • ビザンツ帝国の女性歴史家にして、皇帝アレクシオス1世の娘であるアンナ・コムネナの生涯と、彼女が父帝の偉業を書き残した「アレクシアス」の分析。

    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2020/07/22/230528

  • 皇帝の娘にして西洋古代・中世で唯一の女性歴史家アンナ・コムネナーーその生涯に迫り、彼女の手になる歴史書『アレクシアス』について分析を加え、歴史学の目的や手法について考察する。

    彼女は自らの不幸を嘆く。彼女の不幸とは、そして幸福とは? アンナはなぜ歴史書を記すことになったのか? 彼女は何を遺したかったのか? そのために彼女がとった手法とは?

    良くある『アレクシアス』への批判にも緻密な分析が加えられる。

    昨冬日本語訳が刊行された『アレクシアス』とともに読みたい内容。そして歴史学とは何かについて考える良質の一冊。

  • ビザンツ皇帝アレクシオス一世の治世を対象とする歴史書「アレクシアス」を著した、皇女アンナの実像に迫る一冊。その生涯と作品検証を通して、歴史学というもの自体について考えさせられる内容。

  • 西洋中世の女性歴史家、アンナ・コムニナの生涯と作品を一冊にまとめている。第一部では、彼女の生涯を辿り、第二部ではギリシャ以来の歴史学の伝統、作法を踏まえて、アンナ・コムニナが『アレクシアス』を書いた内容を精細に分析する。

    歴史学が男性の学問であるが故に、歴史学の正統を標榜しつつも、歴史学から逸脱し、そして歴史学に名を残すことになったアンナ・コムニナの偉大な業績を知ることができた。

    特にアンナ・コムニナの誤謬とされている年号についての誤りを、史料から丹念に辿り、アンナ・コムニナの執筆態度、執筆方針、そしてギリシャ以来の戦法とトルコ人の戦法までも絡めながら、一つ一つ読み解いていくのが、歴史学の奥深さを感じられて面白かった。

    いつか、この本を持ってイスタンブールに行ってみたい。

  • 予備知識なしでも興味深く楽しめる、しかも専門的な内容だった。ビザンツ帝国の皇女アンナの思い、考え方、歴史学に対する姿勢とそれをどう実践したかが語られる。著書の個人的な思いが含まれるのも、そうとわかって読めるので、むしろ全体を理解しやすくしている。歴史学とは何かを、垣間見ることもできる。「アレクシアス」を通じてアンナという存在が現代のひとりの歴史家に深く理解され、その歴史家により現代の一般読者である私も、アンナという人を知ることができる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742544

  • 昨年TLによく流れてきていて、魅力的に思えた一冊をようやく手に取る。/12世紀初頭、ビザンツ皇帝アレクシオス1世を父に持つアンナ・コムネナは、父の在世中は幸福な生活を送っていたが、父の死後、帝位についた弟を追い落とそうとして失敗。その後は、修道院で長い半生をすごし、そこで、ビザンツ唯一の女性歴史家として史書「アレクシオス」を書いた、と。前半はアンナの生涯が主に語られ、後半は「アレクシオス」がどのような史料、学識、技法に基づいて書かれたが詳細に論じられる。血沸き肉踊る前半のほうが一読たのしめた。後半も、そのような技法が…とうならされるところは多々あったが。特色としては「父の業績を称賛する、我が身の不幸を嘆くために、アンナは大胆な挑戦をした。歴史学の作法を承知のうえで、頌詩・英雄叙事詩・悲劇・伝記など、他の文芸ジャンルの表現方法を思い切って取り入れたのである。(略)越境する歴史学、これこそが「アレクシアス」の特徴であった。」(p.199)点が印象に。アンナと「アレクシオス」の関係にならったのか、著者の思い入れも随所に散見されてそこもまた楽しめました。”時代遅れの書斎派歴史家から共感を込めてアンナに伝えたい。あなたは優れた歴史家であり、「アレクシアス」は名著である。(p.303)”

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

大阪市立大学名誉教授、元佛教大学歴史学部教授。専門はビザンツ帝国史。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。

「2023年 『さまざまな国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上浩一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
リン・ハント
ウンベルト エー...
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×