ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた

  • 原書房
3.33
  • (2)
  • (11)
  • (20)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 206
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562052592

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 難しかったが、まあ面白かった

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号: 469.2||S
    資料ID:95170356

    ネアンデルタール人絶滅の決定的な要因はヒトがイヌ(オオカミ)を家畜としたことと解明し、「侵入生物」「動物の家畜化」という生態学的な視点から人類永遠の謎を解いています。

    (生化学研究室 大塚正人先生)

  • ネアンデルタール人の絶滅、イヌの家畜化について、もともと考えられていたよりも1〜2万年ほど遡る可能性がある、という研究が近年出ている。
    この2つの事象をつなげて、ホモ・サピエンスはイヌを家畜化したことにより狩猟効率を向上させ、大量の獲物を狩り勢力を拡大することで、間接的にネアンデルタール人を絶滅に追い込んだのではないか、
    というのがこの本の大枠の論の流れである。

    すごく面白いのだけれど、ネアンデルタール人が絶滅した時期とイヌの家畜化の証拠だと著者が主張している時期には現時点で数千年の開きがあったり、どうしても疑問の残る結果になってしまっている。

    大筋は上記の通り消化不良な感じなのだけれど、紹介されている研究はとてもおもしろかった。

    例えば、”オーストラリアに最初に到達したホモ・サピエンスの数”を調査する、という研究。
    遺跡の数の推移は人口増と同じような形になる、という仮定を行う。
    "オーストラリアにホモ・サピエンスが作成した遺跡の数の年代毎の推移"から人口の増加率を計算し、オーストラリアにヨーロッパ人が到達したときのアボリジニの人口の数から逆算してオーストラリアに到達したホモ・サピエンスの数を見積もる、というもの。

    こんな具合に、限られた証拠からこんなふうに調査していっているのか、ということがわかって非常に興味深い。

  • 原題は”the invaders”。
    現人類がそれまでの生態系に侵入し、自らの居住域を拡大させ、マンモスなどの生き物を絶滅に追い込んだ。
    ネアンデルタール人の絶滅は気候変化だけでなく、そんな人類との競争であったかもしれない。また、その時点で人類がイヌを家畜化させており、それが競争上優位に働いた可能性があるというもの。
    門外漢にはその信憑性は判断がつかないが、ネアンデルタール人の絶滅、オオカミからイヌへどのように変化したのか、というテーマだけでも十分に興味を引く。

  • 【請求記号】4600:675

  •  ある発見により今までの常識が一気に変わる。そのことがこの本に書かれている。
     読んでいるとエイラシリーズを思い出した。だが新人類の方ではイヌは登場していなかった気がする。
     2014年ベルギーのゴイエ洞窟のイヌ科の動物が、それまで想定されていたよりはるかに古い3万6000年前後(較正年代)だったという発見からこの本が生まれた。イヌがホモサピエンスと一緒に生活、狩りをしていたのではないか、そのことがネアンデールタル人の絶滅に関連しているのではないかと、いう事を投げかけているのが本書の主旨だ。
     今のヒトは侵入生物であるという考えは面白った。また種が生き残るのに必要な個体数『最少存続可能個体数』(MVP)が1000固体ではすくないという指摘も新鮮だった。
     主旨に行きつくまで、時間がかかるが、面白い内容だったと思う。

  • 2016年6月新着

  • 書名通りで、かつ各媒体に取り上げられた書評通りに素晴らしい内容だった。

    知的好奇心をくすぶる刺激的な学説。

    多くの参考文献や最新の研究結果などをふまえ、丁寧に論じられている。

    ただ、自分の予備知識が少ない、あるいは、この専門家でもないので、充分に理解できたかといえば、まだまだである。

    英語が堪能で、かつこの分野に関心がある人は、すでに原著で読んでいるだろうが、巻末にある参考文献も読むことができると思えば羨ましい限りだ。

  • 請求記号 469.2/Sh 79

  • 現生人類は古代イヌ「オオカミイヌ」を家畜化することによって、狩りの際に助手として働かせた。そのことによって、マンモスの骨が大量に出土する遺跡が中東欧各地に出現したことに代表されるような革新的狩猟が始まり、それが衰微しつつあったネアンデルタール人の最後のとどめになったと推論しています。

全22件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

ペンシルヴァニア州立大学名誉教授。古人類学の専門家。『人類進化の空白を探る』(アラン・ウォーカーとの共著/邦訳=河合信和訳/朝日新聞社)でローヌ・プーラン科学図書賞を受賞。

「2015年 『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パット・シップマンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×