監視大国アメリカ

  • 原書房
1.83
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本棚登録 : 69
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562054831

作品紹介・あらすじ

イギリスと並ぶ監視大国アメリカの、捜査機関によるビッグデータ監視や人工知能による予測捜査やリアルタイム監視、日々蓄積される膨大な個人情報……。行動のすべてを把握される未来はそこまで来ている。そしてこれは確実に未来の日本の姿ともいえる。

感想・レビュー・書評

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  • ビッグデータを利用したアメリカ警察捜査の現状報告。
    元データあるいは入力データに偏見があれば、予測結果も偏見が含まれる、といった採用活動でもあったAI利用の問題点が指摘されている。予測結果が出たとして、人と場所のどちらを監視するのか、といった運用問題も残されているようだ。
    2年前の書ではあるが、最近のBLM運動のきっかけとなった事件にも繋がるか。
    現状、ヒトの感と人海戦術捜査を補えるかもしれないが、副作用も大きい、といったところか。

  • 仰々しいタイトルではあるが、警察という舞台を例にしたビックデータの利用法の解説書みたいなように感じた。

    昨今「AI」という単語が独り歩きして、導入したらエラいみたいな世間の風潮だが、AI(ほとんどの人はビッグデータと同義の単語として使っているのでは?)の何たるかを理解している人は少ないように思える。AIを活用するにはどういう準備が必要なのか・運用する際の注意点などが、「警察」という具体例を交えながら説明されている。

    本書では、アメリカの警察のAIの利用が話題の中心である。カンタンに言えば、「通りすがりの人間が犯罪者かどうかビッグデータを使って判断してしまおう」というのが、アメリカ警察の方針である。
    ビッグデータを使う利点としては、人件費削減(巡回エリアを絞れって巡回する人員を減らせる)・犯罪の未然の防止(将来的に犯罪を犯す人間を予め捕まえておく)などがある。
    欠点としては、予測精度の不正確さとビッグデータの不平等さであろう。予測精度については、計算式をブラックボックス化してしまっているという問題がある。計算式が分からない以上、その計算式が正しいか正しくないかを判断できない。ビッグデータの不平等さについては多数ある。黒人や貧乏人のデータが豊富にある(それらの人々は犯罪をやりそうという偏見)という差別の問題、何をデータとして採用するか(性別・人種・年収・職業…ネット通販の購入履歴は含めるのか?)という問題などが挙げられる。
    運用法も議論すべき問題である。最も問題になりそうなのが、「半年後までに犯罪を犯す確率が75%」の人間を逮捕するべきかどうか、である。

    一般企業におけるAIによる予測と違って、警察におけるAIに予測は非常にデリケートである。国民全体で議論すべきである。

  • ふむ

  • 「マイノリティ・リポート」の世界が到来していることを警告する書なのかなと思ったが、その要素はそれほど大きくなかった。現状でどのような監視を実施し、犯罪を犯そうとする人物や犯罪被害者になりそうな人物を、ビッグデータからどのように抽出し、警察の行為がどのように役立ち、また問題を引き起こすかの解説がメインであった。著者が法律に詳しいこともあり、技術的なことよりも警察と一般人の間でおこるであろうトラブルの解説が目新しいところだろうか。

    また、“監視”というキーワードからはビッグブラザー的な監視社会を連想させるが、“監視”の範疇には、我々がWebサイトを閲覧した履歴やクレジットカードでの買い物履歴、お店でポイントをためた消費行動など、マーケティングデータの蓄積も含まれる。そういういう意味ではすでに“監視社会”は実現されている。

    警察が保持している犯罪情報や個人情報とマーケティングデータが結びついた場合、人種や血縁関係、年収まですべて把握されることになる。何も悪いことをしていなければ平気と思う方々もいるだろうが、監視システムにより犯罪者の行動に似ていると判断された場合、不法に警察にマークされることにもなりかねないので、犯罪発生予防になるのは理解できるが、確かに気持ちが悪い。

  • 東2法経図・6F開架 317.95A/F21k//K

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