評伝 ゲルハルト・リヒター Gerhard Richter, Maler
- 美術出版社 (2018年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
- / ISBN・EAN: 9784568202724
作品紹介・あらすじ
世界的にもっとも重要かつ影響力のある現代アーティストのひとり、ゲルハルト・リヒター。
ドイツで2002年に刊行された評伝『Gerhard Richter. Maler---Biografie und Werk(画家ゲルハルト・リヒター、伝記と作品)』をベースに、近年の活動を新たに書き下ろした新版。
作品図版やプライベートフォトなどおよそ150点を掲載。リヒターの言葉と初期から2017年の作品を通じて、絵画への想い、その思考の源を辿るリヒター公認の決定的評伝。
■Gerhard Richter ゲルハルト・リヒター
1932年ドイツ、ドレスデン生まれ、ケルン在住。「ドイツ最高峰の画家」とも呼ばれる世界的アーティスト。写真をキャンバスに描き出すというスタイルを生み出し、その後もグレイ・ペインティング、カラーチャート、風景画、アブストラクト・ペインティングと、具象と抽象の間に多様なスタイルで作品を発表、いまなお進化を続けている。
主な個展に、2012年「Gerhard Richter: Panorama」(ポンピドゥー・センター)、「Gerhard Richter: Drawings and Watercolours 1957–2008”」(ルーブル美術館)など多数。国内では、17-18年「Painting 1992-2017」(WAKO WORKS OF ART)、05年「Gerhard Richter」( 金沢21世紀美術館、DIC川村記念美術館)など。
感想・レビュー・書評
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この評伝を読まずしてリヒターは語れない。
なにより「60年代リヒター」の凄まじさ。ここに全て詰まっている。
---「私の関心は、写真を模倣することです。私は写真をつくりたいのです。写真といえば一枚の感光した紙片のことだという意見を無視すれば、私は別の手段で写真をつくっているのです。」
---「絵画とはなんでもありうる - 対抗世界であり、何か他のもののための計画ないしモデルであり、その報告だ。というのも、単に何かを絵に描いて反復するだけでも、そこには意味が生まれるのだから」
---「私は存在しているものを理解したい。われわれはそれをあまりにも知らない。だから、私はそれに似たものをつくり出して、理解しようとする。芸術作品とはほぼすべてこうした類似物である。なにかを描き写すということは、存在しているものに似たものをつくることである。描き写すことによって、それを把握しようと努めるわけだ。」
---「私は絶対的なイメージを信じない。それに近づこうと試行錯誤を繰り返すことが出来るだけである」
---「絵画がこの不可解な現実を、比喩において より美しく、より賢く、より途方もなく、より極端に、より直観的に、そして、より理解不可能に描写すればするだけ、それはよい絵画なのです」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022年のリヒター展を見に行き、それをきっかけに読んだ本。
リヒターの2010年代までの半生がわかるし、彼のアートがどのように発展してきたかとか、彼のアートの骨格は何かといったこともわかる。 -
ドイツを代表する芸術家であり、インスタレーションなど表現技法が多様化する現代美術の世界において、一貫してフォト・ペインティング、アブストラクト・ペインティングなど”絵画”という手法を主軸に活動する稀有な作家、ゲルハルト・リヒターの評伝。
東京国立近代美術館で開催されている彼の展覧会を訪問した際に勢いづいて購入した。
東ドイツで生まれ、西ドイツへ移住した若き時代、ジグマー・ポルケらと切磋琢磨した時代、徐々に作品が認められて”絵画”という表現技法を用いつつその作風をどんどん変化させていった流れなど、多面的にリヒターの歴史を追うことができる。
個人的には初めてリヒターの名前を知ったきっかけとなった≪1977年10月18日≫に関する製作談はその全てが刺激的であり、リヒター自身がなぜ獄中で死を遂げた左翼テロリストの若者たちをテーマにしたのかという発言は非常に重い。
『それは、なぜイデオロギーがあれほど力を振るうのか、その理由です。なぜわれわれはイデオロギーを持つのか。それはわれわれの不可避的な、必然的な特性なのかーあるいはそれは過剰で、邪魔な、致命的な特性、つまり一つの狂気なのかどうか』
(本書p286より引用) -
【オンライン読書会開催!】
読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です
■2022年7月16日(土)20:15 〜 22:15
https://nekomachi-club.com/events/463d5058750f -
先に読んだ現代アート本で作品が高額な作家のトップ群にいるリヒター、理解するのに非常に役立った。フォトペインティング、カラーチャート、アブストラクト・ペインティングなど、リヒターは作風がばらばらな画家だと思っており、私にはそこに意味を見出す鑑賞眼がなかった。一貫するテーマや作家の意図、二次元の絵画を作り続ける理由に納得した。米国のアートのトレンド、デュシャンのレディメイド、ウォルホールらのポップアートなどに欧州で影響を受けながら独自のスタンスを築いてきたというところが非常に興味深かった。
「リヒター芸術の根本的なテーマ、すなわち絵画という不十分なメディアの可能性によって、現実の知覚ないし認識に到達するというテーマ」なるほど。
過去から現在に至る作品を展示するリヒター回顧展を日本でやってほしいと思ったが、自分が最近のワコウ・ワークス・オブ・アートでのリヒター展に行っていないことに気づいて愕然… -
リヒターの作品に興味のある方は一読される事をお薦めします。
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ゲルハルト・リヒターだいすきです。