- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569568881
感想・レビュー・書評
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今年も球春の季節がやつてまいりました。
我がスワローズはまずまずの滑り出しと申せませう。今日も館山の好投とデントナの猛打で広島東洋に打ち勝つたのであります。しかし本日は読売のコーチ・木村拓也氏が亡くなつたことで、全球場で追悼ムードでした。まだ37歳、あまりに早すぎます。
さて『プロ野球 名人列伝』では、プロ野球で名人と呼ばれる人のうち、根本陸夫から野茂英雄まで18人の名選手・監督を取り上げてゐます。それぞれに個性的な面々で、泣ける挿話が盛りだくさん。それらをお馴染みの近藤節で我々読者を酔はせます。
眼にボールが直撃した三宅秀史の悲劇。病院で聞く看護婦長の一言とか、奇行の人と呼ばれた榎本喜八の素顔、豊田泰光が長嶋茂雄に博多の芸者を手配する話、巡業中の双葉山を倒した稲尾和久の父、田淵幸一の電撃トレード秘話、トルネード投法で捕手から顔をそらせても視線は途切れないと語る野茂英雄など、各々で一冊の評伝を書いて欲しいほどであります。
小川健太郎の「背面投げ」についても、意外な話が。これは王貞治に対して、タイミングをずらさうとして即興で投げたやうな印象がありましたが、実際には捕手の木俣達彦と入念な打合せをした上での、予定通りの行為だつたらしいのです。王選手は「王シフト」のみならず「背面投げ」までさせてしまふほどの大打者とも申せませう。
かかる過去のプロ野球人の話を知ることで、観戦もより面白くなるといふものです。
あなたも一度近藤節を堪能しませう。
では、今夜はこの辺で。ご無礼します。
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昔のプロ野球選手の人間的な濃さが、近藤さん独特のテイストで蘇る。個人的には、三宅秀史選手の視力を失う事故に関して書かれた「悲劇の3塁手」と、長嶋さんの飄々としたエピソードがとても滑稽な「夢を売る天才」あたりが印象深い。あとおそらく数少ないだろう、引退後の榎本喜八氏への取材内容が記述されている「“安打製造機”のニックネーム」は必読。
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3割6回、史上3人目の2000本安打、元祖安打製造機・榎本喜八。はじめてバック・トスを見せた守備の職人・鎌田実。「野球は一人でもできるわい」の名言を残した優勝請負人・江夏豊。フォークボールを引っ提げ単身メジャーに乗り込んだドクターK・野茂英雄・・・誰にも真似できない名プレーの裏側には想像を絶する苦悩と葛藤があった。