- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569575599
作品紹介・あらすじ
五月に一挙に六冊文庫化された「心得帖シリーズ」の三作目である。本書はタイトルどおり、企業に身を置き、一社員として働くことの意義を、新入社員、中堅社員、幹部社員に向けて説いたものである。▼しかし、読者の中には違和感を持つ人があるだろう。なぜなら、松下幸之助自身は、丁稚奉公と電灯会社に勤めたわずかな期間以外は、常に経営者として社員を遣ってきた立場の人物だからだ。▼ところが本書で述べられている、それぞれに経験の異なる“社員としての心構え”の根底にあるのは、松下電器を大きくするための要求ではない。企業で働くことを通して、ビジネスマンとしての、いや人間としての幸せと成功を感得するには、こう考えたらいい、こういう生き方がよいということを説いているのである。▼今、若者は働き甲斐を見出せず、中堅・幹部はリストラを恐れている。社員として働くとはどういうことか、いま一度、原点に返って考えてみるのに絶好の一冊である。
感想・レビュー・書評
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1.著者; 松下氏は、パナソニック(旧;松下電器)の創業者です。生家が凋落し、小学校を中退。9歳で親元を離れ、大阪で丁稚奉公に努めました。そして、幾多の試練を乗越えて、世界のパナソニックを作り上げました。氏は、独自の思想を持って、天才的な技量を発揮した、立志伝中の人です。パナソニックの紹介は言うまでも無いでしょう。氏は、リーダー育成のために、松下政経塾を創設し、多くの経営者・政治家を輩出しました。他にも、自身の理念(繁栄によって平和と幸福を)を広く普及する為に、PHP研究所を創設し、機関紙PHPの創刊や勉強会・講演会が 開催されています。松下氏の思想家としての”人となり”が垣間見えます。
2.本書; 松下氏が、企業に働く社員の人々にとって、大切と考えていた心得を纏めた本です。第一章 新入社員の心得、第二章 中堅社員の心得、第三章 幹部社員の心得が書かれています。内容は、当たり前と言えば、当たり前かも知れません。しかし、この本で書かれている事は、社員だけというよも、人間としての学ぶべき事柄です。
3.個別感想(参考になった書中の記述と私の感想⇒3点);
(1)第一章より、「仕事の味を知る;仕事というものは、やればやるほど味の出てくるもの。まず三年(石の上にも三年)は、じっくりと腰を落ち着けて頑張ってみる」
●感想⇒この考え方に賛成です。私は、新入社員の頃に、希望の部署に配属されませんでした。メーカーだったので、モノ作りに関わる部署(生産管理部)への配属を希望していました。配属は、人事部でした。人間関係作りが苦手なので、この仕事は向いていないと決め付けていました。しかし、上司に「企業は人なりだ」と言われ、辛抱して仕事に取組みました。現場の人の知らない知識(労働法等)修得に努め、頼られるようになり、仕事の面白さが分かったような気がします。そうした気付きを教えてくれる人に出会うと良いですね。
(2)第二章より、「鍛錬、修業の場;日々過ごしている会社を自分の実力を養う訓練、修業の場としてとらえ、真剣に仕事のコツの体得に努める、日々の努力を怠らないようにする」
●感想⇒努力すれば報われると思います。一芸に秀でた人は、人の知らない所で、鍛錬と努力を重ねていると思います。私は、以前、女性著述家の講演を聞きました。彼女は、物書きになる前に、大手メーカーに勤務していたそうです。曰く、「会社を辞めて、つくづく思います。会社では、給料を貰って、仕事と人間関係を学べます。幸せな身分で羨ましい」と。含蓄のある言葉です。
(3)第三章より、「”道は無限にあるの信念”;”やれば必ずできる” ”もし転んでも(失敗しても)そこに転がっているものをつかんでやり直そう”という積極性、根性を持つ。それが責任者の絶対的な要件の一つである」
●感想⇒リーダーは孤独です。自分で物事を判断しなければなりません。”やれば必ずできる”という為にも、”判断する物差し”を多く持つ事が必要です。読書は欠かせないでしょう。ある統計で、幹部社員(40代)の蔵書は、450冊~1300冊だそうです。昇進すればするほど、勉強するのです。私は、本を読まない(勉強しない)上司の言葉を信用したくありません。
4.まとめ; パナソニックはビッグビジネスで、舵取りが難しいと思います。社員を一枚岩に束ねるのに、氏の考えを言葉にしておくことに意義があります。本書の内容は、当たり前と言えば当たり前のごく基本的な心得ばかりです。しかし、このような心得の基本を着実に実行することが重要です。パナソニックでは、平の取締役を、十数段階飛越えて社長にしたという事が話題なりました。組織を維持・革新していく為には、日々、温故知新の精神が大切なのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
⬛︎内容⬛︎
「心得帖シリーズ」の三作目である。本書はタイトルどおり、企業に身を置き、一社員として働くことの意義を、新入社員、中堅社員、幹部社員に向けて説いたものである。今、若者は働き甲斐を見出せず、中堅・幹部はリストラを恐れている。社員として働くとはどういうことか、いま一度、原点に返って考えてみるのに絶好の一冊である。
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所々心に響く項目があってとても良かったです。
そして少し耳に痛い。
ちょうど色々悩んでいる時期でしたので、この本に励まされたように感じました。
仕事に悩んでいる方におすすめです。
ただ、シリーズ全般に言えることですが文字が大きくて逆に読みづらいかも。 -
息子が新入社員研修で頂戴してきた本。
無駄ことは一切書かれてなく、文字が大きく、読みやすい。本書が発刊された40年前とは国際情勢や日本の立ち位置、企業と労働者の環境など激変しているが、さすが “経営の神様”、社員の心得は何ら変わらない。
50代の大学職員が特に響いたのは、
「会社を信頼する(p20)」
「会社は公器の自覚を(p58)」
「自分を高める義務(p86)」
「私の責任です(p131)」
「仕事を好きになる(p182)」
20歳の息子にはどう響いただろうか。 -
社会人の新人が持つべき心得として、「日に新た」が載ってあった。
日に新たとは、毎日常に成長せよといった意味がある。現状に満足するのではなく、日々変化する情勢を捉えて自分自身も変わり続けなければ、社会から必要とされる存在になれないそうだ。
日々を振り返る機会を作れというメッセージと捉えて、これからは日記をつける習慣をつける。 -
来年の春から社会人になるので、ちょっと先駆けて読んでみた。80年代に書かれた本だけど、現代にも通じることばかり。会社を取り巻く環境が変わっても、働く心意気や上司部下の関係において大切なことは変わらないのだなぁと思う。お給料以上の仕事をしなければならないということはアルバイトをするうえでも意識しているけれど、社会人になったらこれまで以上に責任ある立場でそう努めなければならないのだと、背筋が伸びる思い。
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【組織とは何か】
この本は、松下氏が「社員」を「新入」「中堅」「幹部」の3種類に分けて、それぞれに対してどうあるべきか、を説いた本です。
この本が、会社に社員として携わる人に参考になるものだろうと思いますが、私はそれ以上の意味があるのではないか、と思いました。
すなわち、松下氏のここにあらわされた思想は、「組織とは何か」その中で「組織を構成する個人がどうすればいいか」一般に通ずるものがあるのではないでしょうか。
たとえ入社したてでも、各自が独立した事業体、または経営者としての気持ちを持って行動する。下の者は上の者の期待以上の成果を残そうと努力し、上の者も下の者の意見に謙虚に耳を傾ける。さらに、全体として、その人をどこに配置すれば最も組織にとってよくなるか、「適材適所を考える」ということ。
私は、かかる松下氏の思想は、会社に限らずすべての「組織」について共通することではないか、と思いました。
組織にかかわる人間、松下氏のような考えを持って組織を動かしていくべきではないでしょうか。 -
新社会人はぜひ読むべき!!
新社会人じゃなくても読むべきです!たまに読み返して初心に返りましょう!そして勇気ももらいましょう!
気弱になったときに読んだりすると心強くなります。
私は会社や上司や同僚に恵まれていますが、それでもプレッシャーに押しつぶされてしまいます。
そんなときに自分で立ち直るために読みます。
中堅社員で役職のある孤独な立場の方へオススメ。
みなさん、ともに頑張りましょう。 -
一流の人物らしい、ごく当たり前の心得を述べた指南書。でもこれらを実践するのは難しい。入社初日、会社のことを家族から訊ねられた際、いい会社だ、満足して働くことができそうだと報告できるかどうか。こんなことが成功する秘訣の第一関門だなんて・・・。学生時代にこの本に出会っていればよかった。
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一章 新入社員
p14. 入社は運命
これはおれの運命なんだという覚悟=乗り越えられる
20. 会社を信頼
会社は社員の成長を願っている→自分もよき社員として成長し社会に奉仕する
24. 成功の秘訣は、いい会社だと周りに言えること(会社を褒める精神)
→周りの印象がよくなって会社の評価もあがって売上げ上がる、会社はそんな人を求めてる→昇進
29. 無理解な上司
優秀な先輩がついた(きちんと教えられ優秀にはなれるが、名人にはなれない)ことは喜ばしいことだが、無理解な上司だとしても、自分が名人になれるチャンスだと積極的に捉える
33.会社の歴史知る
37. 礼儀作法は潤滑油
45. 新入社員として積極的に提言を→会社をより良くしようと思うなら、社長も新入社員も平等
提言に至るかの吟味は必要
49. 仕事の味を知る→石の上にも三年
万一三年後違うなとおもってもその三年は無駄じゃない
54. 自分の働きと給料→給料分の働きだけでは会社になにものこらない、三倍以上の働き、できているか自問自答して向上していく
58. 会社は公器→会社を通じて社会に繋がっている、という自覚と責任感
78. 頼まれ事のあと、結果を報告する→信頼
平凡なこと疎かにしない
83. 心配りは日頃の訓練
いないひとに電話、連絡しましょうか?
86. 自分の能力向上の義務→自分だけじゃなく社会の向上のため
90. 趣味と本業、趣味にやりがい覚えるなら本業に
趣味はあくまで自信を潤すため
97. 叱られたら一人前
叱られるべきときは厳しく叱られ、それを素直に受け止め謙虚に反省し、そこで大いに奮起し、自ら勉励してこそ成長する、叱ってもらうことを求める精神
103.
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・新人時代から信頼を積み重ねる
→何か依頼をされた際は小さな事でも必ず「報告」する
・初心を忘れない
→現状に不満が出た時は入社が決まった際の嬉しかった気持ち等を思い出すとスランプから抜け出せる