日本語は生き残れるか: 経済言語学の視点から (PHP新書 167)
- PHP研究所 (2001年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569617275
作品紹介・あらすじ
インターネットから映画タイトルに至るまで、あらゆる分野で国内に侵入してくる英語。さらに、日本経済の衰退、英語第二公用語論の登場などにより、日本語の地位は脅かされている。一方、敬語と文法、カナ・漢字の使い分けの難しさ…日本語そのものにも国際化を阻む要因は数多い。このような内外の圧力によって、日本語はこのまま絶滅していくのだろうか。本書では、日本語が置かれている現状報告と他言語との比較による難易度の客観的データを通して、その生き残り策と未来像を探っていく。
感想・レビュー・書評
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世界の言語は全て平等ではなく、実はそこに「格差」が存在するという観点で言語学と経済学の接点を探る「経済言語学」という新たな分野を開拓し、日本語の価値やその将来性を論ずるのは方言学や社会言語学を専門とする言語学者の井上センセイ。地球の大部分で通用する「世界語」である英語が、TVや映画・そしてネットなどのメディアを通して日本国内に浸透することで日本語を脅かしている状況で、アメリカを頂点とする「英語帝国主義」に飲み込まれない為には日本語の地位を向上させて生き残りを図るしかないという、エッジの立った言語論。 日本語の市場価値や難易度を他国語と比較し、日本語の経済的な強さとその「国際化」について考察した数少ない本。
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「経済言語学」という考え方を紹介していて興味深い.言語習得に関わる時間はもちろんコストとなる.そして,国際語となる言語は低コストであろう.
そうみると,日本語のコストは高そうである.ただ,言語はその言語の利用者全体の利用・表現するべき内容が含まれたものである筈である.国際社会における共通項的な内容と,日本における共通項的な内容との重なりがどのようにあるかも,今後の日本語を考えるうえで重要であろう. -
日本語の現在とこれから
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全ての言語の価値は等しいという言語学の建前を根底から崩して
今後の日本語の展望を探るというもの。
ある言語を学習することによって得られる付加価値など
各言語によって価値と呼べるものがそれぞれ違う。
現在では奇麗事を並べた所で、英語が第一に来ることは疑いの余地がない。
英語に圧倒されっぱなしで、今後使用範囲を伸ばしそうもない
日本語を、言語的な難しさ、今まで発展してきた経緯などを考慮しつつ
今後の日本語はどうなるか、また発展させるにはどうしたら良いのかを
著者の意見も含めながら論じている。