- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569618463
作品紹介・あらすじ
21世紀は環境の世紀。そしてその資源は水と土-日本人は古来、急峻な厳しい地形と闘いながら、この資源を作りあげ営々と養ってきた。だが現在、足元を見れば、山村の過疎、水問題、放置された森林…山紫水明の地は「手抜き列島」と化している。著者は言う。山・川・海・米があるのも、それを守る人がいたから。その守り手の歴史と知恵を人類の生きる術として、世界に伝えていく、それなくして環境は語れない、と。「自然を守るとは農林漁業を守ること」と説く、全く新しい「環境問題の教科書」。
感想・レビュー・書評
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大学四年の時に読んだ本だけど、これはみんなにオススメしたい本の中の数少ない一つ。
非常に簡単なロジカルで、かつ通常に生活しているだけでは入ってこないような視点で見る環境問題を学べます。
日本に住むものとして一度は読んで、そして考え、実生活におこしていきたい価値ある一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人にとって大事で
史実に埋もれて忘れらたこと。
今すぐ
早急に
とにかく
対処したいこと。 -
友人に借りた一冊。
興味はあっても自ら買おうとは思わないジャンルの本。
題名そのものにひかれて読んでみたら、すごく興味深かくて、もっと作者の本が読みたくなった。
また、もっと環境について考えてみたくなった。 -
非常に面白く、一気に読んだ。環境問題と一口に言うけれど、それが差すものはそれぞれの立場によって変わってくる。よく言われる捕鯨の問題や、ブラックバスなど外来種の問題、などなど。それらは人によってまったく異なる結論が出るだろう。/この本では水=緑=土というものは人間が作ってきたものであると言うことを明らかにする。決して自然状態=木々生い茂り水豊かな状態ではないのである。それは米作りのための治水利水植林によって育まれてきたものである、と。/水、というものは森林が雨を貯めて作るものだ。森林がなければ川は枯れるか溢れるかの2形態しかなくなる。さらには人工のダムとして水田がある。水田が貯めた水が地面に吸われ、川になる。日本が水の国であるのは森林と水田のおかげである。/しかし今の日本の社会は山に対して冷たい。水を作り、豊かな土壌を作り、さらには海で魚さえも作る。そんな山林を守る山村の人に対し、日本社会は簒奪するのみであった。/昔は公共事業といえば植林であったらしい。それならばこの不況のご時世、山の手入れを公共事業としてやったらよいではないか。そういうところでこそ補助金や優遇税制が生きてくるはずだ。まずは日本の林業が成り行くようなシステムを作るという選択肢があっていい。それこそが環境問題なのではないか。
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水と緑と土の相互関係がなるほどなと思った。
森林と水の繋がりについてもよく理解出来た。 -
もう一昔前の本になってしまったが、今改めて読んでも目から鱗が落ちる思いがする。本で触れられている事柄が、今でもなお不変的な問題であることは『水と緑と土』からも重々承知している。
緑の森、土を守るためには伐採が必要だということを知らない連中も多いのだろうなあ。そう云った連中が、その地元の事情を知らず、理解しようとせずに、うわべだけの環境保護を訴えたりするものなんだろう。 -
Sun, 01 Mar 2009
これは面白い.
「環境問題」と,構えたら,何がくるとおもいますか?
今ならとにかくCO2がやりだまに上げられるでしょう.
それとも,フロンガス?
本書は,徹底的に,日本の水資源と森林を問うています.
日本の水資源が,如何に山の林家,農家に支えられてきたか
先人の血のにじむような治水,植林活動に支えられてきたか.
戦後の大植林事業がどれほどすばらしいものであったか.
そして,それを都会の環境保護団体や,都市の政策,無理解がどれだけ踏みにじってきたか.
うーーーん.
すみませんでした.私も勉強不足でございます.
それゆえに,至極納得できる話でした.
生態系のシステムとしての水資源が,西洋的な短絡的(線形的,要素分解的)思考の下に近代日本に於いて,どんどん低レベル化していった姿がよく分かります.
最近,環境問題というと,先端技術で解決しようという旗が振られる事が多いが,
そうではなく,温故知新こそコストもかからず,真の調和に向かえる事なのだとおもう.
確かに,工学者・研究者は新しいものを創っていくことが仕事だけど,政治・行政は新しいもの追いかけまくらなくてもいいのになぁと思ったりもする.
景気対策に公共事業をどかんとやるんだろうが,折角だから,日本中のヤバイ山に対して間伐事業とか大昔のように補助金,どん,とつけてやったりして,いかがなんでしょうか?
ほっといたら人的資源を含め,全ての資源は都市に向ってきてしまう昨今,ある程度,国土,地域資源保全の為には都市による収奪システムの逆方向の流れをつくっていかいと,やっぱり厳しいなぁと再認識させられたのでした. -
環境学を専攻していた時代に読んだもの。
環境問題とはどういう事か、私達が直面している問題とは何かを非常に分かりく論理的にまとめてあり、専門外の方でもとても読み易い。
水、土壌、緑樹がいかに大切か、農林漁業を守って行かなければいけない事を伝えている。 -
富山さんの本を読んだのは「水と緑と土」「日本の米」に続いて3冊目。川・水・森・土・海といった自然を人間との関わりという切り口は、既読の2冊と同じ。広い視点で、歴史的にも深く切り込んだ視点から考察するスタンスはとても刺激的。相変わらずの富山節で、所々に現れる厳しい口調はやや耳が痛いが、国土を守る先頭に立ってきた人にとっては今の日本の姿を苦々しい気持ちを抱いているのだろうということが伝わってくる。
選挙権を人口でなく面積の比で与えろといった主張や、水利用をめぐる争いの話は、水を守るための山村の人々の努力に対する著者の思い入れの強さや、人口の都市集中と山村の過疎化問題とあわせて、日本のあり方を考えさせられる。
・幕末の動乱、明治の近代化、日清・日露戦争によって、明治末期には日本の歴史を通して最も森林が荒廃した。その結果、水害が相次いだため、森林法、河川法、砂防法の治水三法が制定された。
・1986年に林野庁から出された水源税構想は、財界や大都市水道局の労働組合などの猛反対により実現しなかった。神奈川県は1997年に水道料金の値上げをした際、1%分(1世帯当たり20円)を森林整備に充てることにした。
※2008年4月時点で高知県や兵庫県、神奈川県など23自治体が水源税を導入済み[環境goo] -
環境問題は農業林業漁業の再生である。