ほんとうは日本に憧れる中国人 「反日感情」の深層分析 (PHP新書 332)
- PHP研究所 (2005年1月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569641188
作品紹介・あらすじ
「歴史認識」や「靖国問題」など、日本に対して過剰な反応を示す中国人。それらは中国政府による反日教育の賜物であるとみなされてきた。しかし、市場経済化が進んだ中国社会の底辺では、まったく違う動きが発生している。日本の「モノ」や「生活」に憧れ、村上春樹小説がベストセラーとなり、漫画、ゲーム、音楽からファッションまで「日本ブーム」が起きているのだ。本書は日中交流の歴史や各種統計データをふまえて、中国人の日本観に潜む愛憎二重性の形成要因を探り、真の日中友好のあり方を問う。
感想・レビュー・書評
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中国の歴史や儒教に関することが出てくることについては、他の書物となんら変わりないのであるが、中国人のいろんな場面における反日感情の解釈の仕方が非常に良い気がする。中国(人)の考えを理解するにはいい本であると思った。
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やっぱり中国人は理解できないなというのが感想
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ゼミの発表の参考文献
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日本化のすすむ中国。これからどうなるんだろ。
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表題からして右よりかと思いきや、日本側を立てつつ弁証法的論法で二国間の友好的交流を提唱し完結したのには恐れ入った。
中国人の日本人観
は現代日本人も多く気にするところではなかろうか?
中国人が日本人に対して抱いているイメージなどをアンケートして表にまとめて載せている。非常に興味深くまたおもしろい内容だった。著者の王 敏氏は日中問題の観察眼の鋭さもさることながらジャーナリストとしてのウデも一級であろう。 -
若い世代の日本に対する二面性の土壌について分析している本。
「小資(プチブル)」を上げ今の若者について具体的に論じており、その点については「愛」の土壌分析としてとても納得する。
儒教から来る歴史認識についても触れているが、この儒教観のすれ違いが「憎」を生むのか?しかしそもそも儒教自体が“今の中国”にまだ本当に残り、当てはまっているのかなぁという疑問が残る。
そして中国人は本当にすぐ謝るだろうか?この点について著者の自国民への認識に対し大きな疑問がのこる。またマスコミについて、情報制限された仕方ない状況なのだから、日本はそれを汲み取れ、といっているようで少々無理難題、というか、ずるいと思った。
莫邦富の本と同じく、もう少し中立的な観点で日中双方にものを言える本であればなぁ、と思った。 -
日本通の王敏さんによって、中国の若者層での日本受容の様子がよく描かれている。しかし、日本の情報は中国政府に都合のいい部分、害のない部分しかはいっていないと感じた。中国人にもっとバランス感覚のとれた日本観をもってもらうにはどうすればいいのかという提言もしてもらいたかった。中国人は悪ければすぐ謝罪するというところは「ええっ」と思った。なお、タイトルはむしろ副題の方がふさわしい。
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お隣同士仲良くなればそれにこしたことはない。
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近時の日中間のギクシャクとした関係を憂慮する知日派の中国人による、新世代の中国人の日本に対する愛憎二重構造(日本の製品・文化に対する愛好と歴史認識等で示す強い反日意識)の形成要因の分析と、互いの文化的差異を認識し合うことによって相互理解を進めていくべきという提言の書。著者の考え方についてはいろいろ意見がありうるとは思うが、例えば、おそらく日本人の多くが持っている「過去の戦争について、いくら謝罪しても、際限なく文句をいってくる」という不満についても、なぜ中国人は日本の謝罪を謝罪と受け取らないのかという点について認識をしておくだけでも一定の意味はある(だからといって、直ちに中国の基準に合わせて謝罪する必要はないのであり、要は、そのような文化的差異についての認識を踏まえて自らがどう振る舞うかを決めることが重要)。小著ではあるが、建設的な内容を含んでいる好著であると思う。なお、本書のタイトルは、内容を的確に表したものとは言い難いが、おそらくは嫌中意識の強い人間にも本書を手にとってもらうための工夫ということだろう。