- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569649252
作品紹介・あらすじ
ヘーゲルやマルクスは私生児の存在を暴かれ、ルソーは五人の子捨てを告発された。ウィトゲンシュタインは同性愛が執拗に調査され、サルトルの不倫遍歴は、愛人ボーヴォワールに暴露される。思想史を彩るスーパースターたちの私生活をのぞき見れば、意外な素顔が隠されていた!?彼らは、不条理な世界と人生をどのように理解し、渡り歩いたのか。生い立ち、学歴、異性関係、挫折、死に際などの逸話を拾い集め、その思想のルーツを探る。好奇心、やじうま根性なくして哲学は語れない!抱腹絶倒の哲学者列伝。
感想・レビュー・書評
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「エピソードで読む」というタイトルがちょっとチープなので、単なる雑学本だったらつまらないなと思いつつ、飛行機の中で読もうと思って取っておいたのですが、結構、面白かったです。よくこれだけ哲学者の私生活に関するエピソードを集めたものだと。フランスのサロンが哲学者の交流に果たした役割、哲学者を取り巻く(今から見れば)滅茶苦茶な男女関係、学者にとって貴族の子弟の家庭教師をすることの意味、貴族の子弟のグランドツアーの意味、ナチスによるユダヤ人迫害とアメリカにおける哲学など、哲学者達の思想を形作った時代背景がよく分かりました。
ザックリと全体の流れを言いますと、巨大河川の流域で生まれた文明がギリシャやローマなど地中海地域で進化し、ローマ帝国が誕生し、やがて中世封建社会になり、西欧で近代資本主義社会が生まれた。この西欧文明がキリスト教と共に世界に拡大し、日本も含めて世界は西欧化を目標にするようになった。こうした歴史観を哲学に持ち込んだのがヘーゲルで、このヘーゲル主義から神をカットするとマルクス主義になり、更にマルクス主義もカットすると、所謂「歴史の終焉」に至るということです。
近代哲学については、18世紀末から19世紀初にかけて三人の哲学者、イギリスのスミス(「国富論」1776年)、ドイツのカント(「純粋理性批判」1781年)、ヘーゲル(「精神現象学」1807年)によって整理統合されたが、この時代に資本主義がヨーロッパ全体に広がったことを背景に、その後の哲学者にとっては、宗教や自然科学だけでなく、経済学が必須科目になっていったということです。哲学者にはかなり年齢を重ねてから大成した人が多いですが、その理由がよく分かりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/626649 -
38823
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ウワサ話のようなエピソードを中心として、25人の哲学者の思想を簡単に披瀝してくれる秀逸な本。文章も上手い。このまま25コマの講座として使える。
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近代から現代までの主要な哲学者の一部について人生史と哲学にわけて書かれた読本。
哲学者の項末に参考文献を上げてあるのが助かる。
哲学も詩と同じく言語化された思惑や思想の源にはその人の生きてきた中で培われた人生観や世界観が影響しているのだなと思った。
中世の学者の生活様式や経済事情などが識れてよかった。 -
映画館
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人物にスポットを充てているので取っ付きやすいです。
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社会科とか倫理で習ったデカルト、ホッブズ、ロック、ニーチェ、フロイト、ウィトゲンシュタインなどの著名な哲学、倫理学、心理学の巨人を取り上げ、生い立ちや思想の背景にあるもの、思想自体の解説が書かれている。
高校の時は倫理が好きで、いろんな思想を知ることが面白かったからだが、結局はキーワードの暗記がメインで、「カント・純粋理性批判・悟性・格率」とかなんとか覚えて実際よく分からないまま終わってしまっていた。この本では、例えば「ギャングに追われた友人をかくまったときどうするか」で、絶対善を求めてうそをつかずに「いる」と答える方が正しいとカントは言ってるんだよ、でもおかしいよね、だからカントは挫折して、この世には道徳の絶対基準なんかないよね、ということになる。のように解説されており、読みやすいし面白い。著者の文才が光っていて、飽きずに読むことができる。社会契約説のところでは、「国家のために生命を賭けて戦う倫理的義務はあるのか」といった話が面白かった。実存主義って倫理で習った時にはかっこいいとか思ってたけど、なんか変な人たちばっかりだな、という印象。とにかく、哲学や思想に興味のある人なら飽きない本だと思う。「読書案内」もついているので、この後本格的に勉強する人にも役立つのではないだろうか。(13/06/08) -
とても読みやすかった。内容はたしかに薄いかもしれないけれど、中身が無いわけではない。。