宮脇檀の「いい家」の本 (PHP文庫 み 13-3)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569662480

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  • 日本で家を作ろうとすると、個人で自分で判断して作ることになる。
    高い買い物にも関わらず、日本では建築家などを目指す人を覗いて、ほとんどの人が建築に関する教育をうける機会が少ないにもかかわらすに。

    一方で、最も古くからある建築である住宅を設計する人は、人間がどう生きるかを考える。仕事をしていく上で建築が如何にあるべきか、人は如何に生きるべきかを考える習慣がつくようになる。建築に対する人間の欲求を感じるようになる。

    住宅を設計する著者は、学校から帰ってきた子供たちが「オウチーッ」と跳ね回れるような、仕事から帰って来た夫が「我が家ダァ」とドスンと食卓でビールを飲めて、朝目覚めた時に「今日もやるぞ」という気が起きるような家を設計したいと言っている。また、大部分をそこで過ごす主婦の方には教養を期待する。デザインは自分の行為にふさわしい物を、ふさわしい場所に置くこと、それを考え気づき選べる女性になるべきと。

    住宅の設計は、依頼者の要件を聴きながら、限られた条件の中で、自己判断で決定し続ける仕事である。しかも建築家は、時間に耐える建築をつくる義務があるという責任まで担っている。

    大変である。

    だから、日本をつくることにつながる街並みを作る、住宅を設計する仕事というプレッシャーに押しつぶされずに良い判断をしたいためにも、建築家は、優れた建築や美しいものを一つでも多く観ようとする。日々の行いの中で、目で知り、頭で知り、身体で知り、手で知り、足で知る。それこそ建築だけでなく人の話し方や草花の咲き具合、道端の垣根のしつらえ、山の形に至る世の中の人間や自然・天然の美しさとその理由をどん欲に取り込もうとしている。

    「建築家は人を知り、美しいものを知り、教養を積み重ねてきているのである。君もそんな建築家と一緒に住まいを作ってみないかね」と著者が言ってきそうです。

    数寄屋のこと、持家方式や都市に住むということなども含蓄があり非常に勉強になりました。

  • 星四つ

  • 家族がデレデレできる家、いいなぁ。シニカルな語り口。

  • 雄が餌をとって来て、その代償として雌が性を提供し、結果としてできる子を一人前になるまで面倒を見るのが家族です、人類も同じでしょ? 一般には親子、家族の会話を中心とする場は、明らかにダイニングキッチンである 団欒はさまざま 近代社会というのは、住居に何もかも包含していた近代以前と異なって、多くの生活行為が住居の外に出ていく社会である

  • 一般の人に広く読んでほしい本。家づくりについて普通の話し言葉で書かれていて読みやすい中に、鋭い指摘が多数含まれている。自分の暮らしについて考えると同時に別の視点にも気がつくことができる。きっと多くの人が見過ごしていることに、立ち止まって考えるきっかけとなるので、良い本に出会えたなと思います。みんな、暮らしや町並みについて今よりもう少し目を向けると日本はもっとよくなる。

  • 良書。
    家を買う前に読んで欲しい。

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著者プロフィール

1936-1998。建築家・エッセイスト。モダニズムのデザインに風土性・生活感を重視した住宅設計を追求した。第31回日本建築学会賞作品賞受賞。

「2013年 『日曜日の住居学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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