十八史略(上) 激動に生きる 強さの活学 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569663234

作品紹介・あらすじ

人間研究の宝庫といわれ、何百年にもわたって多くの人々に読み継がれてきた絢爛たる中国歴史絵巻『十八史略』――本書は、東洋学の泰斗として世人の敬愛を集めた著者が、深みと風格のある解説で『十八史略』の妙味を語り明かした講話録である。▼「鼓腹撃壌」(帝尭陶唐氏)、「一饋に十たび起つ」(夏・禹王)、「酒池肉林」(殷・紂王)、「暴を以て暴に易う」(周・武王)、「臥薪嘗胆」(呉王の夫差)、「誰か烏の雌雄を知らん」(孔子の孫・子思)、「鶏口となるとも、牛後となることなかれ」(蘇秦)、「三年飛ばず鳴かず」(楚の荘王)、「先ず隗より始めよ」(燕の昭王)……など、三皇五帝・三代の治から、孔子や孟子、老子の思想、戦国時代の英傑が残した故事格言までを取り上げながら、中国古賢・先哲の知恵をいかに現代に活かすかを説き明かしていく。▼混迷の続く現代を強く、たくましく生き抜く方途を開示した「人生の指南書」。

感想・レビュー・書評

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  • 安岡正篤の「十八史略」の解説本で、本書はその上巻。周の滅亡まで。

    史記から宋代までの17の中国の正史と、当時の資料を寄せ集めて作った、ダイジェスト本が十八史略である。
    もともと、史記から始まる中国の正史は、紀伝体という司馬遷が始めたスタイルでかかれている。
      本紀:支配者の歴史
      列伝:それ以外の者、遊侠などのテーマからなる。
      紀と伝をとったものが、「紀・伝」体です。
      いわば、各個人の伝記を集めたもので、その人の歴史を知る事はできても、あることがらが、それぞれにバラバラに書かれていて、年代順に把握がむずかしい。
    それを解消するスタイルが、編年体といい、年代順にならんでいる。
    宋代までの膨大な中国史を、1362年間294巻にまとめたものが、資治通鑑という。
    子供ためにさらにダイジェストにして、7巻にまとめなおしたものが十八史略である。

    気になったのは次のです。

    ・君子の交わりは淡、水の如し
     淡い交わり、味気のない交わりということではなく、言うに言えない至れる味をもった交わりということ
    ・道・徳・功・力 我々の智能というものは、論理から次第に情理・実理にはいって、真理・道理になる。論理というものは一番危ない。
    ・国家とは、土地、人民、主権 ということでこれを国家の三要素という。
    ・従来中国では、黄色は帝王の色、帝王を代表する色としております。宮城の瓦も、壁も黄色、皇帝の衣服も正式の場合は、黄色を用いる。
    ・シナは日本とちがって、つねに、塞外民族たちに侵略征服されつづけてきたので、現実の権力支配といったものにも少しも保証はない、つまり、何も恃むべきものがない。そこで何を恃むかというと、結局裸の人間同士、これが最後の大事なものである。
    ・シナの兄弟の序列は、長兄が伯、次が仲、末っ子が季。あるいは、伯に対して、年下の弟を叔といいます。太伯の太は美称、尊称であります。
    ・「中庸」の中には、2つの意味があります。進む、進歩向上するという意味と、当たる、中毒するという意味です。
    ・西施という美女の真似を、不器量な女がまねて不評をかった。そのことで、とんでもない人間が立派な人物の真似をすることを「ひそみにならう」という。
    ・原始儒教のテキストは、まず「論語」、そして、「孟子」と「荀子」である。孟子は性善説、アイデアリズム、アイデアリストであるが、荀子は違う、性悪説、リアリストである。

    ・野合という言葉は、中国では、媒酌人なしで結婚すること、つまり、自由結婚です。孔子は野合であった。
    ・儒家の四書である、「中庸」は、明らかに道家、老子系統の思想や議論がはいっていて、「中庸」「老子」「易経」は甚だ相通じるところが多い。だからこれらは、儒書であるとどうじに、道書でもあるのです。
    ・「中庸」とは、孔子の孫である、子思の著書、もしくは、編書であるといわれています。
    ・大体、シナ人という者は身内から誰か偉い人が出ると一族ことごとくこれにぶらさがる。今でもそうです。
    ・合従論の蘇秦、「妻は機を下らず、嫂は為に炊がず」、かえっても、妻は機織りからは下りず、兄嫁も蘇秦に飯を炊いてくれなかった。

    目次
    文庫版のまえがき
    序章 中国古賢・先哲の智慧
    第1章 三皇五帝・三代の治
    第2章 中国思想の淵源
    第3章 春秋覇者の台頭
    第4章 戦国時代の英傑

    ISBN:9784569663234
    出版社:PHP研究所
    判型:文庫
    ページ数:320ページ
    定価:760円(本体)
    発売日:2007年10月17日第1版第4刷

  • 三皇五帝の時代は勿論伝説として実在したわけではないにしろ、改めて尭舜禹の更に前の人たちの解説は新鮮に思えました。春秋戦国時代の英雄たちの事績から修養に役立つお話をしたものだと思いますが、漢文の時間が懐かしくも思いました。

  • 「十八史略(上)」3

    著者 安岡正篤
    出版 PHP文庫

    p135より引用
    “はかないものだというよりは、むしろ危いものだということを
    体験的・本能的によく知っておる。”

     東洋思想研究家である著者による、中国の古典をもとにした講
    演の内容をまとめた一冊。
     東洋思想の基本についてから各偉人の考えについてまで、丁寧
    でありながら重厚な語り口で記されています。

     上記の引用は、名誉や財産等についての中国人の考え方につい
    ての一文。自分の身の丈に合わない程のものは、持たないほうが
    無難なのかも知れません。

    ーーーーー

  •  歴史的人物(中国史)がどのように考え行動をしたのか、どのような判断を下したのかを人間学まで掘り下げて解説している。
     読んで損は無いが、出来れば事前に中国古代史を覚えておくと非常に読み応えがあるかと思います。

  • 期間をあけて2回読んだ。1回目を読んだときはまったく文章が頭に入らなかった。そのため、物語の多くが書かれている「史記」を読破し、2回目をよんだ。正直この本は難しい。ある程度の知識があればよく分かる。特に「史記」は読んでおくべきである。文章になれることもあるが、この本事態がかいつまんだ解説であるためです。また、歴史書という考え方でよみはじめるのではなく、安岡正篤が中国の歴史をつかって、いろいろな考え方を説明するという本です。

  • ちなみに今読んでいる本は以下(この本)である。
    最近買うのは原則文庫であり、時代小説中心の読書である。
    以前はたくさん読んでいた自己啓発ものは、もう興味がわかず読まない。もてはやされる成功者も結局は逮捕者や社会”だまし”が多い。それよりも自分で如何に楽しく健康でがんばって行けるかに注力したいと思うようになった。よって自己啓発本は9割以上をBook Offしてしまった。
    (2008.2.22HPの日記より)

    【Amazon紹介文】
    人間研究の宝庫といわれ、中国古賢・先哲たちの智恵が凝縮されている「十八史略」。その智恵を現代に活かす方途を説いた珠玉の講話録。
    人間研究の宝庫といわれ、何百年にもわたって多くの人々に読み継がれてきた絢爛たる中国歴史絵巻『十八史略』――本書は、東洋学の泰斗として世人の敬愛を集めた著者が、深みと風格のある解説で『十八史略』の妙味を語り明かした講話録である。
    「鼓腹撃壌」(帝尭陶唐氏)、「一饋に十たび起つ」(夏・禹王)、「酒池肉林」(殷・紂王)、「暴を以て暴に易う」(周・武王)、「臥薪嘗胆」(呉王の夫差)、「誰か烏の雌雄を知らん」(孔子の孫・子思)、「鶏口となるとも、牛後となることなかれ」(蘇秦)、「三年飛ばず鳴かず」(楚の荘王)、「先ず隗より始めよ」(燕の昭王)……など、三皇五帝・三代の治から、孔子や孟子、老子の思想、戦国時代の英傑が残した故事格言までを取り上げながら、中国古賢・先哲の知恵をいかに現代に活かすかを説き明かしていく。
    混迷の続く現代を強く、たくましく生き抜く方途を開示した「人生の指南書」。

    ※2007or2008年購入
     2008.2.22読書中
     2008.3.6読了
     売却済み

  • 下巻の書評を参照してください。

  • 【読みたい】
    齋藤先生の『勉強力』より

  • 2011.9.16読了
    難しい

  • 序章をよむだけでも役に立つ。

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著者プロフィール

明治31年大阪市に生まれる。
大正11年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業
昭和2年に金鶏学院を設立。
陽明学者、東洋思想家。
終戦の詔の起草者の一人。
昭和58年死去

著書
『易學入門』『全訳 為政三部書』『東洋思想と人物』『暁鐘』『王陽明研究』『陽明学十講』『朝の論語』『東洋学発掘』『新編 経世瑣言』『新憂楽志』『老荘思想』『古典を読む』『人物・学問』『光明蔵』『政治と改革』『古典のことば』『この国を思う』『儒教と老荘』『旅とこころ』『王陽明と朱子』『人間維新Ⅲ』『憂楽秘帖』『明治の風韻』『天子論及び官吏論』(明徳出版社)

「2000年 『人間維新 III』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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