思い出探偵

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569704845

作品紹介・あらすじ

小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴…わずかな手がかりから「思い出探偵社」の仕事は始まる。もう一度会いたい人があなたにはいますか?乱歩賞作家によるハートフルストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • ほのぼのとしたお話と思っていたら、初めからかなり重い。
    息子を自殺で失い、死の真相を未だに追う元刑事。妻はショックからお酒に溺れ、なんとか立ち直ってきたところ。
    探偵社の面々もそれぞれに抱えるものがあり。
    思い出を探すことで、それぞれが前向きになっていく様子はホッとする。

    心温まる探しものから、集団就職の悲壮な思い出、10年前の事件の真実、戦後の混沌とした時代の美談。
    どんどんどんよりとした気持ちに。
    最後はここで!?というところでブッツリ。
    とにかく事件と人が入り組んでいて、目まぐるしく終了してしまった。

  • 人は皆一つや二つ、取り戻したかったり心に深く刻まれた思い出というものを抱えているのではないだろうか。
    思い出探偵社はどうしても埋めたい思い出を抱える依頼者たちの切なる願いを聞き届けてくれる。
    点と点が線で結ばれるように僅かな手がかりを道標に欠けたピースを埋めていく。
    そんな思い出を紐解く探偵たちにもそれぞれ抱えるものがあり、そんな彼らだからこそ依頼人の心に寄り添い、過去の足跡に光を当てられるのだと思う。
    「誰しも大きさや重さの違う荷物を背負って生きている。ある意味その重みが人生の実感だ」という言葉が心に残ります。

  • 12月-4。3.5点。
    元刑事の、過去の思い出を探す探偵の話。連作短編かと思ったが、長編。
    まあまあ面白い。ホロリとさせる。
    探偵社の仲間もいろいろ抱えていて、
    それも物語のポイントに。
    終わり方は、少しあっさり過ぎ。

  • [思い出探偵:鏑木蓮] 思い出(記憶)と事実(真実)は必ずしも一致しないものなんだな、と。それでも一人ひとり、それぞれの思いがあって今がある。…その人の思い出は例え事実とは違っていてもその人だけの大切なもの。

  • 最後の最後、どうなるのか曖昧な感じがしました

  • 2019.02.22
    いや〜、完全に鏑木連のファンになった!
    どこか、北方謙三の「望郷の道」の中の「心」にあるような温かいものが似通ってるような•••。否、誰だったかなあ?
    「心が豊か」だから「心だけは財閥じゃ」
    「菜箸が長過ぎて欲しいものが食べられへん。それは苦しいことやけど、誰かの口に運ぶには便利のええ道具になる。お互いに他人の口に運ぶには便利のええ道具になる。お互いに他人の口に運ぶと両方が嬉しいやろ。状況や環境が良くなくても、人間、心一つで楽しく出来る。そんな知恵があるもんなんやって。」「自分にはできなくても他人には何かやってやれる」おきょうに出てるらしい。良い言葉です!

  • 思い出探偵シリーズの一作目。人の気持ちを扱いながら、スリリングな部分もあり、それなりに楽しんだ。もう少し心理描写で深みが出ると楽しいとは思います。

  • 2017.12.11読了

  • 「温かな文字を書く男」
      思い出は時として諸刃の剣になる
      だが、人生は思い出の積み重ねでしかありえない。
      良きにつけ悪しきにつけ、そのひとが生きてきた
      証なのだ。そこに喜怒哀楽のすべてがあって、人
      間らしさがある。
    「鶴を折る女」
      嘘を書いてはならないが、ものには見方が様々あ
      る。目線によっては、知り得た情報でも、何か物
      陰にあって見えないものだってあるのだ。
    「嘘をつく男」
      思い出には辛いものもある。だが辛いことも、悲
      しいことも積み重ねていくのが人生なんだ。
    「少女椿のゆめ」
      歳のとり方、すなわちそれは生き方やからな。ど
      んな人生を歩んだかちゅうのが、顔に表れるんや
      簡単に言うとな、ぎょうさん笑わなな、ええ顔に
      はなられへん、ちゅうこっちゃがな

    息子との自死から妻の心が壊れ 支えるため刑事をやめた主人公。 「思い出探偵社」主人公の人間性に惹かれ集ってきた調査員。 
    人生に縁は欠かせない。そのささやかな縁により その後の人生が大きく小さくも変わっていく。人生の節目にその出会いを思い出す。

  • 思い出のもの、人を探す探偵たちの物語。手に汗握るミステリではないが、それぞれのストーリーの思い出探しの想いに触れて読後なんだか優しい気持ちになれる本。依頼の人物を探す過程の探偵たちの心の機微も心温まる。

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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