本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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本棚登録 : 1049
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569760414

作品紹介・あらすじ

様々な職業の老若男女がつつましく暮らす「本所おけら長屋」が舞台の笑いと涙の連作時代小説。思わず引き込まれる人情物語の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ページを開くなり、いきなり落語の世界
    ハッっあん、熊さん、ご隠居さん、みんな揃っている
    おまけに病気ともいえるお節介の万造と松吉の万松コンビまで

    おけら長屋の面々、その名の通りその日暮らし、お金はからっきしないけど、人情はあふれるほどにある。ふところは寒いが心は熱い

    「薄情」は「野暮」と並んで、江戸っ子が最も言われたくない言葉だそうな
    人の災いを見て見ぬ振りできない面々、考えるよりも先に動いている。結果は後でついてくる
    「てえへんだ!てえへんだ!」と勝手に体が動き出しているんだろうな

    紙面いっぱいに飛び交う江戸っ子弁の小気味よい会話もスカッとして気持ちがよい

    江戸の庶民の人情豊かな暮らしぶりが目の前に浮かぶようで、しばし、長屋の住人の仲間に加えてもらったような気になった

    最近ブク友さんの本棚でよく紹介されている本、とても評価が高いので、私も手に取ってみたが期待を裏切らないおもしろさ。おもしろいばかりでなく、時にホロリとさせてくれる
    まだまだこのシリーズは続き、短編が全部読み切りでどこから読んでもいいというのも嬉しい
    いい本を教えてもらった


  • 江戸の本所亀沢町にある"おけら長屋"に住む十二の店子+大家の日常を描く人情話。

    みな貧乏ではあるけれど人情味はたっぷり。
    クスッと笑った後は、ほろりと涙ぐむ。
    野暮なんて言われちゃ黙っちゃおけねえ。
    威勢がよくてお節介、涙もろくてそそっかしくて人がよくて。
    落語を聴いているようなテンポの良さに読んでいてスカッとする。
    "おけら長屋"には武士・商人・職人等という、身分なんてケチくさいもの存在しない。
    みんなが等しく寄り添って暮らしている"家族"だ。
    長屋の用心棒的存在の鉄斎さんの言う通り、湯船に浸かっているかような心地よさにほっこりする。
    "おけら長屋"の禍の元・万造と松吉の迷コンビの、続編での更なる活躍にも期待したい(他のみんなはありがた迷惑だろうけれど)。
    雪の寒さを一時忘れさせてくれる温かみのある連作短編集だった。

    「江戸で、おけら長屋のみなさんにお会いできて本当によかった。温かくて、酔狂で…。あの長屋で暮らせたら楽しいでしょうなあ」
    ほんとその通り。
    私も"おけら長屋"の一員に加えてほしい。

    • やまさん
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...
      各位

      昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
      なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
      ① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
      ② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
      ③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
      ④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
      ⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
      ⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
      ⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四)  / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
      ※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。

      やま
      2020/02/07
  • 向こうのお母さんにオススメされた本。
    歴史小説が好きと言ったら、全20巻をカバンに詰めて持たせてくれた。(歴史小説 ≠ 時代小説)
    積読になるだろうなと思いつつ貰った本だったのが、息抜きにふと開いてみたらすごく面白くて、一気読みしてしまった。
    寸劇の台本みたいな本なので、人物の顔をリアルに想像して動かしたほうが楽しめる♪
    万造を菅田将暉、松吉を桐谷健太、島田さんを松田翔太に変換して読んだ。
    笑った~

  • 本所亀沢町にあるおけら長屋を舞台にした、連作短編集。
    シリーズ第1作。

    単純で浅慮なところもあるけれど、情に厚い万造と松吉コンビ。
    知恵や良識を持つ、大家の徳兵衛や島田鉄斎。
    たくましいおかみさん。

    その他、バランスの良いメンバーで、コミカルなやりとりは落語のよう。
    テンポのよい人情もの。

  • 【記録】
    本所おけら長屋シリーズの1作目
    2013.07発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    残念です。

    皆様のレビューを見て図書館に予約するが、字が小さくて読めず返却する。
    畠山健二さんの本を見るのは始めて。
    ※【記録】の説明は、プロフィール欄に書いて有ります。

    ※なお、「本所おけら長屋」の1作目は、字が小さくて読めませんでしたが。6作目からは、「字の大きさが…小」でした。今後、図書館が開いたら読んで行こうと思っています。

  • 連作短編集
    最初の話は会話が落語っぽくて、ずっとこの感じだとどうかなと思ったけど、最初だけであとは普通に物語に入り込めた。おけら長屋の人たちの、温かく人情あふれる、そして少し切ない物語です。ずっと続いているようで嬉しい。

  • 「おけら長屋」の住人たちが織り成す悲喜こもごもの日常話。
    畠山健二さんの作品初読み。人々がそこで日々を営み、集い、歓び、悩むさまがとても自然だ。軽妙な会話のなか、無理なく物語が進むのも好印象。

    長屋の見取り図や、住人の名前が冒頭チャートで一目瞭然なのもすぐ忘れてしまう読者にとってありがたい。

    階層身分、貧富の差や、病や事故等の不慮の喪失も今よりももっと切実で現実的だったこの時代。それにも関わらず、庶民が人と人との関わりによって、化学反応を起こし、日々を前に進んでいく様が希望に満ちていて、面白い。

    本文111頁より
    『運命を変えることはできませんが、人生を変えることはできるはずです。』自分で決断して行動することが運命に連なっていく。

    自己犠牲や献身の美徳に軸足を置きすぎて、筋を作る物語は苦手なので、落語のように滑稽さもありながら、情やお節介を挟む展開が心地よい。

    読書のスランプや、気持ちが落ちているときも、この作品ならば気分を変えてくれる一助となる。
    個人的には挿画の三木謙次さんのイラストがとても好みなので、そちらの版を見ているだけで、嬉しくなります。

  • フォローしてる方がこのシリーズを読まれていて、面白そうなので手を出してみた。
    江戸物は宮部さんのしか読んだ事ないけど、好きなのでワクワク。普段ミステリばかり読んでいるので事件的には物足りないが、長屋の人間関係がいい!
    本当に江戸の人達はこんな風に生活して居たんだろうか?大家が親代わりで長屋同士で対抗意識もあったりして。
    今こう言う濃厚な隣人関係ってあんまり無いから、助け合って、お互い心配しあって、一人暮らしでもお節介焼きあって……
    登場人物達が生き生きと描かれていて本当に楽しい。
    トンチンカンな箱入り娘には大爆笑したし、子供子供していた久蔵が最後立派な男になって行く成長が嬉しかった。
    このシリーズ沢山出ているみたいなので読んで行こうと思う。良い本を教えていただき感謝です!

  • 大好きなおけら長屋シリーズがいったん終わってしまったので再読中です。

    万松がみんなの度肝を抜くようなアイデアを出して、ヤクザやお偉いさんの不条理に立ち向かっていく姿が…何だか笑えました。
    正統派ヒーローでなくて姑息な手を使うところが綺麗なご都合主義の小説とは一味違って私は好きです。姑息すぎるんですが何だか応援してしまう。万松のお人好しさに絆されてるんでしょう…。

    1巻の私の好きなエピソードは『ふんどし』です。
    湯の子を身籠もってしまったお梅ちゃん、そしてお梅ちゃんのために無茶苦茶な手段で力になるおけら長屋のメンバー、そしてお梅ちゃんの思い人の久蔵、私のこのシリーズ大好きが詰まったエピソードです。

  • シリーズの存在は知っていたものの、何故か手を出していなかった。
    が、LINEスタンプになっているイラストがあまりにいい味で、さてこの面々はどんな人たちなのか…と図書館でお取り寄せしてしまったという、まぁなんともマヌケな…

    畠山健二さん初読。
    なるほど、これはこれで、人気になるのもわかる。
    からっとした徹底的な明るさが、へたなファンタジーよりもファンタジー。

    面白くなかったとは言わないけれど、わざわざシリーズを追いかけたいほどではなかった…かな。
    でも、全部一話完結ということなので、たまたま読みたい本が見つからず、たまたまそこにあったら、また読むかも。
    もっと読みたい本、先が気になる本がありすぎて…

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著者プロフィール

1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出から、週刊誌のコラム連載、ものかき塾での講師まで精力的に活動する。2012年、『スプラッシュ マンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。文庫書き下ろし時代小説『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)が好評を博し、人気シリーズとなる。その他の著書に『下町のオキテ』(講談社文庫)、『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮 おけら的人生』(廣済堂出版)など多数。共著に『猿と猿回し』(内外出版社)がある。

「2023年 『本所おけら長屋(二十)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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