不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳 (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569765235

作品紹介・あらすじ

2020年、田中圭さんと中村倫也さんが生き別れの兄弟に、ドラマスペシャル共演で話題!

兄・炎の刑事vs弟・氷の検事。
土壇場で自白を覆す容疑者。伝説のスリの意外な正体。同時に発生する銀行強盗と誘拐事件。実直な警官の無謀な追走
放火魔の供述に秘められた真相……。
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのか――。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事、それぞれの信念がぶつかり合う連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 兄・炎の刑事vs弟・氷の検事。

    〜簡単なあらすじ〜
    刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのか――。父の死後に別々の家庭に引き取られ、新たな人生を歩みます。そんな2人はやがて刑事と検事になり、ある事件の捜査で再会を果たすことに。


    21年分の空白を埋めるかのように繰り広げられる兄弟喧嘩。
    選んだ道は違うけど、思いは同じ。
    「冤罪をなくす」「父の汚名を晴らす」。
    不協和音を奏でながら事件の真相を解明していく。

    土壇場で自白を覆す容疑者、伝説のスリの意外な正体、同時に発生する銀行強盗と誘拐事件、
    実直な警官の無謀な追走、放火魔の供述、に秘められた真相。

    短編ということもあり、少し物足りなさを感じるけど、伝説のスリと放火魔の話にはやられました、面白い!作者の長編が今から楽しみである。

    さて、ドラマを見よう。

  • 連作ミステリー。『雪冤』以来の久々の傑作ではないだろうか。ミステリーとしての面白さと描かれる人びとの人生の機微。最終話の余韻を残すラストが非常に良かった。

    刑事だった父親の冤罪…そんな父親の背中を見て育った息子の川上祐介は父親と同じ刑事の道に…そして、祐介の前に検事として現れた生き別れた実の弟、唐沢真佐人。

    刑事の兄と検事の弟がミステリーと共に紡いでいく人生の機微。

    『偶然と必然』、『箱師の鉄』、『英雄の群像』、『右と左』、『発火点』の5編を収録。

  • 刑事だった父親が違法捜査で冤罪を生んだと疑われて亡くなった後、別々に育てられた兄弟。兄は刑事に、弟は検事になって再会するが‥
    田中圭と中村倫也のドラマがよかったので原作を読んでみたところ、こちらもいい。
    連作短編集で、さまざまな事件を兄弟がぶつかったり協力したりしながら解決していく。
    父の冤罪事件は未解決だが、5月に続編が出るらしいので楽しみ。

  • 主人公は、刑事の兄と検事の弟という異色な組み合わせ。
    違法捜査を疑われ失職した父を持つ兄弟が、互いに反駁しながらも事件を解決する連作ミステリー。
    父親の事件の謎がまだ残り、続編がありそう。

  • ドラマを見て原作も読んでみたくなり積んでた一冊。

    冤罪を生んだとされる元刑事の父とそれが原因で訣別した兄弟が刑事と検事になり再会。お互いの信念の元に反発し合いながらも事件を解決していく連作短編。

    兄の刑事としての成長がストーリーの前面に出ているなら検事の弟は完璧なキャラでいて欲しい気がするけど、本作はお互い未熟な設定(それでも兄より弟の方が優秀という設定)

    元刑事の父は冤罪を生んだのかという物語の根本は先に進まなかったので続編を読んでみようかなと思う。

  • 真面目な刑事だった父が起こした違法捜査。
    それが原因となり、幼い兄弟は、別れて暮らすことに...

    長じて、兄の祐介は、京都府警の刑事となり、弟の真佐人は、京都地検の検事に。

    そして、ある事件をきっかけに、2人は出会う。しかし、性格は合わず、事あるごとにぶつかり合う。

    果たして、本当に、父は違法捜査を行ったのか?
    2人の思いは、常にそこの究明にある事を知る。

    今後のシリーズ化、並びに、彼らの父の違法捜査の真実を知りたいと思います。

  • 最初は「真佐人嫌なやつ〜」と思いながら読んでいたが、実は兄思いだったというのもジーンときたし、父の事件の真相を知ろうとしているあたりからも、素直になれないだけなんだなと可愛くも思えた。

    父の件の真相が気になる。続編も必読。

  • 5/19 慌てんぼ熱すぎ祐介に対し、真佐人がわざとヒールを演じ縁の下の力持ちとなり、祐介に手柄を立てさせる。最後に真佐人も冤罪を信じていることが分かり、非常に救いがある。良著。

  • 感情的で青臭さのある刑事 川上祐介と
    冷静で論理的な検事 唐沢真佐人
    同じ父親を持つ正反対な兄弟のやりとりのもどかしさ。
    でもそれが良い味を出しています。
    ドラマ化していたことを知っていたというのもあり、唐沢真佐人は完全に中村倫也の顔しか浮かびませんでした(笑)

    京都が舞台になっていることもあり、周りの風景が浮かびやすい表現、季節の描写が印象的でした。

  • テレビドラマ化されるということで購入。

    てっきり一つの事件を軸にした長編ミステリーかと思いましたが、全5章からなる連作短編集でした。連続ドラマ向きで、各章ごとで起きる事件を解決していく構成になっています。基本的には、これで解決?だと思ったり、捜査に行き詰まった時には弟からの謎の助言で、解決へと導く形式になっています。各章は、一時間の連続ドラマくらいの量なので、サクサク読めました。内容としては、事件が発生し、解決していく様が描かれ、時折、兄弟の過去のエピソードが加わります。

    視点は刑事である兄のみで、検事の弟の視点はありません。
    なので、弟の気持ちは実際のところどうだったのかは書かれていません。また、兄弟がバラバラとなった冤罪事件の真相もこの本では、解決されません。最後は、シリーズ化するのでは?と余韻を残したまま終わるので、歯痒さはありました。ただ、兄弟の関係は対立しながらも、回数を重ねるごとに微量ですが溶けていく様子が垣間見れます。そこがこの本の醍醐味なのではないかと思います。ぜひ続編が出てほしいです。

    スペシャルドラマ?化されますが、もしかしたら連続ドラマの前哨戦なのでは?と読む限りでは、そう思いました。
    完結するのであれば、冤罪事件の真相も描いてほしいなと思います。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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