- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569773773
作品紹介・あらすじ
救急患者の「たらいまわし」、医療ミス頻発、医師不足、地域医療の荒廃、患者負担と保険料負担の増加…。医療制度に対する国民の不信・不安は、ここ数年で著しく高まっている。二〇〇〇年のWHOの発表で保健衛生システムの目標達成度が世界第一位と評価された日本が、なぜ医療崩壊への道を突き進んでしまったのか。財務省から厚生労働省へ出向中に医療制度改革に携わった元官僚が、医療制度のゆがみとそれを生んだ政策決定の過程を解説。さらに安心・信頼できる医療制度構築への方向を示す。
感想・レビュー・書評
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2009/12/29
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厚労省に出向し医療政策に携わった経験のある元財務官僚の著者が、救急患者の「たらいまわし」や医師不足などの最近の「医療崩壊」の実情を解説した上で、この「医療崩壊」の要因は小泉内閣以降に推進されてきた医療費抑制政策にあると指摘し、今後の医療費再生に向けて医療費の増額が不可欠であると論じている。
実際に医療政策の政策決定過程に携わった元官僚の指摘ということで傾聴に値する問題提起だと思う。むやみな医療費抑制が医療崩壊をもたらしているという一面は確かにあるのだろう。
しかし、日本の厳しい財政状況を考えれば、単純に医療費を増やせばよいのかということには疑問がある。より効率的(安上がり)で質の高い医療を目指すべきであり、国民負担の増加にも真正面から向き合うべきではなかろうか。本書にも、それらの点は触れられていないことはないが、いかんせん今後の展望についての具体像の記述が薄いような気がした。 -
医療崩壊の要因を小泉政権下での総額医療費抑制政策にあるとする。
→患者と医者の相互不信
→過酷な勤務実態
*全体としての医者の過剰供給の防止/1980年代以降抑制傾向
*看護士も同様
*医療の「不確実性」に対する認識の違い
←この共通認識をメディアが受け入れず、医療に対して確実性を主張するメディアが煽る構造
→患者と医師の対立(pp.42)
★地域連携クリティカルパス
=一つの地域の中で複数医療機関が疾患別に診療ネットワークを形成し、患者の治療開始から治療終了まで全体的な診療計画(地域連携クリティカルパス)を共通様式で作成し、急性期から回復期を経て在宅医療にいたるまで、それぞれを担当する各医療機関がこの計画に沿って連携しながら治療を進めるというもの(pp.86) -
498.13||M94||Ir
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財務相から厚生労働省に出向し、医療制度改革に携わり、医療費適正化計画の枠組みづくりを担当した村上正泰氏の書いた本だ。
政治屋の意向を受け、官僚として制度設計を行っていくのだが、急速に高齢化が進み、医療費がどうしても増えていかざるをえないなかで、その伸びをひたすら抑制しつづけるのはどだい無理な話である。
小泉政権時の経済財政諮問会議からの要求が如何に理不尽なものであったか、その時官僚として携わらざるを得なかった裏舞台が明らかにされている。
1983年に発表された所謂「医療費亡国論」の呪縛を引きずっているのは、厚生労働官僚は財務官僚ほどではないが、財政再建至上主義におちいり易い体質だとのこと。
2009年に書かれた本で、シロアリ退治なき消費増税とまでは書かれていないが、そのような主旨は述べられている。
民主党政権の誕生に期待する向きも書かれていたが、現在のテイタラク。
しかしながら、財務省を去り、どんどんリベラルな発現を期待するものである。 -
医療制度改革に従事した元官僚さんの書だけあり、現実をとらえているのであろう。僕の予備知識がなさすぎで一読では、理解できないとこも多かったけど、2度3度と読んでみますねー。生活の安心に直接かかわることだけに、皆さんご一読を!
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今や国民の不安・不信の的となっている医療・福祉問題。
民主党は増税(消費税)によって社会福祉費に充てると言っているが、そもそもなぜこういった問題が現れたのか。基本所としてわかりやすくまとまっているので今の議論についていくためにも読むべき本である。 -
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元財務官僚から、厚生労働省に出向していた
著者が、医療崩壊の本当の理由の迫る著書。
深刻な医師偏在や、介護難民の生れる現在の
医療の問題を告発しています。