時間はなぜ取り戻せないのか (PHPサイエンス・ワールド新書 12)
- PHP研究所 (2009年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569775647
感想・レビュー・書評
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「主体的意思」という考え方はしっくりこなかったが、それを排除したとしても、時間を説明するモデルとしてはわかりやすいし、納得できる。特に、モデルの核となっているミンコフスキー時空による相対性理論の説明は理解しやすかった。
しかし、終盤で著者も認めている環世界の考え方からすれば、科学自体が「人間が観測可能な範囲」から構築されたものに過ぎないわけで、その上に立ってモデルを作る以上、どうしても、それはイリュージョンだろう、とも思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
科学の本と思って読むと期待外れに感じる。SF。だけど、今後科学になり得る物なのかもなあ……。この本の内容だけでは哲学にしかなり得ないけど。でも、自分にはなかった視点で面白かった。
物凄く知識の幅が広い人とおしゃべりしてるみたいな感じになる本だった。話題が飛びすぎるという欠点もある気がするけど。どこに連れて行かれてるのかが全然読めない。「主体的意志」の方が気になりすぎるから、他の本も読んでみたい。 -
2017.7.28ブックオフ古淵店 108
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新書文庫
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最初は読みやすかたが後半難しくなる。この本は⑴時間の流れ(時間の矢)はどこで生じているか。⑵生命の持つ主観すなわち主体的意見とは何かを追求している。結論は「主観は時間の流れとして現れる」であるが、これではあまりにも哲学的で分かり難かった。
私が興味を持ったのは、空間軸を虚数として説明していることだ。数学の世界でしか利用価値がない虚数が、時間と密接に関わってくると考えただけでワクワクする。 -
ミンコフスキー時空って相対性理論から説明されると、縦軸:時間、横軸:空間で45度の線が光っていうのが何となくわかるような気がした。
が、その時空においては過去も未来も一緒にあるってこと。
更なる説明に虚数を使うっていうのに説明の道具としては分かったような気になったが、もう少し読み込まないと分からない。
時間の流れ → エントロピー増大の法則 → 主体的意思
ってことらしい。視点が本当に面白くて読みすすめられたが、正しく理解は出来ていないと思われる。 -
著者の話の持って行き方が、良い感じに好奇心をこちょこちょしてくれるので、前半は興味津々にサラサラ読めました。 「センス・オブ・ワンダー」にくすぐられた。 読み進めるうちに、物理の知識が無いと難しい説明になり、徐々にスローダウン。
とりあえず、著者の説明があまりにも飛躍的なことなのか、信じていいことなのか、物理の知識のない私には判断できないし、主題「なぜ時間が取り戻せないか」についての理論はわからないままだけど、この本は読んで良かったと心から思います。
急がば回れ、、、今更だけど、高校生が使っている物理の教科書を入手してちょっとずつ勉強してみようかなという気持ちになりました。
結局、私が興味を持つことって、物理とか論理学の基礎知識が無いと理解が難しいことが多いし…高校時代に授業とらなかった事を後悔しても始まらないし(時間は取り戻せないし)。
面白いなと思った著者の考え方、以下まえがきから引用。
☆じつは、時間の流れを創っているのは、物理的時空ではなく、生きる意志である。あくまで仮説である。
☆本書は科学解説書とは違う。科学の面白さは踏み固められた事実からではなく、想像力溢れるSF的センス・オブ・ワンダーから来るのではないかという主張を込めた本である。
☆時間の流れは生命が創るものである
☆実証的なことは何もないから、妄想である可能性も大である。しかしこれこそ科学の面白さではないか。
プラス、人工知能(機械)と人間の脳(生命)についての著者の考えも面白い。(信じていいのかは?)
以下引用
きわめて重要なポイントであるが、コンピュータは知能をもっているが、主体的意思は持たない(将来も持たないだろう)。 同じ知的な存在でありながら、「私」とコンピュータの違いは、コンピュータが物理法則だけから成立しているのに対して、「私」は物理法則プラスアルファの何かによって成立しているのである。 -
意思が時間の流れをつくる?我思う故に我在り?読みごたえあり。