君だけのシネマ (わたしたちの本棚)

著者 :
  • PHP研究所
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本棚登録 : 93
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569787824

作品紹介・あらすじ

過干渉の母のために学校に行けなくなっていた中学生の史織。小学校教師の父親と佐渡で生活することになり、自分を取り戻していく。

感想・レビュー・書評

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  • すごく心に残る話だった。
    母親の言うことを聞かされ続けてきた史織が、父と共に祖母の家に行き、ゆったりと過ごしていく物語。
    最初の母親はすごく恐怖だった。なんであんなに史織に執着してるんだろう。史織の進路さえ自由に史織自身が選ぶことも許されない。窮屈でたまらないだろうと思う。
    でも、史織の祖母、さっこちゃんのところに行ってから、史織は心を休ませる場所ができた。さっこちゃんの夢、佐渡島で島にシネマを作ることを応援しながら、クラス間で孤立している藤原さんと話したりしてゆったりと、そして少しだけ恋愛もする。自分ごとのようにほっとした。母の電話の内容にはゾッとしたけれど、史織のような子供は私の身近にいるのかもしれない。

  • 毒親(母親)に育てられた主人公が、2年間、父親の母(父方の祖母)が住んでいる島に移住し、過ごしていく中で段々と自分のしたいこと・やりたいことを言えるようになったり、主人公の父親が味方になってくれたりして毒親(母親)から少し卒業することができた物語だった。
    最近話題になっている毒親。
    子供に対してどのような声かけをして子供に害を与えるのか知りたかったため、この本を読んで勉強することができた。毒親本人も被害者である子供も、その親子関係が異常だということを知らないんだなということを改めて感じた。
    児童図書にしては内容が深いなと思った。

  •  今の場所じゃ見えないものがきっとあると思います。主人公が折り合いの悪い親と距離をあけ、環境を変えることで大切なことに気づくお話です。
    (一般担当/道明寺P)

  • 母親のいうことをききつづけた史織は、島に行くことを決意した。それは、彼女がはじめてした選択……。もっとさわやかな話かと思ったら、意外や意外なすごくいい話だった。母親による呪縛でがんじがらめになっていた史織が、祖母と父親、友達に支えられて、おびえながらも少しずつ選択していくさまがとてもよかった。こういう物語を必要としているひとがいると思う。そして、この物語の「シネマ」が私には読書なんだなと痛感しました。おすすめです。

  • 私も映画が大好きで、タイトルにひかれて手にしました。
    実は、主人公の詩織ちゃんほど母を拒絶はしていないけど「心配だから」という呪文はほんとうに苦手。
    この本を読んで、その理由、そしてそこから解き放たれたと感じました。
    今は、疲れ切って、空っぽになっていても、ゆっくり自分のやりたいこと、自分の好きなことを見つけていこうと思えるお話でした。嬉しかった。

  • 佐渡に小さい映画館を作ったおばあちゃんのもとで暮らす史織。かわっている友達、頼りになる少年。出会いや手伝いの中で自分の居場所を見つけていく。さわやかでした。

  •  母親からの支配に耐え切れず、父親の転勤先の佐渡について行った史織。
     佐渡には、史織を温かく迎えてくれるおばあちゃんのさっこちゃんがいる。
     小さな映画館を始めると言うさっこちゃんの手伝いをしながら、史織は自分の本当にしたいことを見つけていく。

  • 母との確執から父と佐渡で暮らすことになった主人公。再生の物語。

  • 佐渡出身者には、特に読んでてジンジン来ると思います。特に私は相川の街中出身なので、物語に書いてある風景は、すべて目に思い浮かびます。夏も、冬の風の寒さといった季節の匂いも。お話自体はアラフィフのおっさんが読むには瑞々しく眩しいほどですが、さわやかな詩を読んでいるようで(といっても詩を読む習慣はないですが。。)、気持ちのいい文章ですね。佐渡の方言も、知らない人が読んでも程よくわかるよう自然に書かれていて、感心します。佐渡出身の方はもちろん、多くの方に読んでほしい作品です。

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著者プロフィール

高田由紀子
新潟県佐渡市出身。「まんぷく寺でまってます」(ポプラ社)でデビュー。「君だけのシネマ」(PHP研究所)で第5回児童ペン賞少年小説賞受賞。著書に「青いスタートライン」「ビター・ステップ」(ともにポプラ社)がある。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

「2020年 『きみが、この本、読んだなら とまどう放課後 編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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