- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569790220
作品紹介・あらすじ
スウェーデンは社会保障が進み男女平等が徹底された福祉国家であると讃美するのも、税金が高く社会主義的な国であると批判するのも、一面しか捉えていない。「伝統的な家族」は崩壊してしまっているし、米国以上に市場をうまく使っている国でもある。その特異な社会・経済を理解するためには、国家を支える理念と、それが生まれた背景を知る必要がある。戦後の高度成長期に必要とされた「国民の家」の理念は、H&Mやイケアの企業戦略、年金制度改革などに、どう実践されているのか。
感想・レビュー・書評
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SWのシステムが体系的に理解できた
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読み物と思って読むと退屈するかも。2010年頃のデータ集とみても良い。
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国会議員の多くはもともとの本業を続けているんだそう。
政治家が実社会から遊離せず、政治屋になることを防ぐ。
国会議員は職業でなく、一種の社会奉仕であるとの認識。
国会議員にはどれだけの給与が出てるんだろう?
活動経費にはすべて領収書が求められ、だれもが確認できるってあったし。
1クローネにも領収書が必要。
小難しい話も多くて、だんだんついてけなくなったけど、
スウェーデンにあって日本にないもの。
政治への信頼
高い投票率
は、はっきりとわかった。
信頼するための根拠が1クローネからの領収書を誰もが確認できることで、あるのかなとか。
大企業の破綻を政府が支援しない。
本当に優良企業なら破綻はしないだろうし。
男女同権で女性の社会進出も高くて、
医療費は上限があって学費は無料で、
育児手当や育児休暇、託児所や保育施設などのハード面の強化も整ってて、実践できるだけのものがある。
うーん
日本政府って口だけ感が強いのかも。
老後の生活が保障されてるなら入ったぶん使い切っても不安はないなら、消費多くて経済も回りやすいのかなとか。 -
「日本はスウェーデンになるべきか」とほぼ同時期に同じ版元から出版されたスウェーデン分析本。内容は前掲書と重なる部分も多いが、具体的な統計資料を用いた説明はこちらのほうが多い一方、「スウェーデンの本質」の側よりは「メジャーなトピック」の側に立ち、スウェーデンの特異性を浮き彫りにするスタイル。
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スウェーデンに関する新書2冊目。この書ではスウェーデン政府の「国民の家」としての機能に着目している。WW2後、戦後女性の雇用を押し出したスウェーデンでは伝統的な家族のあり方が失われ、社会は喪失感、不安に襲われ自殺率は急増した。そこで政府が子や年配者の世話をする「父親」の役割を果たし、社会保障を充実させる事でこの問題を解消したという経緯がある。すなわち福祉社会が女性の雇用を推進したのではなくその逆で、女性の雇用によって従来の形態が崩れた事が、福祉社会というスウェーデンの今ある姿を誕生させたのだ。私は日本人の若者の自殺率の高さは就職や老後での先知れぬ不安にあると思う。スウェーデンはその不安をセーフティネットという防波堤を充実させることで解消してきた。福祉は足かせに成るのではない。福祉が社会問題を解消するリーダーシップを担えるのだ。
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福祉大国で有名なスウェーデンがなぜ成功しているのかをわかりやすく紹介してくれる。
成功に至るまでにあった問題などもわかりやすく提示してくれているので、マイナス面もきちんと書かれているので信ぴょう性が高い。
高福祉高負担を国民が受け入れることができた理由は、国民が国を信頼できていること。そのために徹底的な透明性を実践している。
福祉政策の持続可能性を国民が信頼できているからこそ、国民が安心感を持つことができ、その安心感が消費増大に繋がりよい方向に回っていくという仕組みには納得であった。
キーワードは、国の理念と国への信頼感、福祉の持続可能性である。
残念ながらどれも今の日本には無いのだけれど。 -
オランダに本社を置くスティヒティング・インカ・ファウンデーションがIKEAの持ち株会社、インカ・ホールディングスを所有している。IKEAグループはこのインカ・ホールディングスの傘下にある。オランダに設立したのは税金回避とM&Aを防ぐためにあるという。INGKA・ファウンデーションは、カンプラードが1982年に設立した慈善団体。慈善団体に最終的な会社の支配権を委ねるやり方は、欧州ではよく見られる形態だ。カンプラードは自らつくりあげてきた会社をだれにも支配されたくないのであろう。p96
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スウェーデンの実像がよくわかる。今まで自分がいかにイメージでスウェーデンを語っていたかに気づく。また、福祉政策について日本との比較もあるので、読み応えがある。