官僚の責任 (PHP新書 745)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569798059

感想・レビュー・書評

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  • 自身の恨みつらみを交えて、官僚批判に徹した内容。言われなくても官僚には良いイメージは無い。

  • 官僚機構のどこに問題があるのかを元官僚が書いた本。縦割りの組織構造が組織内だけの利益を優先し、自分たちのための天下り機関を構成する。また、それぞれの省庁が同じような事に予算を取る非効率な体制は、大企業にも通じる(かつてソニーがスゴ録とPSXを販売したような)。結局、国も民間も同じという事か。

  • 官僚OBにして官僚組織批判急先鋒の著者が、震災直後の2011年6月、まだ現役官僚(とはいっても閑職)だった頃に書いた本。官僚組織批判は正論だが、正論過ぎて…。官僚ムラ社会の中でもっと上手く泳ぎつつ結果を出す道もあったんじゃないかなぁ。まあそれが出来ない性分の人なんだろうけど。報道ステーションの例の放送事故(?)を思い出す。
    第5章の提言は、「平均寿命くらいまでは、…自分でなんとかしてもらうように方向を転換」、「強い企業を支援して新陳代謝を図ることが非常に重要」、「「汗水=美徳は」は世界の非常識」、「国民投票で脱原発を」など、なるほどと思わせるものがある。震災から4年たってもこのような政策を断行出来ないでいる原因は、決められない政治や官僚機構の制度疲労の問題にももちろんあるが、その根本は、民主主義の下で複雑に絡み合った利害を調整できなくなっていることなんじゃないかなあ。

  • 天下りとか仕事ぶりの悪さとか先輩の評価とかは個人の志次第だからどうでもいいんだけれど、出世しないと決定権が与えられず出世するには省益に迎合して省にしがみつくしかないっていう腐った仕組みは変えないとどうにもならない。年功序列を壊して実力主義を入れるっていう著者の施策はもっとも。というかむしろなんで今まで誰も実現できなかったのか。よっぽど凝り固まった考え方の持ち主が上層部にはびこっているのだろう。若い時にはおかしいと思ってもいざ歳を重ねて上に立ってみるとそこにしがみついていたくなるのだろうか。醜い。

  • 「官僚の責任」古賀茂明
    政治批評。特になし。

    読了。

    p185.
    「『ところが、政府が弱い企業も保護しつづけ、しかも過当競争させるから、われわれも対抗するために利益をカットし、結果として生活水準を下げなければならなくなる。つまり、業界全体が低いレベルで我慢しなければならなくなるうえ、そうした状態が続けば、五年、十年すると結局は共倒れになってしまう…。』」

    (3)

  • 自らの権利の為に増殖する構造の改革をしなければ・・・。真に国民の為に仕事をする公僕に変える為に、そういう政党を選挙で選び声を出し形に変えて行かねば・・・それが私達国民一人ひとりの義務(カワバタ)

  • 優秀であるはずの官僚が省益に走る行動心理を解説し、公務員改革の必要性と具体案を提示している。
    東電やJTとの癒着や天下りの実態、利権の確保方法、民主党政治の問題点など多くの政治問題を平易な言葉でコンパクトに解説しているため大変わかりやすい。同時に官僚へ不信感が。
    要は①充実しすぎる身分保障②天下りポストを確保しようとする動き、が問題だと指摘。
    解決策としてGEやヤマトHD等を参考にした①実力主義の導入②身分保障廃止③Jリーグ方式の人員入れ替えなど様々な意見が織り込まれている。筆者の他の著作にも興味が湧いた。

  • 官僚の責任 / 古賀茂明 / 2011.09.06(17/69)
     きっかけ:出向中の経産省をもっと知りたくて。
     実務で常々、自分たちの都合の良いことしかいわない、国民のことなんか微塵も気にせず、せいぜい大企業のことばかり、もっとも考えているのは自分たち、自分の出世のこと、そのためには「カラスは白い」というロジックだって、その優秀さから作り上げて、もっともらしく語っている、そんなスタイルに強い疑問を持っていた。この本は現職官僚としては、異端かもしれないが、至極まっとうなことを言っているので、新鮮な驚きをえた。
     現在の経産省には、「官僚たちの夏」のような面影はない。過去の栄光。おそらく右肩上がりの成長時代には、経産省(というか通産省)は非常にワークしていたのだと思う。海外からも、ミスター通産省として、官民が一体となった成長ぶりは恐れられた。しかし今は違う。今のご時世で経産省が果たせる役割はそんなに多くないのではないか。むしろ、やることそのものが無駄だったり、民間に手間をかけたりしていないか。
     彼らの心底には、民間は金ばかり稼いでいやしい、我々が面倒みなければ、という思いはあるのだろう。
     予算をつけて、実行する、来年度の予算が減らないように、使い切る、税金だから大切に使おう、国民に役立てよう、なんて気持ちは微塵もない。打ち出の小づちのように、そのために努力はするが、金はふってわいてくるくらいにしか思っていない。せいぜい、自分の出世に役立てよう、というくらい。
     基本的に、責任を取りたがらない、リスク回避型の組織雰囲気。回避するために、あらゆるロジックを展開して、お互いなすりつけあっている、反対に勝ち馬と分かれば、ここぞと言わんばかりに、乗ってくる、それこそいやしい人たち。

    (以下本文より)
     霞が関は人材の墓場。最高学府の卒業生が志を抱いて入省したはずの優秀な人間たちが集う日本最高の頭脳集団。しかし、彼らの行動規範は国の為ではなく、省のため。利益拡大と身分保障にうつつを抜かし、天下り、サボタージュもいとわない。
     3.11=責任逃れに終始した官僚たち。総理が政治主導というなら、責任転嫁。責任を取りたがらない、単なる素人集団。
     JT株、50%保有。今ならばいっ客で①.七兆円、数年前なら5兆円。
     インフラ輸出=エネ庁は原発が売れればいい、外務省は経済協力の予算がつけれればいい、縦割りの弊害で全体がみれない。見ようともしていない。
     企業はファイナンスをつけてもらうことで、ビジネスに伴う巨大なリスクを自分たちだけで負わなくても良くから、役人達にペコペコする。すると役人達は、「天下り先ができたな」と考える。
     民主党は官僚を使いこなせなかった。
     政治家は方針を示し、決断し、責任をとる。一方、官僚は手足となって、それを支え、実行する。にもかかわらず民主党は、政治家がすべてやることが政治主導と履き違えた。官僚を従たる位置において、うまく使いこなそうという発想がなかった。
     官僚になるのは山登りする人がエベレストに登りたいというのと同じ。すなわち、もっとも困難だからという理由。つまり、国とか国民のために頑張る、何かを成したいといったモチベーションではなく、そこがてっぺんだから目指す。俺はすごいというう自己満足を得るため、周囲からエリートなんですね、と称賛されたいため。人の上に立ちたい、という出世欲、権威欲。
     つねにほめられたいという気持ち。逆に叱られることになれていない、けなされるいことを恐れる、嫌う。
     人のためになる仕事をしたいと思って役所に入っても、出世する仕事をしなければならない。すなわち、上司の言うとおりにやり、覚えめでたくなるように心がけなければならない。おかしいと感じでも逆らえば不興をかい、出世が遠のく。やりたい仕事をやるためには、やりたくない仕事を我慢しなければならない。という矛盾した構造がある。したがい、官庁では上司や先輩の意見は絶対という不文律がある。過去の人間が進めようとした政策を非難することはタブー。
     目に見える官僚のための成果=役所の利益権限を拡大すること。法律をつくると同時に予算をとり、関連団体を作る。すなわち、権限、予算、天下りポスト。
     官僚の成果が測りにくい=省のための副産物を用意、労働時間。ゆえにせっせと残業に励む。
     入省時点では将来ピカピカに輝くだけの能力を秘めていたはずの原石が、その後いっさい磨かれないどころか、鈍磨していく場所、それが霞が関。
     年功序列による身分保障の廃止。実力主義
     官民の出入りを自由にする。リボルビングドア方式。
     民主政権下では、建前上は政務三役が各省庁の司令塔として機能。事務次官がいると、ひとつの会社に社長が二人もいるようなもの。小+大ピラミッド=イカ型。
     天下りという再就職先まで用意されている官僚は、職業というより身分そのもの。
     中小企業は倒産したら一円ももらえないのに、どうして農家に生まれただけで収入が保証されるのか?
     無駄な支援が企業の自助努力を阻む。
     エネルギー政策には国家の意思が必要。いままでは何が何でも原発推進、これをなにがなんでも再生可能エネルギー推進にかえる。
     発送電分離して、いくつかの適当な規模に分割すれば、政府は再生可能エネルギー発電を行う会社を支援すればいい。
     再生可能エネルギーは実質的にはメーカーの二流技術者の失業対策と天下り先の確保でしかなかったため、いっこうに進展しなかった。

  • 3月2日
    官僚、特にキャリアにとっての優先順位、省益、天下り、年功序列等よくわかった。もっと国益を優先させる志の高い官僚もいるだろうに。結局は、個人の生活か。

  • 反面教師としてとても面白い本だった。自分の嫌いな側のやり方や解釈、スタンスが見れて、逆に自分の考え方が見えてきた。
    121008幼なじみから借りる。
    121013読了。

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著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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