「通貨」はこれからどうなるのか (PHPビジネス新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569803500

感想・レビュー・書評

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  • 1ドル50円時代を説く浜矩子さんの本。
    世間は相変わらず円高傾向なのでこの本のいう通り50円時代に備えた準備をすべき(通貨に翻弄されない社会作り)が必要なんだろうなぁ。

  • ブレずに円高(・ω・)

  • 338.97||Ha

  • 政府部門も民間部門も赤字のアメリカ。それを補うためにドルを刷りまくった。今は基軸通貨であり、過去の栄光の残照もあって、過大評価されているが、所詮借金大国。これに対して日本は債権大国。多少の起伏はあっても長期トレンドでみれば1ドル=50円に向かって収斂している。1ドル50円時代の到来は、とりもなおさず、ドル基軸通貨時代の終焉を意味する。世界も日本もかつてのようにドルは使わない。すなわち、ドル相場の行方を巡って冷や汗をかく必要もないのである。隠れ基軸通貨である円は、身の丈にあった為替水準にドルが落ちつくようイニシアチブをとるべき。グローバル時代はどの国も大同小異。突出した強さを独占し他の追随を許さない存在はもはやない。分散と多様化の時代に入りつつある。さらに、分散と多様化は国家間のみならず同一国内においても進むことが想定される。一般的に域内が単一通貨圏として持続するには、経済実態の完全収斂と中央所得再分配装置の存在が必要不可欠。これまで日本は、地方に金をばらまくことによって地域間格差をなくし単一通貨を実現してきた。しかし、グローバル時代はこれが通用しない。マネーは有利な条件を求め世界を駆け巡る。江戸時代、各県において藩札が刷られていた。同様な分散化があり得る。新時代のキーワードは多様化と分散。リセットを恐れない前進が求められている。「通貨を知れば世界が読める」の疑問に答えて編。素朴な疑問に明快に回答を出している。看板に偽りなしの名著。

  • ベストセラーとなった、「通貨を知れば世界が読める」の続編です。
    「通貨」を中心に、現在の世界経済をまとめ、こらからの方向性を示してくれています。
    重要だと思ったポイントは以下。

    ・円高はまだまだ続く。現在の適正水準から考えると、「1ドル50円」にまではなる。
    ・日本が海外に持っている債権の残高と、逆に海外からの債務の残高を差し引きした「対外純資産残高」の額は、250兆円。これはここ10年以上にわたって世界一。
    ・日本の、政府や国全体が保有する資産から負債を差し引いた国富は2010年末で約3000兆円。このようなリッチさを誇る国の通貨に対して、評価が高まるのは当然。
    ・地域通貨が欧州全土でブーム状態。その数は1000〜2000種類にも上がる。
    ・日本の2010年の経常収支
    貿易収支:約8兆円
    サービス収支:▲1兆5000億円
    所得収支:11兆6000億円
    ・今の日本は貿易赤字で大騒ぎしているが、実はその額は債券からもたらされる収入であっさりカバーされてしまうほどのもの。日本経済は貿易によって成り立っている訳ではない。

    著者は、
    「日本がやっていくためには、モノの輸出で外からカネを稼がなきゃいけない。そのためには、為替レートは日本円が安くなくてはいけない」
    このようなセルフイメージから早めに脱却しなくてはならないと言っています。
    そして、誰もがそう思えるようになった時、「円高・円安」に人々が一喜一憂しなくてすむ日本が実現すると。

    結局ヨーロッパと同じく、アメリカの弱体化もまた、世界が多極化していくプロセスの一つ。
    そう考えると、アメリカが没落したからといって、日本がその後の覇権を握る、というものではなく、今後は世界はどんどん多極化に向かい、こうした覇権という考え方そのものが、古臭いものとなるはずなんです。

    そもそも「通貨」は経済を動かすための要素の一つであり、ただのツールです。
    そのように考えると、「通貨」の動きに世界経済が振り回されている現在がいかに不自然なものかがわかります。

    今当たり前だと思っているものを、一度疑ってみる。
    すると、新しい道が見えてくる。

    そんなことを改めて気づかされました。

  • ■通貨

    1.リセットは極めて難しい。慣れ親しんだ昔の姿でやっていきたい。少しばかりの調整を施せば、このままやっていけるのじゃないか。この希望的観測の下に、元の木阿弥を志向する。このような具合で、我々は前には進めない。前進さえできれば、たとえ一時は闇に突入しても、その先には新たな夜明けが待っているはずだ。

    2.フランスのトゥールーズ市では、市とNGOが共同で地域通貨「ソル・ヴィオレット」開発し地域を活性させている。

    3.1929年の大恐慌時、ドイツのシュヴァーネンキルヘンでは地域通貨「ヴェーラ」を使い、経済を活性化させた。時間が経過するほど貨幣価値が下がる仕組み。

  • 前作と続けて読了。
    なるほど。ドルとユーロの価値が当分戻ることはないのかなと、ちょっと諦めついたかな(笑)。印象に残ったところをメモ。
    ◎経済の実態がものすごい勢いで変化しているのに(経験したことのない状況)、その体制的な枠組みが旧態依然、ということかなと。(例示2つ)
    ●国の経済運営において、第一レスキュー隊が財政、第二レスキュー隊が中央銀行。中央銀行は伝家の宝刀的存在で、滅多に大出動してはいけない。ところが、今は中央銀行が、唯一のレスキュー隊と化しつつある(自らわが身の健全性を脅かしつつ)。
    要因は第一にグローバル時代になっていること、第二にそれにもかかわらず国民経済単位で従来型の均衡と成長を目指そうとしているから。→国境を越えて発生する諸問題のスケールが大き過ぎ(国家単位では対処不能)。
    ●租税体系についても。
    租税体系を見れば、その国の発展段階や経済的成熟度が分かるはず。ところが、今の日本の租税体系から、日本経済の今日的姿を正しくイメージすることは難しい状況。→租税体系が、経済の到達度に整合していない。
    ◎アメリカの最後の背伸び
    1990年代後半からの金融業の発展企図
    →2008リーマンショック
    ◎単一通貨が成立する要件2つ
    ・経済実態の完全収斂
    ・中央所得再分配装置の存在
    →ユーロの存続は難しい。
    (スペイン、ギリシャ、ポルトガル)

  • 恥ずかしながら、このテの本を読むのは実は初めて。
    基軸通貨の歴史的流れを解説してくれており、初心者にはわかりやすい。
    筆者は今後、基軸通貨という概念さえ今後はなくなり、また、同じ国でも複数の通貨、いわゆる「地域通貨」がこれからの経済の活性に有効ではないかという視点を持っている。
    これが果たしてその通りなのかどうか、私には判断できる知識がまだない。
    故に今後もこの種類の本をいくつか読み、知識を深めていきたい。

  • 債権大国である日本の円は、いわば’かくれ基軸通貨’という。これからどうするかの答えはなかなかないらしい。経済にポイントを置いて過去をふりかえりながら、未来をさぐる。税金は上げないでほしい。でも日本の財政の不安をぬぐうのにはそれしかないのだろうか?

  • 「1ドル50円」「地域貨幣」という著者の独特の視点がわからなくもないが、どうにも自分にはピンと来なかった。
    あちこちでメディアに出ているが、見た目で結構損している気がする。。。

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著者プロフィール

1952年生まれ。同志社大学大学院ビジネス研究科教授。
主著=『新・国富論――グローバル経済の教科書』(文春新書、2012年)、
『老楽国家論――反アベノミクス的生き方のススメ』(新潮社、2013年)。

「2014年 『徹底解剖国家戦略特区』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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