- Amazon.co.jp ・本 (587ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569818924
感想・レビュー・書評
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松田卓也さん推薦
エクサスケールのスーパーコンピューターを先陣を切って開発することがいかに重要か、それが実現したときに世界や人間社会がどのように変わるかについて書かれている。
非常に多岐にわたる考察と、未来に対するビジョンに終始しており、筆者の開発するコンピューターの実現技術については、全くと言って良いほど書かれていない。
著者は医師時代の4次元画像診断装置に関わった経験から、莫大な規模のデータと、その解析の必要性を具体的な課題として熟知し、計算資源に関するニーズに深い洞察を持っている。
その知見から、衣食住、環境、エネルギー、経済システム、社会インフラといった領域に問題意識を反映することで、非常にダイナミックレンジの広い世界の捉え方をしている。
レイ・カーツワイルを尊敬しており、シンギュラリティ後にら、マインドアップロードが実現し、不死の世界が実現すると考えるのは、はたして正解かわからない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スーパーコンピュータがすべてを解決するかのように話が進み、エネルギー、食料、衣料、住居がフリーになるというのはありうることである。しかし、テクノロジーの進化を信頼しすぎでは。テクノロジーの恩恵は多々あるが、負の遺産の方がはるかに多いということを忘れてはいけないし、過信すると必ず思いもよらないしっぺ返しが来るのだ。エクサスケールが衣食住を無料にし、働くこともしなくてよくなるようになればもちろん人類の大転換ではあるが、著者の考えはあくまで垂直展開型の中央集中型で、重厚長大産業に頼りすぎている。水平展開型で拡散型の社会を目指すべきである。また、エネルギーは電気を使うのではなく、蓄電池を使わずにR水素を利用することを考えてほしい。
植物工場や閉鎖循環式陸上養殖、閉鎖空間による畜産などは、環境負荷も低く生産性も高く、水平展開型で拡散型であるのは良い。植物工場は生育期間を大幅に短縮して、コメの12期作も可能である。品質も安定し、日持ちもよくなる。農薬を使う必要がなく、遺伝子組み換え作物についても、閉鎖空間の中で限定して栽培されることになり、蜂群崩壊症候群の原因のほとんどを取り除くことが期待できる。
閉鎖循環式陸上養殖は、海洋資源の枯渇を防ぎ海上養殖のように海洋を汚染せず、遺伝的な影響も与えない。閉鎖空間の畜産も、病気の心配やがなく効率的に品種改良が進められ、生育期間が短く、収量が大きく、味や見た目も優れたものを潤沢に得られるようになる。餌も隣の植物工場で生産できるので、限界費用ゼロの無料で手に入れることができるのだ。
しかし、土も太陽もない野菜が本当に身体に良いのか。外の世界を全く知らず、あっという間に成長する魚や肉を食べるのはあまりに不自然ではないか。現代ではすでに不自然な食べ物ばかり食べているので、いまさら気にすることはないから、自然な物を食べたい人はそれを求めればいいのかもしれないが。
核変換、イーセリウム
人間の身体を構成する60兆個の細胞のすべての遺伝子情報を完全に書き換えることはできない。その4割の25兆個の血液細胞は、骨髄移植によってすべての遺伝子情報を書き換えることが実現されている。それは血液を構成する細胞がほとんど4ヶ月以内にすべて再生産されて置換する、いわば消耗され、使い捨てられる細胞で、造血幹細胞を置換するだけで、そこから生産されるすべての血液型細胞を置換することができるからだ。残りの35兆個の細胞は、ほとんどが消耗されない、成熟した細胞である。骨髄移植を実施するためには、新しい他者の造血細胞を移植する前に、自己の骨髄幹細胞のすべてを完全に死滅させ排除する前処置が必要である。この前処置は、骨髄が存在する部分への大量の放射線照射と、造血幹細胞に対して作用する強力な抗ガン剤の投与によって行われる。これと同じことを、その他の細胞にすることは、既存の臓器や組織のすべてを死滅させることになり、即死をもたらすので、選択することはできない。iPS細胞でクローンを作り、脳以外の臓器がすべて置換されたとしても、脳の細胞は置換することはできないので、最悪カラダだけ若くて認知症何てことになりかねない。 -
スーパーコンピューターが凄いことは分ったし興味深いが、この分厚い本の後半は齊藤氏の考えるユートピア論になる。スパコンにより、衣食住がタダになり、働かなくていい、病気にならない世界が訪れ…戦争がなくなりお金がなくなり不老不死になる。ここまでくるとスパコン関係ない。本書を勧めた上司が「宗教」と表現した。「私の考えるユートピア(極楽浄土)を信じろ」
エクサスケールは技術的なブレイクスルーで、シンギュラリティは身近なものとなっていることまでは信じる。「今までとは違う社会」を切り拓くには、齊藤氏のような天才的なビジョナリストが必要なのかもしれない。
ただ、齊藤氏はロマンチストすぎる(笑)人は働かなくていい暇な時間をボランティアや知的・芸術的活動に注ぐほどモラルが高くないし、日本人が高い道徳性と精神性を持ち合わせているとは過大評価だよね。 -
文字ばっかりの分厚い本。医者で、X線画像処理装置などでコンピュータベンチャーをいくつも興した筆者が、ベンチャーでスパコン(7ヶ月の開発期間でGreen500の二位)を作る。筆者の主張は、スパコンが一般的になれば、その演算能力で夢のデバイスが何でも開発でき、労働、金、老いから無縁の楽園が作られる、という話。あまりにもかけ離れていてピンと来ない。私がコンピュータを使い始めてからでさえ、だいぶ、演算能力が向上したが使い方はほとんど変わっていない。そんな人類が、増加した演算能力を有効に使えるのか、結局ゲームしているのか。量的変化が質的変化を起こして人類活動を劇的に変えるためにはどうなるのだろうか?
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エクサスケール・コンピューティングによって2030年ごろにもたらされるであろう変革を前特異点として解説。筆者の主張では、人間が「衣」「食」「住」からフリーになる、「不老」と「不労」を手に入れる、などかなり衝撃的な内容。ちょっと楽観的すぎるが。ただ、スパコンが何に使われて、なぜ必要なのかということはよく分かった。
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エクサスケールコンピューティングの必要性を訴える啓蒙書。
衣食住がフリーになるという説明の中で国の補助金が当てにされていたり,エクサスケールコンピュータによるシミュレーションが万能であるかのように描写されていたり,やや疑問に思われる部分もある。
しかし,医学分野におけるテクノロジィについては,今後の展望を含め,さすがに著者の専門だけあって興味深い言及がなされている。
テクノロジィの進歩については,現状を踏まえて現実的な見通しが述べられているところも数多く,前特異点経過後の社会がどうなるかについては,ある種の天才である著者の想像力が存分に発揮されており,ざっと一読するだけでも刺激的な書物である。 -
先駆的な発想とはこういうことかと
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スパコン開発に挑戦する著者の決意表明の書。
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The Singularity is Nearの日本版?
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エクサスケールコンピューティング 前特異点
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