なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 (PHP新書)
- PHP研究所 (2014年6月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569819419
感想・レビュー・書評
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世界の競合と戦うグローバル経済(主に貿易可能な製造業)と、地元住民を顧客とするローカル経済(主にサービス業)を分けて現状分析・今後の提言を行っている。グローバルとローカルをはっきり切り分けて、企業側・就業者側の視点で各々の進む方向性を示しているところが非常にわかりやすい。一方で「年収は住むところで決まる」で言及されたグローバル企業と地域(ローカル)の関係についてはあまり触れておらず、ローカルの人達はどこからお金を手に入れるのだろうという疑問はちょっと残った。
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日本にはローカル経済とグローバル経済の全く異なる2種類がある。ローカル経済圏では、少子化&若者の都市移住&団塊の世代の退職で、5年前から人手不足になっている。グローバル経済圏は人余り、グローバル競争、グローバル人材能力などが必要だが、日本経済全体の3割しかなく、さらに製造業の海外移転で減少傾向。一方、ローカル経済圏はグローバルレベルの優秀人材は必要ではなく、それなりにまともな経営者が数多く求められており、ローカル企業(メインは運輸、小売、医療、サービスなど)の利益率を上げるために、だめな企業には退出頂き、良い企業を増やす努力がかかせない。ローカル経済圏は、女性、高齢者などの活用がマスト、外国人も入れたいが田舎では歓迎されないと悲観的。
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ローカル経済圏の中核にあるサービス産業において、労働生産性を上げるためのアプローチは、「ベストプラクティスアプローチ」が望ましい。
別の企業や事業体が行う似たようなパフォーマンスを自社に取り入れ、労働生産性を上げることを意味する。
人手不足に陥ったローカル経済圏のマーケットで穏やかな体質を促進する鍵は、労働市場にある。
具体的には、サービス産業の最低賃金を上げることだ。
労働監督、安全監督を厳しくすることも有効だ。 -
グローバル経済(G)とローカル経済(L)は完全に別個の経済体系でありその発展の仕方別々であることがはっきりわかる。
この考え方は分かっているようで、分かっていなかった。盲点であった。
そういう意味でとても新鮮で分かりやすく、具体例な図表を十分に使って飽きさせない工夫に富んだ新書で一気に読んでしまった。
そして最後に読者である消費者がこの2つの経済体系をどのように選び、利用していくかは各個人にゆだねられ、選択と多様性が与えられている点で、自分ならどうすべきか、選ぶにあたって何がその基準になるのか考えるきっかけを与えてくれたいい本でした。 -
本書では、経済をグローバル(G)とローカル(L)に分けた上で、この二つのモードを柔軟に選択できる社会を、これからの日本は追求すべきだと結論付けている。
本書を読んで、ここ最近の、ユニクロのパート・アルバイトの正社員化や、すき家の人手不足による開店休業などのニュースが、一連のものとして理解できた。
すき家は、特にその杜撰さが目立ってしまったため、そのビジネスモデルを第三者委員会により指摘されてしまうまでになった -
企業をグローバルな視点だけではなく、ローカルな視点からも考えるグローカルな視点の重要性を感じた。
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グローバリズムに関する論争に日頃違和感を感じていた理由が明快に整理できた。著者のこのような整理がこれから一般的になってくるように思う。