- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569826523
作品紹介・あらすじ
「遣唐使の時代、日中は非常に疎遠」「日本の漢語化と中国の日本化」……。専門家の真摯な研究に基づく、新たな日中関係史の構築。
感想・レビュー・書評
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日中の歴史を、双方の視点から描いた一冊。
特筆すべき内容はないものの、極力客観的に分析してた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古代から日中戦争まで両国はどのような関係にあったのかを辿る。歴史を知ったうえで両国関係を認識する必要がある。
好き嫌いといった感情論だけで語るべきではない。教養を身につける意味でも良書と思う。 -
筆者の専門である近代の日中韓関係部分は力が入っているが、全体としては、古代から日中戦争期までの通史であり、基礎的な知識があれば読める。
「実際の日本と中国は、古来ほぼ疎遠な関係」「われわれは驚くほど、中国のことを知らないし、その知らないことにも気づいていない」というのが筆者の主張の根底である。よく知らないが故に、日本人は中国に憧憬を持ち、それが「西洋の衝撃」以降は蔑視に代わり、終戦後は再び憧憬と「友好」となり、その熱が冷めると「反中」「嫌中」の応酬だと述べてもいる。また、二十一か条要求から日中戦争に至る失敗も、日本人の中国及び自国への無理解のためだと指摘している。日本人も中国人も、「知ったかぶり」で相手を語るのは危険ということか。 -
日中関係が難しい局面にある現在において、過去の日中関係を振り返り、中国に対する「完全な認識」を得ようとすることは意義あることであると思われる。その点で、本書は、古代から近代までの日中関係の歴史を大局的に把握できる良書である。ただし、本書ではあえて1920年代以降の日中関係に触れていないので、その部分は他書による補完が必要である。
本書によると、日本と中国は地理的に近く、要所要所では関係を取り結んでいたものの、基本的にずっと疎遠な関係が続いていた。また、「政冷経熱」という現今の現象は、日中関係の長い歴史に一貫したモチーフにほかならず、政治と経済が噛み合わないのが歴史的な構造だったという。江戸時代以降、「漢語化」ともいえる中国文物の土着化・日本化が起こるが、漢文訓読体により理解することにより、本当の意味で中国を理解することにはならず、かえって脱中国が進んだ(日清戦争以降に日本を学びに来た中国人にも同じ構造がみられる)という指摘が印象に残った。 -
日本が中国の影響を一番受けたのは江戸時代だというのが驚き。でもまぁそうだろうなと思う。律令制にしたってほんの上っ面だけ真似してすぐに形骸化してしまったし。儒教だってずいぶん前に入ってきたはずなのに江戸時代になるまでは為政者の間にすら広まらなかった。もういいかげん、中国の日本に対する影響を過大視するのはやめたほうがいいのかも。日清戦争前後を記述した部分(李鴻章が国際情勢や日中関係をどう捉えていたか等)がよく書けている。
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日本が中国の影響を一番受けたのは江戸時代だというのが驚き。でもまぁそうだろうなと思う。律令制にしたってほんの上っ面だけ真似してすぐに形骸化してしまったし。儒教だってずいぶん前に入ってきたはずなのに江戸時代になるまでは為政者の間にすら広まらなかった。もういいかげん、中国の日本に対する影響を過大視するのはやめたほうがいいのかも。日清戦争前後を記述した部分(李鴻章が国際情勢や日中関係をどう捉えていたか等)がよく書けている。
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経済関係を思考のベースとして、2000年近くのスパンで日中関係を概観。現時点で興味深いのは、次の2点:
・日本は基本的に中華の冊封関係とは一定の距離を置いて付き合っている。また、中国側も必ずしも日本に無関心か信用していない(明代の朱元璋の態度が顕著)。遣唐使という単語だけ知っていると濃密な関係があったかのようだが、それを除けばむしろ関係は総じて疎遠という印象を受ける。朝鮮と日本との対中姿勢がどの程度異なるのか比較して理解したいと感じた。
・元にて貨幣経済の隆盛→明代にて北方と南方とを繋げるため、現物経済への回帰→南方の開発により貨幣への需要が増加→それでも明は祖法として貨幣経済には否定的+朝貢を経由しない貿易の取り締まり→貨幣に代わるもののと銀への需要増加→既に中国国内では銀は算出されないため、銀を求めて海外との貿易の欲求が高まる→日本の銀 という流れは非常にわかりやすく、興味深いと感じた。 -
書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=5878