玉砕の島 ペリリュー 生還兵34人の証言

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569841045

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争、最大の激戦といわれるペリリュー島の戦い。生還兵34人の貴重な証言を織り交ぜながら綴る戦いの真実。好評書の復刊。

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋終戦前年に起きたパラオ諸島のペリリュー島で起きた米軍の上陸作戦。
    米軍唯一の敗戦と記録された、この決戦では日本兵は全滅とされていたが、戦後の昭和22年に34人の生還者が投降した。
    私がこのペリリュー島の戦闘を知ったのが、昨年の太平洋戦争の講演会でのことだった。生還兵のうちのほとんどが水戸歩兵隊であったことから、地元でペリリュー島での戦歴を記録した映画などが上映された。
    太平洋戦争と言うと、どうしても戦争末期の特攻の話が一番多く伝えられているような気がする。
    しかし、このペリリュー島を始め、北方のアリューシャン諸島での脱出作戦など、自分が知らない戦争の側面があることに愕然とした。
    昨年、映像で観ていたので、この本の内容自体は理解出来た。しかし、映像は米軍が記録していたものなので、日本兵の本音までは描かれておらず、終戦後2年経って、日本へ戻った時の衝撃や、潜伏していた2年半の間の人間関係など、初めて知ることも多かった。
    現在のペリリュー島には動かなくなった米軍や日本軍の戦車などがそのまま残っていると言う。
    しかも、この海域は「ロック・アイランド」と言う世界遺産に登録されている。しかし、これだけ戦争の記憶が残りながら、「負の遺産」としては登録されていない。
    その辺の理由も探りつつ、もう少し、知られていない太平洋戦争について、自分なりに考えてみようと思う。

  • 漫画のペリリューを読んで興味が出たので購入。
    徹底抗戦の経過ももちろん読み応えがあったが、生還兵34名が投稿し、帰国するまでの話で、投稿しないと約束していたのだから裏切りは許さないだとか、日本が負けたんじゃないかと口に出すことすら憚れるだとか、現代にも通じるような組織の闇に胸が苦しくなった。
    生還して米軍にすら英雄扱いされたのに、帰国したら渡された食料や衣服をだまし取られて、配給も戸籍がないから受けられないなど、散々な扱いをされる帰還兵。教えられてきたことや信じていたことが覆されて愕然とする体験は自分にもあるが、帰還兵たちのそれはいかほどのものなのだろうか。

  • 戦争というのは本当に人的物的ともに資源の無駄遣いなんだなあとつくづく思う。戦争で科学が進んだとしても、戦闘が終わって焼き払われた緑が戻ってきたとしても、それでも戦場であるということは地球に対して例えば温暖化並みにダメージを与えているのではないのかしらん・・・

  • パラオの隣、ペリリュー島での日本軍徹底抗戦の記録。すべて兵士からの聞き書きと日米の公式資料をもとに組み立てられている。他の南洋諸島での戦闘同様、装備も人員も限られた中での、玉砕戦ではあったが、満州から転戦させられた若く頑強な兵士達の対応力の高さが、長い抗戦とその後の洞窟でのサバイバル生活を支えたのであろう。
    昭和22年に帰国してからの、彼らの心情が悲しい。
    帰国後すぐに米軍からの配給品(貴重な缶詰や衣服)を騙し取られたり、故郷に帰れば戸籍は抹消されていて復活まで煩雑な手続きを取らされたり。自分たちは地獄のような戦場で耐え忍んで帰国したのに、まったくリスペクトされることもなく…。
    常に割りを食うのは最前線の兵士達だな。
    3.5

  • 1944年9月15日、ペリリュー島の日本軍守備隊1万は、延べ4万強の米軍の強襲を受けます。戦いは、74日後の11月25日に決しますが、司令官が自決した後も抵抗を続いていました。戦後1947年4月、ペリリュー島のジャングルや洞窟の中から武装した34名の日本兵が、米軍と家族の必死の救出作戦に応じて投降してきました。本書は、この34人の証言をもとに、アメリカ軍から激戦のひとつに挙げられるペリリュー島における日米の死闘、そして日本兵たちの生還後までを描いたものです。

  • 壮絶!

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著者プロフィール

平塚 柾緒(ひらつか・まさお)
1937年、茨城県生まれ。戦史研究家。取材・執筆グループ「太平洋戦争研究会」を主宰、数多くの従軍経験者を取材してきた。主な編著書に『米軍が記録したガダルカナルの戦い』(草思社)、『図説・東京裁判』『図説・写真で見る満州全史』(河出書房新社)、『ウィロビー回顧録・GHQ知られざる諜報戦』『写真で見るペリリューの戦い』(山川出版社)、『玉砕の島ペリリュー』『写真でわかる事典・日本占領史』(PHP研究所)など多数。

「2020年 『新装版 米軍が記録した日本空襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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