雨の日は、一回休み

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569849454

作品紹介・あらすじ

おじさんはつらいよ!? 会社での板挟み、女性問題、家族の冷たい目……。日本の中年男性の危機をコミカルかつ感動的に描く連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • おじさんは変われない?
    いや変われないおじさんはつらいだな

    時代と相手に合わせて生きる、自分だけの世の中じゃないんだから。と言われたような感じがした。

    なかなか哀愁があって、おもしろかった

  • 再生…というほどではないが、変わろうとするオジサンたち五人の物語。

    私自身は作品に登場するオジサン世代に近いので、彼らの価値観や思考が理解出来なくはない。私が新入社員だった頃はお茶出しや食器洗い、社員の机を拭いたり灰皿の掃除など当たり前のようにやっていた。
    今考えれば当時勤めていた会社は割と早い段階でお茶出しは無くなったしコピーも各自でやるようになったが、それでも女性社員がやる雑事は多かったし女性の総合職は非常に少なかった。

    年齢を重ねれば重ねるほどそれまで堆積してきた価値観や思考は簡単には変えられない。悪意どころか思いやりの積もりで言ったことやったことが何故相手に嫌な思いをさせるのか理解出来ないのだろう。
    私が若い頃、既婚者の男性社員が子どもがいないことを下ネタで弄られているのを不快な気持ちで見ていたことを思い出す。弄っていた上司たちは男性同士のそれがセクハラだなんて思いもしなかっただろうが、ご本人はどうだっただろう。

    セクハラ被害を訴えられた管理職、定年退職を前に夫婦関係が逆転することに不安を感じる部長、役員定年により平社員に降格した途端かつての部下に嫌がらせを受ける孤独な男、ストレス解消に女子高生になりすましてSNSを楽しむ派遣社員、『世直しジジイ』という名の身勝手な正義を振りかざす老人。

    男らしさを押し付けられてきた世代、必死に闘って歯を食い縛って頑張ってきたことを今になって足元から引っくり返されれば戸惑いもする。
    彼らが自分たちの頑張りを認めて欲しいと思う気持ちも理解出来る。だがだからこそちょっと周りも見て欲しい。家族や職場の人々の気持ちや価値観も気にして欲しい。

    事が起きてオジサンたちの生き方考え方が一気に変わるわけではない。でも何とか変わろうとしたりきっかけを掴んだり、押し付けられて仕方なくではなく自分で気付いて一歩踏み出したのだから心地好い。
    第一話の喜多川進の極端さが面白い。

  • いるいるおじさんが沢山出てくる1冊。
    でもおじさん達だって苦労してんだなってのがよくわかる。
    パワハラセクハラが当たり前な昔がいいなとは思わないけど、今が○○ハラばっかりで生きにくいってのもわかるなあ…

    嫌なおじさんいっぱいだけど、モラハラかますお局様とかの方が個人的には嫌いかな笑

    作中の嫌われおじさん達が1人の人間として前向きに変わっていく様子がとても良かった。

    さなたんが優しくてほっこりした

    がんばれおじさん達!笑

  • 世の中の変化について行けず
    迷子になってしまったおじさん達の奮闘記。

    おじさん、かなり濃いです。
    そして何だか切ないです。
    そんなおじさんが次々登場する連作短編集。

    雨上がりにさす、ほんのり明るい日差しの
    ような終わり方に救われます。

  • 他の本の最後に紹介されていて、雨の日が続いていたり、自分自身もちょっと「一回お休み」と言う気分だったので、手に取った一冊。
    しかし。
    いや~、昭和のおじさん全開の中年男性の悲喜こもごもを描いた中編短編集でびっくり!
    タイトルのイメージと内容が全然違う!
    そして、1作目のセクハラ親父の強烈さ。
    他の方のレビューにあったけど、1作目で止めたくなる気持ちがよく分かる。
    女性軽視、男性ならば許されると言う勝手な思い込み。
    バブル入社組のありがちな無意味な上から目線・・・
    思い当たることが盛沢山過ぎて、確かに読むのがしんどくなる。
    だけど1作目を乗り越えると、少しクールダウン。
    それでもおじさん達の勝手な思い込みは怖いけど、2作目以降の主人公は改心していくので、そこは救われる。
    前章で登場する人物が、次の章の主人公になると言う構成も面白い。
    こんなにリアルなおじさんを描いているのが、女性作家であることが、一番怖い・・・

  • 次に日本に産まれるなら、女ではなく男に産まれたいと思っていたが、この本を読んだら、男の人のつらさが分かった。うん、男もつらいね。

    おっさんと雨の日の短編集、なかなか面白い!
    女性目線の話は多いけど、男性のみの短編集は珍しいのでは?
    男のつらさが分かったと書いたけど、話は愉快で救いがあった。

    男女が分断せずに雨の日も晴れの日も過ごせたらいいな。最近分断思考になっている私にはよい薬になった。

  • 【GoTo書店!!わたしの一冊】第23回『雨の日は、一回休み』坂井希久子著/大矢 博子 |書評|労働新聞社
    https://www.rodo.co.jp/column/107725/

    作家・坂井希久子氏 「おじさん」からの脱皮法 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能
    https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/06/10/kiji/20210610s00041000291000c.html

    雨の日は、一回休み | 坂井希久子著 | 書籍 | PHP研究所
    https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-84945-4

    • ロカさん
      ありがとうございます。
      ブログの方が詳しくかいてあります。

      何気に宣伝です(^^ゞ
      ありがとうございます。
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      2021/06/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ロカさん
      訪問させて貰いますね、、、
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      2021/06/24
    • ロカさん
      ありがとうございます(^^)
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      2021/06/24
  • 読後感が晴々とも爽やかともスッとしたでもない。
    でも、ぼんやり思い出すと何だか励まされる。
    時代から少しズレたおじさん達のお話。

    直接関わるのは絶対イヤな人ばかり!
    みんな偏った考え方、男尊女卑、不平不満を世の中のせいにして怒ったり卑屈になっては右往左往している。

    だけど、自分を奮い立たせて一生懸命に働いて社会の中で生きている。働くこと、お金を稼ぐこと、平穏な日々の生活を送ることって思ったよりも容易くない。
    各話とも雨が降り心が洗われるように心境が変化する。少しだけ上を向いたおじさん、なぜか応援したくなってしまう。

  • 4つ目の「天気雨」が面白かったです。
    NET上の人の殆どを実際知らない私
    理由は違ってもこういうことあるのかもと思いました。

    それにしても主人公がダサいおじさんばかりで
    坂井希久子さんはなんでこんな小説を…。

  • 「本人も周りも、おじさんはつらいよ」という通り、時代の変化についていけないおじさん達と、振り回される周囲の人々の短編集。

    いるいる!こういうクソジジイ!とイライラするおじさんばかり出てきたけど、そんなおじさんにも色々悩みと葛藤があるんだよな…と思ったり。
    おじさんも、おばさんも、若者も。みんな一人一人の歩いてきた人生があって、一人一人考えてる事があるんだよな。
    私が出会ってきたあのむかつくおじさんも、あのクソジジイもこんな葛藤を抱えてるのかな、なんて少し優しくなれたりする…かもしれない。
    だからといって作中に出てきたセクハラと女性蔑視のおじさんは許せないが。お前は反省しなさい。

    図書館でふと手に取ってみた本。めちゃくちゃ面白かったし、文章もとても好みで嬉しい出会い。
    坂井希久子さんの他の本もとても面白そうなので読んでみようっと!



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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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