- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569853901
作品紹介・あらすじ
前代未聞の「三期目」に突入した習近平政権。習近平が国家主席を続ける真の狙いとは?新チャイナ・セブンも仔細に解説。
感想・レビュー・書評
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「父を破滅させた鄧小平への復讐」「米中覇権競争で一歩も引けない」これが根底にあると筆者は書く。
鄧小平への見方が変わった。
あとチャイナセブンで注目は「丁薛祥(ていせつよう)」覚えておこう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
非常に勉強になった。以下、要約。
本書のテーマ『習近平はなぜ3期目を狙ったのか』に関しては大きく2つ考えられる。一つは『習仲勲を破滅させた鄧小平への復讐』、もう一つは『米中覇権争いの最中で一歩も退けない』ということである。
❶習近平と新チャイナセブン
①米国はあの手この手で中国を潰しにかかっている。中国が米国に潰されないために打ち出したのが『ハイテク国家戦略』である。
②集団指導体制は鄧小平時代ではなく、1927年から始まっている。実際に、この原則のもと、大躍進政策で失敗した毛沢東は自ら国家主席を降りると言ってみたところ、常務委員の賛成多数で本当にクビになってしまい、国家主席が劉少奇になった。これを覆すために、文化大革命を起こした。文革後は無法になったため、常務委員の数に意味がなくなった。
③第20回党大会で胡錦濤が摘み出されたが、そもそも胡錦濤は認知症とパーキンソン病を患っていたという事実を忘れてはならない。
④今回の人事で共青団出身の人間が政治局委員(24人)にならなかったのが話題になったが、全国で9670万人いる共青団を敵視して、共産党一党体制はまとまらない。そもそも、過去に習近平は共青団に入団申請を8回も出している。共青団を嫌っていたのは江沢民である。
⑤李強は浙江省で習近平と一緒に仕事したことがキッカケ。2006年、上海で江沢民が手駒を使って、反腐敗運動を行っていた胡錦濤政権打倒のクーデターを起こそうとしたが失敗した。その時、後任の上海市書記として習近平が赴任した。
2007年の一中全会で習近平は一気にチャイナナインへ躍り出る。この時、胡錦濤は李克強を指名したが、江沢民の送り込んだ刺客の方が多かったので序列が習近平の方が高くなった。
⑥趙楽際は習近平の父である習仲勲の墓を陝西省書記時代に作った功績が評価された。
⑦ 王滬寧は非常に頭の良い男。 -
2023年3月号
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タイトルに示されるチャイナセブンの履歴は意外に前半で終わるのであれ?と思ったが、全体的には満足。
日本での中国報道では、いかにもならず者国家のボスという印象であるが、筆者の分析を通してみると非常に戦略的でビジョンを持って国家運営がなされている印象を持った。また中国と米、露、アジア諸国の立ち回りでは米が完全に中国の手玉に取られているようでもあり。アジア諸国にとっても露にとっても中国が経済的になくてはならない存在となっている。ヨーロッパでも、米の対露制裁の裏の覇権主義が歪にさせているようだ。中国、指導者としてはかなりのモンなんじゃないかという印象を持たされる。
背景として父親に対する仇討ちをあげている点、彼がトップに立つに至った道も興味深く読んだ。 -
中国共産党大会を経て、三期目に突入した習近平政権。習近平が三期目を狙った真の狙い、後継者候補や国内外の課題などを、現代中国研究の第一人者が仔細に解説する。
第1章 習近平と新チャイナ・セブン
第2章 習近平はなぜ三期目を狙ったのか―その一:父の仇を討つため鄧小平を乗り越える
第3章 習近平はなぜ三期目を狙ったのか―その二:アメリカに潰されるな!
第4章 決戦場は宇宙に―中国宇宙ステーション稼働
第5章 ゼロコロナ政策を解除すると死者多数
第6章 習近平が抱える中国の国内諸問題
第7章 習近平外交とロシア・リスク